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予算・決算特別委員会

府政報告 2019 13年2月定例会補正予算についての討論・意見書・決議・議案討論

2013/04/08 更新
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●2月定例府議会が3月26日に閉会しました。3月12日にかみね史朗議員が行った平成24年度補正予算案等についての議案討論、3月26日閉会本会議で迫祐仁議員が行った意見書・決議案討論、まえくぼ義由紀議員が行った平成25年度予算案等についての議案討論、意見書・決議案文、意見書・決議案の採決結果と議案採択結果、請願の審査結果を紹介します。

かみね史朗 平成24年度補正予算案等議案討論・・1
さこ 祐仁 意見書・決議案討論 ・・・・・・・・2
まえくぼ義由紀 平成25年度予算案等議案討論 ・5
意見書・決議案文 ・・・・・・・・・・・・・・・8
意見書・決議案採決結果 ・・・・・・・・・・・14
議案採択結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・15
請願審査結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・16

2月定例会 平成24年度補正予算案等議案討論

かみね史朗(日本共産党、京都市右京区)2013年3月12日

日本共産党のかみね史朗です。議員団を代表して第50号議案、京都府一般会計補正予算(8号)に反対し、その他28件の議案に賛成の討論を行います。
 第50号議案、京都府一般会計補正予算の反対理由は、第一に、道路新設に伴う予算を23億円増額し、このなかで国直轄事業費に伴う京都府の負担金が9億2463万円増額となるなど安倍内閣の経済対策に基づく2月補正予算を更に増額するもので、赤字国債の増発による公共事業復活の性格に変わりがないことであります。
 国と地方の長期債務残高――借金の総額は、2014年3月末に977兆円になる見込みで、国内総生産比で2倍近くになり、主要国で最も高い水準となっています。これをもたらした最大の原因は、大型公共事業への巨額の財政バラマキでした。このことへの反省なしに安倍内閣が補正予算で5兆2千億円、15か月予算で48兆円もの国債を発行することは、国民にさらなる負担を押し付け、財政再建に逆行するものであります。
 第二に、国家公務員の退職手当の大幅削減法を地方に押し付け、京都府職員や公立学校教職員などの3月末退職者の退職手当を一人当たり百数十万円、総額約10億円を一方的に削減したものであります。デフレ不況の脱却へ賃上げこそ必要であることが大きな世論となってきているもとで、退職手当の削減は逆行するものであります。全国の自治体の中では、地域経済に与える影響を考慮し、職員の長年の労苦に応えるために、退職手当の削減を実施しないところがあり、本府の削減強行は問題であります。
 第三に、植物園北山通活性化事業費7800万円の繰越明許補正についてですが、博物館法に位置づけられた府立植物園の敷地を削り、活性化と称して新たなカフェを設置し、植物園の役割をゆがめることは認められません。さらに今回の補正では、入札段階で5つの業者から「この設計では予定価格と合わない」と辞退があるなど、無理やり設置しようとしたことに問題があります。
以上の理由から第50号議案、京都府一般会計補正予算に反対するものであります。
あわせて二点指摘しておきます。一つは、感動アリーナ整備費7億8200万円の繰越明許費の補正についてですが、デザインビルド方式で整備された結果、工事費が1億6千万円増額になり、工期も短縮できなかったことはこの方式の問題点が改めて明確になったといわざるをえません。
二つは、第74号議案、一般国道178号道路新設改良工事請負契約締結の件についてです。71.8%の低入札を問題なしとして契約しようというものですが、これほどの低入札では、労務単価を大幅に削減することになり、労働者に低賃金を強いることになります。本府は最低賃金を下回っていなければ問題はないとの姿勢ですが、末端で働く建設労働者まで生活できる賃金として少なくとも設計労務単価を保障することは、安心安全な公共事業を推進し、建設業界の健全な発展をはかるうえで極めて重要な課題となっていることを認識すべきであります。今後、この工事の実施に当たっては、設計労務単価からみて賃金がどうなっているのか点検し、設計労務単価に準じた金額となるよう努めるべきであります。
以上で討論を終わります。ご清聴誠にありがとうございました。

2月定例会 意見書・決議案討論

さこ祐仁(日本共産党、京都市上京区)2013年3月26日

日本共産党のさこ祐仁です。議員団を代表して、ただいま議題となっています意見書案12件と決議案1件について、3会派提案の「TPP交渉参加に関する意見書案」と「地方分権の推進を求める意見書案」の2件に反対し他の意見書案および決議案に賛成するものです。

最初に、わが会派提案の「米軍によるXバンドレーダー配備計画の撤回を求める意見書案」についてです。
 日米両政府は2月22日の日米首脳会談を受け、米軍の「ミサイル防衛」の一環である高性能レーダー「Xバンドレーダー」の京丹後市の航空自衛隊経ヶ岬分屯基地への配備計画を発表しました。
これは、京都府域に初めて日米地位協定が適用される在日米軍基地を設置しようとするものであり、わが党は、ただちに配備に反対する声明を発表するとともに、京都府知事、京丹後市長に「日米両政府に対し、Xバンドレーダー基地配備計画に反対するよう」求めました。
この間、開催された京丹後市の地元地区での説明会などでは、防衛省の説明が繰り返し行われてきましたが、防衛省側の説明は住民の心配や質問に十分こたえるものになっていません。住民の中には「米軍のレーダー基地設置により攻撃の標的となり、戦争に巻き込まれるのではないか」との懸念やXバンドレーダー配備による健康や環境への影響など様々な不安が広がっていることが、わが党議員団の現地調査でも明らかになっています。
今回のレーダー配備は、日本を守るためでなく、3月15日アメリカのヘーゲル国防長官が記者会見でのべたように、「北朝鮮の長距離弾道ミサイルからアメリカ本土を防衛するため、防衛体制の強化に取り組む」ものであり、弾道ミサイルを探知し追撃することにより、憲法が禁じている集団的自衛権の行使へつながるものであり、配備計画の撤回こそ求められているのです。
なお、知事は総括質疑でわが党・成宮議員に「一番の問題は北朝鮮だ」「どういう形で防衛態勢をとるのか」などと、Xバンドレーダー配備が当然であるかのような答弁をされました。北朝鮮のミサイル発射や核実験は当然、国際社会から糾弾されるべきものです。同時に軍事的緊張をいっそう高める方向では、憲法に背をむけアジアの平和と安定を勝ち取る道を遠ざけるものになることを厳しく指摘しておきます。

