2013年6月定例会 島田けい子代表質問
6月定例府議会が6月17日開会しました。6月21日の島田敬子議員の代表質問と知事答弁の大要を紹介します。
6月定例議会代表質問
島田けい子(日本共産党、京都市右京区) 2013年06月21日
アベノミクス 安倍政権の異常な経済政策の破たん
【島田】日本共産党の島田けい子です。議員団を代表し、知事並びに関係理事者に質問いたします。
第二次安倍政権が発足して6カ月、「バブルと投機」のアベノミクス、消費税増税と社会保障の切り捨て、雇用のルール破壊、原発の再稼働と輸出、TPP推進、米軍基地強化と憲法改悪、過去の侵略戦争を肯定・美化する政治姿勢など、どの問題でも、早くも国民との矛盾を広げ、ほころびと破綻が始まっています。参議院選挙を前にして、日本共産党は、6月6日、参議院選挙で問われるこれらの大争点について、改革提言を発表させていただきました。安倍政権の危険な暴走と真正面から対決し「国民が主人公」の新しい政治実現へ、全力を挙げます。
質問の第一は、経済政策、アベノミクスについて知事の現状認識と評価について伺います。
安倍首相は、「株が上がった。アベノミクスで景気が良くなった」と自慢していましたが、ここに来て株価が乱高下し、制御不能になりつつあります。そして、どの世論調査でも、国民7~8割が「所得は増えない」「景気回復は実感できない」と答えています。
また、府内中小企業や商店の皆さんからも、「景気回復どころか仕事も回ってこない。それどころか、資材や燃料代が上がって大変」と悲鳴が相次いでいます。あれだけ、金融緩和を行っても中小企業向けの貸出比率はリーマンショック時を下回り、史上最低となり、企業の設備投資も5期連続マイナスです。実体経済の立て直しはやらないで、投機とバブルを煽り立ててきた安倍政権の異常な経済政策の破綻がいよいよ浮き彫りになってきました。
京都新聞の6月7日付け社説は「家計を直接支援する施策はほとんどない上、企業が受ける恩恵が家計に行き渡る道筋が見えない。」「企業が儲かれば給料が上がり、雇用も増えるという『トリクルダウン効果』を狙っているのだろうが、かえって貧富の差を広げかねない。遠回りのようでも内需拡大と最低賃金の引き上げなど国民生活の底上げをはかってこそ、デフレ脱却につながるのではないか」と論評いたしました。
そこで伺います。知事は、アベノミクスと称する安倍政権の経済政策について、どのような認識をお持ちでしょうか。これで京都経済が好転するという認識でしょうか。まず、伺います。
円安・原油高騰などの緊急対策の実施を
【島田】さて、わが党議員団は、この間、府内の経済・中小企業団体や農林漁業者を訪問し、お話を伺ってきましたが、急速な円安で輸入資材等の高騰に悲鳴が上がり、景気回復を祈りつつも、先の見えない不安が共通して訴えられました。
燃料や電気代の高騰でこれ以上のコスト削減はできないと、丹後では老舗旅館が相次いで廃業に追い込まれています。繊維関係では、「生糸」がキ口当たり4000円が7000円と7・8割も値上げになり、丹後織物の精錬工場では燃料費が年間で1000万円、廃液処理の電気代が600万円も増加しました。私の地元・右京区の京友禅関連の会社では売上に占める燃料費の割合が2割近くまではねあがり、いずれも、「価格に転嫁できずこのままでは経営がなりたたなくなる」と訴えられました。
漁業では漁船の燃油代があがり、底引き網漁では一回の出漁に10万円もかかりますがこれが2割増となり、漁師さんは「漁価は競りで決まる。燃料が高騰しても、価格に転嫁できない」と嘆いておられます。牧場でも、飼料代が2割も高くなり経営を圧迫しています。
そこでうかがいます。今日の事態は、政府が誘導した円安政策の結果生じている問題であり、国の責任で救済と支援を強く求めるとともに、本府としても市町村と協力して支援策を講じる必要があります。そのために、まず、各分野の緊急実態調査を行うとともに、「なんでも相談窓口」をすべての府機関、市町村に設置することを求めます。
消費税増税はストップを
【島田】本議会には、和装伝統産業に対する緊急支援事業が提案されていますが、1件の上限200万円で5産地組合分1000万円と少なく、加えて、業界の合理化計画の条件が付けられています。予算の拡充とともに、各業界と相談し、条件を緩和し、直接支援策を講じることが必要と考えます。
また、中小の運輸業界などは燃料サーチャージ制があっても実際には転嫁できず、利益が確保できない事態になっています。下請け企業が燃油や原材料高騰による製品価格値上げを発注下の親企業に認めるよう、府として関連企業に働きかけるとともに、京都府に「下請け企業相談窓口」をもうけ、原材料の値上げ分への価格転嫁を認めないなどの不当な値引き要求などがあれば、公正取引委員会とも協力し、親企業への指導をおこなうことが必要です。いかがですか。
また、農業、畜産、酪農、養鶏などの分野で燃油価格高騰対策としての直接補填、飼料・肥料への直接補填、製茶工場の電力料金への補助、漁業の燃油価格高騰分政府支援策等を国へ求めるとともに、府独自の支援を求めます。以上、知事の見解を伺います。
さて、安倍政権は見せかけの「景気回復」を作り出し、消費税を来年4月に8パーセント