 次に、「TPP交渉参加表明の撤回を求める意見書案」についてです。
安倍首相は3月15日に、環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加を表明しました。安倍首相は、日米首脳会談で、「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」と説明していますが、これは国民を欺くものです。日米共同声明には、「『TPPのアウトライン』に示された...高い水準の協定を達成」すると明記されており、そこには、関税と非関税障壁の撤廃がTPPの原則だとはっきり書いてあるのです。しかも、あとから交渉に参加した国は、すでに参加している国によって決められたルールを変えることはできず、途中で脱退することもできません。
このようにTPPへの参加は、農業と食の安全、医療、労働など国民生活のあらゆる分野に深刻な打撃をあたえ、日本の経済主権をアメリカに売り渡すことにほかなりません。このため本議会にも、京都府保険医協会や農民連など24団体で構成される「TPP参加反対京都ネットワーク」のみなさんが、京都難病連をはじめ7団体、上京東部はじめ8地区医師会など147の医療機関、3人の農業委員の賛同署名をつけて、「国に対しTPP参加の断念を求めることに関する陳情」を提出されています。地方自治体では、TPP参加反対などの意見書・決議を可決したのが44道府県議会、214市町村議会にも及んでいます。
なお、3会派から提案されている「TPP交渉参加に関する意見書案」については、国に情報開示と国民的議論を求めるだけで、結局、TPP交渉参加を容認するものであり、賛成できません。
さらに、3会派提案の「国民皆保険制度の堅持に関する意見書案」については、国民皆保険制度を堅持することは当然であり賛成するものですが、TPP交渉への参加では堅持できないということを厳しく指摘しておきます。

 次に、わが会派提案の「旧日本軍『慰安婦』問題の早期解決を求める意見書案」についてです。
「慰安婦」問題は、日本がおこした侵略戦争のさなか、植民地にしていた台湾、朝鮮、軍事侵略していた中国などでおこなった非人道的行為であり、その数は8万人から20万人以上ともいわれ、その解決のため、わが党は本議会でも何度も意見書採択をよびかけ提案してきました。
1993年、いわゆる「従軍慰安婦」問題について謝罪した「河野官房長官談話」や1995年の戦前の日本の「植民地支配と侵略」を反省した「村山首相談話」などで政府は強制連行の事実を認め、謝罪しましたが、国による賠償はおこなわれておらず、いまだ未解決です。国連やILOなどの国際機関はもとより、海外の議会から、被害女性への公的な謝罪や国による賠償を求められていますが、被害者は高齢化し、亡くなった方もおられ、一日も早い解決が必要です。
ところが、安倍首相は政権発足直後の新聞インタビューで、「村山談話」や、「河野談話」について見直しを示唆し、内外で大きな批判の声が上がっています。NYタイムズ社説は、「犯罪を否定し、謝罪を薄めようとするいかなる試みも、日本の野蛮な戦時支配を受けた、韓国、さらには中国とフィリピンを激怒させる」と指摘しています。
本意見書は、「慰安婦」問題の真の解決のため、国による謝罪・賠償、教科書への記載等をおこなうことを求めるものです。歴史はつくり変えることはできませんが 向き合うことはできます。歴史に誠実に向き合い、誤りは真摯に認め、清算してこそ、日本は、アジア諸国民との本当の心通う友情を確立することができます。
なお、公明党提案の「慰安婦」問題の早期解決を求める意見書案には、安倍首相による歴史の見直しの危険性に触れていないなどの問題があることを指摘しておきます。

次に、「年金2.5%削減の中止を求める意見書案」についてです。
現役世代では、国民年金保険料の未納率が4割に達し、さらに高齢者でも、年金を1円も受給していない人が100万人にのぼり、国民年金の平均受給額が月5万円程度と、無年金・低年金問題は深刻です。
この間年金問題では自民党や民主党、公明党が最低保障年金の創設や年金あんしん100年など、マニフェストの中心問題として掲げていましたが、昨年の税と社会保障に関する密室合意で、国民への公約は踏みにじられました。
削減が実施されると3年間で基礎年金は22,500円、厚生年金は78,000円もの減額になります。しかも2.5%の削減は入り口で、その後もマクロ経済スライドで毎年0.9%以上、少なくとも10年先まで引き下げることが計画されています。
 消費者物価指数が下がったといいますが、下がっているのはテレビやパソコンなど電化製品が中心で、光熱費も食料品やガソリン代等も値上げされており、さらに介護保険料や、医療費、税金などは消費者物価指数に反映されませんが、こうした負担も年々引き上げられているのです。高齢者の生活実態に照らした検討が必要なのです。

次に、「生活保護基準引下げの撤回等を求める意見書案」についてです。
 保護基準の引き下げは、保護受給者を地域社会から一層孤立させることにつながり、子どもが二人いる母子世帯では2万円もの引き下げになりますが、これでは貧困が連鎖するものであります。
また、生活保護基準は、非課税限度額や就学援助、公営住宅の家賃など、各種制度の目安・基準となっており、低所得層全体に大きな打撃となります。
厚生労働省の試算では基準の引き下げにより、介護保険料で112万人の方々が、また介護サービスの負担上限額でも5万人以上、自立支援医療や障害福祉サービスでは7万人以上の方が負担増になることが明らかになっているのです。
 生活保護制度は、「最後のセーフティー・ネット」であり、その水準は、「健康で文化的な最低限度の生活」を規定した憲法25条を具体化したものでなければなりません。
だからこそ、日本弁護士連合会を始めとして、全国43の弁護士会、弁護士連合会も生活保護基準引き下げに反対する声明や意見書を相次いで発表しているのです。
 政府は、「不正受給」のキャンペーンを利用した生活保護制度の改悪・削減を行うのではなく、生活保護水準の引き上げをはかり、「働く貧困層」をはじめ、必要とするすべての国民が利用できる生活保護制度とするため、保護基準や運用、利用方法など抜本的な改善・拡充を行うべきです。

 次に、「BSE全頭検査体制緩和の撤回を求める意見書案」についてです。
 国は4月1日からこれまでの国産牛のBSE対策を緩和して30カ月齢超に緩和し、特定危険部位の除去についても30カ月齢以下であれば除去しなくてもよい、脳を含めて利用も可能にしようとしています。
これまで日本では、2001年に国内でBSE感染牛が見つかって以降、全頭検査を実施してきました。その後アメリカでBSEが発生したのを受け、2003年12月にアメリカからの輸入を禁止しましたが、アメリカの圧力に屈して2005年に20カ月齢以下の輸入を再開すると同時に国産牛の検査体制も緩和し20カ月齢超に緩和したのです。
そもそもアメリカでの検査は、と畜頭数の0.16%程度の少ない検体にもかかわらず、それでも昨年BSE感染牛が発見されています。
現在、日本はアメリカから輸入牛肉の月齢をさらに緩和し、輸入を拡大せよ、と執拗に求められているのです。今回の全頭検査の緩和はアメリカの輸入牛肉と横並びで国産牛についても緩和を迫るものであり、TPP参加の露払いとも言われているものです。
現在京都府を含めて多くの自治体では全頭検査を継続しており、こうした努力があったからこそ食の安心・安全が担保されてきたのです。
  本意見書案は、全頭検査体制緩和の撤回と全頭検査に対する国の助成の継続を求め、さらに特定危険部位の除去についても継続するよう求めるものです。

次に、「特別支援教育の充実を求める意見書案」についてです。
特別支援学校や小中学校の特別支援学級などで学ぶ子どもたちの数は、1999年からこの10年間で約18万人から約30万人に増加しています。なかでも特別支援学級の在籍児は約2倍に増加し、従来から多かった知的障害の子どもに加え、対人関係をうまく結べない情緒障害や発達障害の子どもなど、障害の状態も多様になっていますが、特別支援学級の学級編成基準はこの17年間全く変わっていません。
そのような下で、担任の先生は、一人一人の子どもの課題に合わせた教材づくりと個別指導に加え、身辺自立の難しい子どもがいればその対応に追われ、他の子どもの指導ができなくなることで、子どもと教師との関係作りが困難になっています。特別支援学級で学ぶ子どもたちの学力と発達を保障する上で現在の学級編成基準を8名から6名に改正することは、待ったなしの課題となっています。本議会にも8533名もの京都障害児・者の生活と教育を豊かにする会のみなさんから切実な願いとして請願が出されており、本議会としてこうした声に応えることを呼びかけるものです。

 次に、「地域循環型の経済対策を求める決議案」についてです。
京都府経済の疲弊は、様々な指標が示すように厳しい状況が続いており、さらに円安による原油高騰が追い打ちをかけています。建設業では、倒産数が全産業の約30%を占める深刻な状況です。仕事量の減少と過度な競争の中で、営業利益率の低下、労働者賃金の低下が止まらず、建設業協会からも、「職人不足が深刻」「北部の除雪にも影響が出ている」「このままいけば、下請けへの負担、品質悪化につながる」との声も上がっています。丹後ちりめんの精錬工場では、ボイラーに使用するA重油の値上がりで、年間で1000万円を超える負担増がすでに現実のものになっています。さらに、電気料金の値上げでさらに数百万円規模での負担増となれば、産業は危機的な状況に追い込まれます。
来年度予算にはこうした現状への緊急の対策が求められます。しかし、中小企業支援も極めて限定的なものにとどまっていますし、前年度比133%となった公共事業も、府民の安心安全にかかわる重要なものが含まれる一方、新たな高速道路の建設など不要不急なものも含まれています。
原油や小麦など生活必需品の円安による物価上昇は、国民の暮らしや消費も直撃します。不要不急なものは見直し、全国の自治体でも高い経済波及効果が確認されている、住宅リフォーム助成制度などの実施や、適正な執行を行う上でも欠かせない技術職員など職員の抜本的増員を図り、地域循環型の経済政策で、力強く地域経済の疲弊を打破する道を進むべきです。
以上、わが党提案の意見書案7件と決議案1件への賛同を求めるものであります。

 次に、3会派提案の「子ども・被災者生活支援法に基づく具体的施策の早期実現を求める意見書」案についてですが、わが党も法案成立に努力し、国会でも府議会でも、一刻も早い法に基づく基本方針の制定や公営住宅等の無償入居期間の延長を求めてきたところであり、賛成するものです。

最後に、3会派提案の「地方分権の推進を求める意見書案」についてです。
国出先機関の事務権限の移譲については、市町村長会をはじめ多くの反対でとん挫しているものです。地方を置き去りにする広域連合への権限移譲や財界が狙う道州制につながる動きを押しすすめようとするこの意見書(案)には反対です。
以上で討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。

2月定例会 平成25年度予算案等議案討論

まえくぼ義由紀(日本共産党、宇治市及び久御山町)2013年3月26日

日本共産党のまえくぼ義由紀です。議員団を代表して、ただいま議題となっています議案42件のうち、第1号、第13号、第23号、第27号、第40号及び第42号の6件に反対し、他の36件に賛成する立場から討論を行います。

まず、第1号議案 平成25年度一般会計予算についてです。
反対する理由の第1は、政府追随の予算になっているからです。
政府予算案は、安部首相が、デフレ打開策として掲げる「三本の矢」を踏まえて、高速道路、国際港湾整備などの大型公共事業や軍事費も軒並み増額され、研究開発減税、投資減税など、大企業向けの減税も拡大されました。その一方で、デフレ不況の原因である国民の所得の減少には手を打たず、地方公務員の賃金引下げを前提とした地方交付税の削減、年金減額や生活保護基準の切り下げ、中小企業円滑化法の打ち切り、35人学級の実施見送りなど、国民の暮らしの予算は削減されました。これではデフレ不況は解決されないどころか、消費税増税と合わせてくらしと経済の危機をますます深刻化させるものです。
本府の新年度当初予算は、初めて9000億円台となる9006億円が計上され、そのうち投資的経費が、14カ月予算として1279億円にものぼり、前年度の当初予算と比べ317億円増の133.1%となり、府単独事業も567億円と大幅に増額されました。
予算編成方針では「現下の緊急課題へ集中投資を行う」として、重点的防災・減災対策、緊急経済対策、緊急雇用対策を打ち出しています。しかし、その内容は、集中豪雨対策や道路・橋梁強靭化など250億円もの重点投資に加え、ミッシングリンクの解消を理由に、鳥取・豊岡・宮津道路につながる野田川大宮道路や新名神高速道路のインター設置と一体の八幡インター線の整備などを進めています。天ヶ瀬ダム再開発、北陸新幹線促進、リニア新幹線の誘致費なども盛り込んでいます。大型事業等が、中小企業や雇用対策等と比べても突出した規模となり、政府による公共事業を中心とした見せかけの「景気浮揚策」に追随した予算となっています。

第2は、ムダな大型事業につながる可能性があるからです。
府が積極的に誘致し、約580億円もの巨額を投じながら破綻した「私のしごと館」を、文化財保存修復センター等の拠点として整備しようとする問題です。そもそも「私のしごと館」は、本府が、学研都市の中核施設として熱心に誘致してきたものです。今回、国の責任があいまいなまま無償譲渡されますが、再整備にどれだけの経費がかかるのか、活用した場合の管理運営費について等、何も明らかにされておりません。建設時には労働者の雇用保険を湯水のように使い、破綻した後も幽霊屋敷のように放置し、最後は地方に押し付ける国のやり方は許せません。
また、「けいはんな」破綻時の債権放棄といい、今回の私のしごと館の無償譲渡といい、府民負担で国や財界の責任を免罪するような本府のやり方も大問題です。
北山文化環境ゾーン整備では、歴史的に築かれてきた府立植物園や、貴重な資料の収集、保管という府立資料館の本来の役割や魅力、それらを含めた北山地域の街のあり方をゆがめ、「にぎわい」「活性化」などを看板に、本来の魅力を変質させる計画であり、見直すべきです。
新堀川魅力創造事業では、昨年6月、府営堀川団地6棟のうち4棟は耐震補強すると地元商店街に説明してきたにもかかわらず、9月以降に4棟は建て替えると変更され、それを機会に「アートと交流」をテーマに民間活力による堀川通りの新たな魅力づくり、「西陣アート&クラフトセンター」・「留学生センター」を整備するとしていますが、地元商店街にはまともな説明がされていません。「家賃は高くなり資金力のない商店は出ていけというのか」、「商店街を追い出し、住めなくすることが堀川団地再生計画なのか」などと不安が広がっています。商店街や住民を置き去りにした民間活力による新堀川魅力創造事業は、拙速にすすめるべきではありません。
「海の京都」の統一コンセプトのもとに、府北部地域のうち重点地区設定を行い、民間主導で観光を推進するなど、民間活力導入をいっそう進める方向が示されています。また、舞鶴港外航クルーズ船等受け入れ環境整備等が予算化されていますが、ムダな大型の投資につながる可能性があります。
これらの事業の多くは、府民や現場の意見を積み上げ民主的に進めるのではなく、計画を民間にゆだね、しかも知事のトップダウンの手法で強引に進められていることは問題だと指摘しておきます。

第3は、雇用・賃金確保、中小企業支援の問題です。
きびしい事態に直面する府民の暮らしと京都経済に対し、本府の果たすべき役割は、賃金の引き上げと雇用確保、中小企業や農林水産業支援、また、社会保障充実を基本とした地域循環型の景気対策を進めることです。
予算案に対し、各界から「公共事業がいくら降りてきても、地元企業が仕事を請け、下請け単価や賃金の引き上げがなければ、景気回復にはならない」などの声が上がっています。また、「地元業者に仕事を」「住宅リフォーム助成制度の創設を」「公契約条例の制定こそ必要」など、予算要求を柱とした本府への申し入れも広がっています。
知事は本会議で「公契約、公的事業だけが賃金が保障されるというのは、どう考えてもおかしい」と、ピンはねなどで下請け労働者が不当に低賃金を強いられていることの改善について、心を寄せない答弁を繰り返しました。下請け業者や労働者の置かれている状態を改善し、公共事業が地域経済の再生に役立つよう、改めて公契約条例の制定を強く求めておきます。
中小企業支援の問題では、本府は、この4年間で府内の商工会議所・商工会への補助金を8千万円も削減、25年度も約1400万円削減し、小規模事業者の経営、技術の改善支援事業を後退させています。経営指導員などの地道な活動を支えるこのような補助金の削減は中止し、復活させるべきです。

第4は、医療や社会保障における自治体の役割を後退させているからです。
 来年度予算の柱の一つに「京都式地域包括ケア」の具体化が位置づけられていますが、国による「自助」「互助」を基本にした地域連携で高齢期の在宅を支え、給付の抑制を狙う「地域包括ケア」と同じく、社会資源が全く足りないにもかかわらず、公的支援の役割を弱め、高齢者を施設から在宅に誘導するものとなっています。また、福祉医療制度の母子家庭医療費助成制度について、今回、父子家庭を対象とする一方、それと引き換えに児童扶養手当の所得制限額に引き下げることで、児童扶養手当が適用されない一人親家庭に対して医療費の助成からも排除するという重大な影響を与えてしまいます。
なお、府立与謝の海病院を法人化しこの4月から公立大学法人北部医療センターとして開設することについて、地域住民から切実に要望されてきた脳外科医の確保についての保障はなく、事実上、丹後医療圏全体で医療を完結する方針も全く示されないままとなっています。3月10日に本府主催で開催されたシンポジウムでも、地元町長や地域住民の皆さんから、脳神経外科医の確保で手術ができる体制整備や救急救命センターの設置、精神科病棟の新設などの要望が重ねて出されるとともに、与謝地区医師会長が「研究が重視され、臨床部門が軽視される懸念」を表明され、法人化・附属病院化が「地域にとっていいことばかりなのか、監視していきたい」と発言されたとおり、解決すべき課題は山積しています。その不安と願いに応えることこそ、本府の果たすべき公的責任であることを厳しく指摘しておきます。


第5は、受験競争を激しくする教育をすすめているからです。
「京都市・乙訓地域の新しい高校教育制度」が、多くの生徒、保護者、教員などの不安と疑問の声を押し切ってすすめられ、1年後の入試から導入されようとしています。通学圏を拡大し、総合選抜制廃止、単独選抜制導入は、各高校の特色化推進と合わせ、「難関大学への進学実績」、「部活動実績」、「就職実績」などで競い合わせることになります。すでに単独選抜に移行した山城通学圏などでは、高校の格差と序列化がすすみ深刻な事態になっています。さらに府教育委員会は、中学校でも「3年以内に全国トップ10をめざす」として、学力診断テストを、3年生から2年生、そして今回1年生にまで拡大しています。こうして受験競争をいっそうひどくするばかりで、どの子供にも豊かな学力を等しく保障すべき本来の公教育のあり方がゆがめられています

第6は、賃金・職員削減をすすめているからです。
自治体の役割を弱める「行財政改革」には積極的で、事業の休廃止257件となるスクラップアンドビルドが徹底され、職員削減や人件費削減と合わせ、総額127億円が削減されています。さらに、政府による公務員給与削減の押し付けを前提にした予算編成を行い、これによる地方交付税削減の影響額は、義務教育費国庫負担金のマイナス15億円を加え総額115億円で、それを府債管理基金の取り崩し等で当面の財源を確保していますが、仮置きであり、給与削減を迫るものです。
人事委員会制度を踏みにじる公務員給与の削減は、公務員に準じている福祉や医療労働者をはじめ、全ての労働者の賃金水準を引き下げることにつながり、府民の暮らしと地域経済の再生に逆行します。
豪雨災害に見舞われた山城北土木では、応援の職員を入れても追いつかず、残業、土・日出勤で何とかしのいでいることや非常事態宣言を出している土木事務所もあることなど、人員不足も深刻です。緊急経済対策・公募型予算が増えても、執行できるのかどうか予算委員会でも議論になりました。土木・保健所などの配置見直し、技術職員等の大幅増員が必要です。

最後に、道州制の問題です。
知事は、本会議答弁で「国会議員の8割は道州制賛成。道州制は世論」と道州制への道を当然視しました。しかし、選挙結果を持って道州制が信任されたということにはなりません。また「滋賀県との合併」にも言及しましたが、滋賀県知事は「国が地図に線を引いて道州制にしろとか、合併しろととかいうのは、地方自治を冒涜するもの」「滋賀を植民地にしてほしくない」と、国会の動きや山田知事の発言について、批判したとの報道もありました。
そもそも、住民の暮らしや市町村合併で疲弊している地域を置き去りにして、大型事業や再開発を財界の要求に応える体制づくりのためにすすめているのが道州制です。本府議会の「道州制に転化するものではない」との決議があるのに、広域連合に「道州制のあり方研究会」を立ち上げ、本府でも「新しい地方行政の未来研究会」つくって、道州制のあり方や滋賀県との合併の検討をするなど、事実上道州制を推進する役割を担う知事の姿勢は重大です。
以上の理由で、第1号議案は反対です。

次に、第13号議案 水道事業会計予算についてです。
府が供給している基本水量のうち受水市町での使用水量は60%程度に過ぎず、「カラ水料金」は約16億円に上ります。過大な基本水量の受水市町への押し付けは、住民の高い水道料金と市町の水道会計悪化の大きな要因となっています。高い府営水道の値下げを求め住民の運動が粘り強く続けられていますが、予算案は、この願いに応えておらず反対です。
なお、本府は、概ね10年後を見通した「府営水道ビジョン」を策定しました。ビジョンでは、人口減少などで受水市町の水需要は4.5%も減り続けるのに、府営水は4%増やすとしています。これを実施すれば、府営水の比率が51%から55.6%に跳ね上がり、市町の自己水(地下水)をさらに減らし、もっと府営水を使えということになります。府営水道条例に基づく市町の水量申請権を奪い、災害や事故時にライフラインの確保に大きな役割を担う市町の自己水(地下水)を否定するものです。
ビジョンによる将来方向は、受水市町の浄水場の廃止・統合等を伴う水道事業広域化の道であり、府の責任で運営すべき府営水道事業を、あたかも府と市町の一体事業だとする「企業団方式」へと変質させるものです。厳しく指摘しておきます。

次に、第23号議案、手数料徴収条例一部改正等の件及び第42号議案、関西広域連合規約変更に関する協議の件についてです。
第23号は、試験等の事務が関西広域連合に移管されることに伴うもので、第42号は、ドクターヘリの運行範囲の拡大、広域産業振興分野等の負担割合の内容を追加するに伴い、規約の変更を行うものです。いずれも、関西広域連合の機能の拡充であり、反対です。なお、ドクターヘリ運行の拡充は必要ですが、広域連合ではなく広域連携で十分対応できるものだと指摘しておきます。

第27号議案、府立体育館条例一部改正の件については、全面リニューアルに伴い、使用料の見直し、値上げを行おうとするものですが、アマチュアスポーツの団体、利用者にとっても負担増となるものであり、反対です。

第40号議案、指定管理者の指定の件については、現在も山城地域の中学校駅伝大会の合宿など年間1万4千人もの利用者がある社会教育施設の「府立南山城少年自然の家」を11月末で廃止することを前提にしたものであり、反対です。

なお、第28号議案、府立植物園条例及び府立陶板名画の庭条例一部改正の件については、小中学生の入園料無料化等を行おうとするもので賛成するものですが、条例事項ではない規則の見直しで、60歳から69歳の高齢者を有料化することについては、高齢者を植物園から遠ざけることになるもので、認められまません。

さて、安倍自公政権は、TPP交渉参加、原発の再稼動・新増設、憲法9条など改憲、オスプレイの配備・訓練の強行、丹後半島へのXバンドレーダーの配備などの動きを強めています。いずれもくらしや安心・安全、平和にかかわる重大問題です。自公政権は、国会では多数ですが、国民は全て信認を与えたわけではありません。「原発を早くなくしてほしい」「改憲が心配」など不安の声が大きく広がっています。
知事は、「国の経済対策と風を合わせ」「京都府の懸案を一気に仕上げていく年にしたい」などと述べ、いっそうの規制緩和と集中投資、道州制への動きを加速させています。今こそ国追随ではなく、府民のくらし、平和守る「防波堤」となって、「住民福祉の増進」という自治体本来の役割を果すべきです。以上、厳しく指摘し、討論を終わります。

意見書・決議案文

日本共産党提案の意見書案・決議案

否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)

米軍によるXバンドレーダー配備計画の撤回を求める意見書(案)

2013年2月22日に開催された日米首脳会談で、「ミサイル防衛」の一環であるXバンドレーダーの追加配備に合意し、日米両政府は26日に京丹後市の航空自衛隊経ヶ岬分屯基地に配備すると発表した。既に防衛省は、京都府知事や地元首長への説明、地元住民への説明会など、配備ありきで着々と準備を進めている。これにより、京都府域に初めて地位協定が適用される在日米軍基地が設置されようとしている。
6年前にXバンドレーダーが配備された青森県の自衛隊車力基地では、海難事故が起きても県警ヘリが電波発射のために飛行できない、米軍基地で働く軍属による女性宅への不法侵入、飲酒による交通事故等の犯罪が9件も発生している。
配備計画地の地域住民からは、「電磁波による人体や農林漁業への影響が心配」、「米軍基地ができ、沖縄や青森のような被害がおこるのではないか」、「ドクターヘリや観光への影響はどうか」、「基地が攻撃の対象になるのではないか」などの不安の声があがっている。
今回のレーダー配備は、日本国民を守るためでなく、米国本土防衛のものであり、更に弾道ミサイルを探知し追撃することによって、憲法が禁じている集団的自衛権の行使へつながるものである。
 ついては、国におかれては、国民のいのちと生活を守るため、航空自衛隊経ヶ岬分屯基地への米軍によるXバンドレーダー配備計画を撤回することを強く求める。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)

TPP交渉参加表明の撤回を求める意見書(案)

政府は3月15日に、環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加を表明した。安倍首相は、日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」と説明しているが、日米共同声明には「『TPPのアウトライン』に示された...高い水準の協定を達成」すると明記されている。「TPPのアウトライン」には、関税と非関税障壁の撤廃がTPPの原則と書かれており、「高い水準の協定」で、外務省の報告書によれば、これまで「聖域」とされてきた農林水産品―コメ、小麦、砂糖、乳製品、牛肉、豚肉、水産物など940品目について、関税撤廃を求められることだとされている。結局、聖域なき関税撤廃をアメリカに誓約してきたのが日米共同声明であり、国民皆保険や食の安全などが守られる保証は何もない。
政府は、TPP参加に伴う経済効果や農業への影響をまとめた試算を公表したが、農林水産業の分野では、関税が撤廃されると、生産額は4割超に当たる3兆円が失われ、影響が最も大きいコメは1兆1千億円も減少する。これでは、日本の農林水産業は壊滅しかねない。また、非関税障壁の撤廃によって、医療の分野では、国民皆保険制度が破壊され、雇用・労働の分野では、これまでも引下げ、改悪され続けてきた賃金・労働条件が更にひどくなり、産業の分野では、日本のものづくりの基盤が崩壊しかねない。
このように、TPP参加は、農業、食の安全、医療、労働など、国民生活を土台から壊し、経済主権をアメリカに売り渡すことにほかならない。だからこそ、多くの国民や団体が反対の声をあげているのである。
安倍首相は、交渉の中で、「守るべきものは守る」と言っているが、あとから交渉に参加した国には、既に参加している国によって決められたルールを変えることができず、一旦交渉に参加すると、脱退することもできないのである。
 ついては、国におかれては、TPP交渉への参加表明を撤回することを求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)

旧日本軍「慰安婦」問題の早期解決を求める意見書(案)

旧日本軍「慰安婦」問題は、現在も被害女性からの謝罪と補償を求める訴えが続けられているが、このことは被害者の尊厳にかかわる重大な人権問題であり、その解決が急がれるところである。
日本政府は1993年河野洋平官房長官談話で「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」と認め、「お詫びと反省の気持ち」を述べたが、それに基づく真剣な検討は、20年を経過した今日でも進展していない。
「慰安婦」問題をめぐり賠償などを日本政府に求めているのは韓国だけにとどまらない。2007年にはアメリカ下院で、またオランダ、カナダ、EU27カ国、フィリピン、韓国、台湾の議会や政府が求めている。さらに国連の国際人権機関からも「法的責任を認め、被害者の多数が受け入れられる形で謝罪すべきだ」と勧告が出されてきた。   
今年1月にも、米ニューヨーク州上院は旧日本軍の「慰安婦」問題について、巻き込まれた女性たちの尊厳をたたえるという決議を全会一致で採択しており、日本政府の挙動に国際的な注目が集まっているところである。
ついては、国におかれては、旧日本軍「慰安婦」問題の早期解決のため、次の事項を実施するよう強く求める。

1 被害者に対し、閣議決定による公式な謝罪、名誉回復などの誠実な対応を急ぐこと。
2 被害者に対し、損害賠償を行なうこと。
3 問題の真相究明をさらに進めるとともに、人々の理解を深め、教科書への記述を回復させることを初め、次世代に伝える責任を果たすこと。

 以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。

(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)

2.5パーセント削減の中止を求める意見書(案)

昨年11月16日の国会最終日に、わずか3時間余の審議で採決が強行された法律により、今年の10月から3年間で年金受給額が2.5パーセント切り下げられようとしている。
削減の根拠にされているのが、物価が下がれば年金額を下げ、物価が上がった年には年金額が自動的に抑えられるようにするマクロ経済スライド制度である。2000年から2002年に消費者物価指数が下がった時に、高齢者の生活と経済への悪影響を避けるためにこの制度を適用せず、「特例」としたが、今回これを遡って適用するものである。
この間、年金保険料の際限ない値上げや繰り返される給付削減、支給開始年齢の先送りなど年金制度の改悪が続いてきた。国民年金の平均が現在月5万円にも満たない中、高齢者にとって、灯油などの生活必需品をはじめ、医療費や介護保険料などの負担増は、深刻な生活苦と将来不安を招いており、年金削減はこれに追い打ちをかけるものとなる。
また、年金の削減は、深刻な不況が続く京都の地域経済に大きく影響を及ぼすことになる。
ついては、国におかれては、年金2.5パーセント削減を中止するよう強く求める。
以上、地方自治法第99条により意見書を提出する。

否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)

生活保護基準引下げの撤回等を求める意見書(案)

政府は2013年度予算案に、生活保護基準の引下げを盛り込んだ。食費や水光熱費など日常生活に欠かせない生活扶助費を8月から3年かけて引下げ、扶助費670億円の削減を行う計画である。
今回の削減は過去に例をみない大幅な削減であり、減額対象は保護世帯の96パーセントにものぼり、最大で10パーセント減額される世帯、月2万円も削減される夫婦子供2人世帯も生まれるなど、更なる貧困を強いるものである。
既に老齢加算の段階的廃止で、「食事を1日2回に減らした」とか「知り合いの葬儀にも出席できない」など深刻な事態になっている。さらに、生活保護基準の引き下げは、その影響が就学援助や個人住民税の住民税非課税限度額の算定、保育料や医療・介護の減免制度など40以上の制度に及び、新たな負担増や制度から締め出され、利用できない事態が懸念される。
本来、生活保護は、憲法第25条に基づき国民が人間らしく生きる権利を保障する制度であり、国がその責任を果たすべきものである。
ついては、国においては、次の事項について改善されるよう求める。

1 生活保護基準の引き下げ計画は撤回すること。
2 生活保護の老齢加算を復活すること。
3 生活保護の国庫負担は、現行の75パーセントから全額国庫負担をすること。
            
以上、地方自治法第99条により意見書を提出する。

否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明創生)

BSE全頭検査体制緩和の撤回を求める意見書(案)

BSE感染牛を食べることによって発生するクロイツフェルトヤコブ病は、治療方法がなく罹患すれば必ず死に至る病気であり、リスクは小さくても排除するという予防原則の徹底が重要である。
  これまで日本では、2001年に国内でBSE感染牛が見つかって以降、と畜場で解体されたすべての牛に対して、BSEの疑いがあるかどうかの検査が行われてきた。その後、アメリカからの牛肉の輸入再開に向けて、厚生労働省は2005年に検査対象を「21カ月齢以上」に限定したが、多くの自治体では今でも全頭検査を継続しており、こうした努力があったからこそ、国民は安心して国産牛を食することができていたのである。
国は4月1日から、これまでの国産牛のBSE対策を更に30カ月齢超に緩和し、特定危険部位の除去についても30カ月齢以下であれば除去しなくてもよい、脳を含めて利用も可能としたが、食の安全を守るためにも、自治体で行われている全頭検査の継続は必要である。また、BSEにおける異常プリオンは脳や脊柱・脊髄に蓄積することから危険部位として除去されてきたのである。
そもそも国内では検査体制の緩和の要望はなく、アメリカ産牛肉の輸入に関する検査体制の緩和と合わせて国産牛の対策も緩和するものである。
ついては、国におかれては、全頭検査体制の緩和を撤回し、同検査継続のための助成と特定危険部位の除去についても継続すべきである。
以上、地方自治法第99条により意見書を提出する。

否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)

特別支援教育の充実を求める意見書(案)

特別支援教育が制度化されて6年目を迎え、この間、特別支援学校や特別支援学級などに学ぶ子どもの数は年々増加しているが、特別な支援を必要とする全ての子どもたちの教育と発達保障に照らしてみると、そのための教育条件整備はまだ十分とは言えない。
とりわけ、特別支援学級には、従来の知的、自閉・情緒・病弱などの障害種別に加えて発達障害児も増加し、その状態は多様化している。一方、学級編制基準はこの17年間変わらないままとなっており、一人ひとりの子どもの豊かな学びと育ちを保障するためには、専門性を有する教員の配置を増やし、学級規模をより小さくするなどの条件整備が待ったなしとなっている。
国連の障害者権利条約の批准に向けての中央教育審議会の報告でも、障害のあるなしにかかわらず「共に学ぶことを追求する」と同時に、「通常学級、通級による学級、特別支援学級、特別支援学校のそれぞれの環境整備の充実」の必要性が指摘されているところである。
ついては、国におかれては、子どもたちと親の願いに応え、特別支援教育の抜本的充実を図るとともに、緊急に特別支援学級の学級編成基準を8名から6名に改正し、特別支援教育に関わる専門性を有する教員の配置を増やすことを求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)

地域循環型の経済対策を求める決議(案)

京都経済は財務事務所の発表した法人企業景気予測調査によると、この1~3月期でマイナス16.4パーセント、3期連続で悪化するなど、厳しい状況で、円安による原油高騰も含め緊急の対応が求められている。
そういった中で政府は、「大胆な金融緩和」、「機動的な財政出動」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」を「緊急経済対策」として推し進めようとしている。しかし、これでは、現在のデフレ不況の大きな要因となっている内需の冷え込みを解消することができないのは、1990年代以降の「失われた20年」が物語っている。デフレ不況の脱却のためには、賃金の引上げで国民の懐をあたため、内需を活発にする政策に転換を図ることが必要である。
よって、本府におかれては、最低賃金の引上げや安定雇用の確保、労働関係法令の抜本的改善等を国に求めること。また、執行に当たっては、不要不急の事業を見直し、住民の要望を踏まえた地域密着型の公共事業を地元業者に発注すること、住宅リフォーム助成制度等の地域経済への波及効果が高い施策を実施すること、適正な執行管理ができるよう技術職員の採用など職員の抜本的増員と広域振興局等の充実・見直しを行うことをはじめ、地域経済の疲弊を打破する地域循環型の経済対策へと転換するよう強く求める。
以上、決議する。
他会派提案の意見書案文

可決(提案:自民・民主・公明、賛成:全会派)

子ども・被災者生活支援法に基づく具体的施策の早期実現を求める意見書(案)

平成24年6月21日、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」いわゆる子ども・被災者生活支援法(以下「支援法」という。)が、議員立法により全会一致で可決成立した。
この支援法は、被災者が、①支援対象地域を離れて他の地域に移動されたり、元の地域に戻られたりする選択の権利を尊重すること、②支援対象地域はもとより、支援対象地域以外の地域で生活される場合であっても適切に支援すること、③特に子どもへの健康被害を防止することなどが盛り込まれた、生活支援等施策を進める基本となる事項を定めたもので、具体的な施策は、政府の定める「基本方針」によるものとされているが、法律の成立から9箇月が経過するにもかかわらず、いまだ「基本方針」が策定されていない状況にあり、3月15日に発表された復興庁による「原子力災害による被災者支援施策パッケージ」の内容も十分とは言えない。
福島第一原子力発電所事故からは2年が経過したが、今なお、多くの方が住み慣れた地域を離れて避難されており、京都府内においても、住宅や仕事の確保、子どもの健康不安をはじめ、二重生活や帰省の費用等、様々な負担を強いられている。
ついては、国におかれては、被災者の現状を真摯に受け止め、支援法に基づき具体的な施策を迅速に実施するよう、次の事項について、強く要望する。
1 支援法に基づく「基本方針」を策定し、各種の施策を早期に具体化するとと もに、必要な予算措置を講じること。
2 地方公共団体が行う関連施策に対して、国が財政上の措置等の支援を行うこ と。
3 支援法に基づき、基本方針や具体的施策に被災者の意見を十分に反映する措 置を速やかにとること。
4 避難者に対する公営住宅等の無償入居期間延長に対して、必要な措置をとる こと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

可決(提案:自民・民主・公明、賛成:全会派)

国民皆保険制度の堅持に関する意見書(案)

我が国では、少子高齢化と人口減少が同時進行する中で、地域社会を支えてきたコミュニティの衰退が懸念されており、リーマンショック以降、長引く経済状況の低迷なども相まって、介護や子育て、年金など、それぞれの地域で安心して暮らせる社会生活基盤の再構築が課題となっている。
こうした中、持続可能な社会保障制度の確立に向け、社会保障と税の一体改革の取組が進められており、消費税率の段階的引上げ等により安定財源を確保するとともに、平成24年11月からは、社会保障制度改革国民会議において、議論が行われている。
政府は、平成25年3月15日に環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加を表明したが、中でも外国資本を含む営利企業の参入によって医療が自由経済市場にさらされることになれば、公的保険の対象範囲の縮小や所得による医療格差が懸念されるなど、我が国が世界に誇る国民皆保険制度が崩壊することにつながりかねない。
ついては、国におかれては、いつでも、どこでも、だれでも安心して医療を受けることができる国民皆保険制度を恒久的に堅持するとともに、国民皆保険の崩壊につながりかねない医療の営利産業化につながる政策は行わないよう、強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

可決(提案:自民・民主・公明、賛成:自民・民主・公明・創生、反対:日本共産党)

TPP交渉参加に関する意見書(案)

政府は、平成25年3月15日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加を表明した。TPPに対しては、いまだ詳細が不明確であり、依然として慎重な対応を求める声も多く、国民に対して明確な説明を行い、国民合意を得た上で、最終判断をすべきである。
ついては、国におかれては、地方における議論や声を真摯に受け止め、①農林水産品における関税、②自動車等の安全基準、環境基準、数値目標等、③国民皆保険・公的薬価制度、④食の安心・安全の基準、⑤ISD条項、⑥政府調達・金融サービス業、⑦医薬品の特許権、著作権等、⑧事務所開設規制、資格相互承認等、⑨漁業補助金等、⑩メディア、⑪公営企業等と民間企業との競争条件に関して守り抜くべき国益を認識し、それらの国益をどのように守っていくのか、明確な方針と十分な情報を開示し、国民的な議論を経て、的確に対応するよう、強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

可決(提案:自民・民主・公明、賛成:自民・民主・公明・創生、反対:日本共産党)

地方分権の推進を求める意見書(案)

現在、人口減少、少子高齢化による人口構造の激変、経済・社会のグローバル化などによる経済・社会構造の変化も進む中で、地方自治体が、地域資源・地理的条件など、その個性を最大限に活かし、地域の実力を遺憾なく発揮できる取組を進め、地域の多様性と創意工夫を成長・発展に昇華させることができる仕組みづくりが求められる。
そのためにも、更に、全国一律ではなく、地域のことは、地域住民が、自らの責任で、自主・自立して選択・決定する地方分権改革を強力に推進することが必要である。
国においては、今日まで、3次にわたり「義務付け・枠付け」の見直しを行うとともに、現在、4次の見直しに向けて関連法案を提出する予定とされているが、更なる取組が求められている。
京都府議会においては、地方分権改革の突破口として、国出先機関の事務、権限の移譲を求め、その受け皿となることを大きな目的とした関西広域連合に、8項目の附帯決議を付し、参加することを議決した。
その後、京都府を含む2府5県が参加する関西広域連合が設立され、関西広域連合が、国に対し、近畿経済産業局、近畿地方整備局、近畿環境事務所の3機関の丸ごと移管を強く求める中、昨年11月には、「国の特定地方行政機関の事務等の移譲に関する法律案」が閣議決定された。その後、政権交代により、今後の同法律案の取扱いは不透明な状況になるとともに、将来の統治機構のあり方として「道州制」の議論が始まろうとしている。
ついては、国におかれては、こうした状況を踏まえ、これまで、国、地方が協働して、真摯に進めてきた地方分権改革の歩みを止めることなく、着実に推進させるため、将来の統治機構のあり方としての検討を待つことなく、関西広域連合が求めてきた国出先機関の事務、権限の移譲を進めるための取組を強力に推進するよう、強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

可決(提案:公明、賛成:公明・民主・日本共産党、反対:自民・創生)

「慰安婦」問題の早期解決を求める意見書(案)

旧日本軍によって「慰安婦」とされた多くの女性たちに対し、政府は、いわゆる「河野談話」や「アジア女性基金」などによる取組を重ねてきており、多くの課題は解決されていると考えられてきた。しかし、被害女性自身からは受け入れられるには至っておらず、新たに被害の声も出てきており、また国際社会から指摘も続いている。
そのことを踏まえ、被害女性に対し再びその声を聞き、調査分析を進め、必要に応じ理解ある補償を行い、名誉と尊厳を回復することは、いまだ日本政府に残された責務と言える。
また、被害女性たちは既に高齢で訃報が相次ぐなどの状況があるため、人道上からも、政府による時間的に早急な対応が必要である。
ついては、国におかれては、これらの状況を鑑み、戦後67年を経たこの時に、旧日本軍による「慰安婦」問題の解決を図るため、次の事項について、誠実に実行するよう、強く要望する。
1 旧日本軍による「慰安婦」被害者に対し、再度調査分析を行い、必要に応じ、謝罪の追加、理解ある補償及び名誉回復の措置を、誠実に急ぎ行うこと。
2 旧日本軍による「慰安婦」問題の真相解明を更に進め、人々の理解を深めるとともに、世界が同様の過ちを犯さないために、歴史の事実と教訓の次世代への継承に取り組むこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

015.jpg016.jpg017.jpg無所属議員の議案に対する態度は与党3会派と同じ。

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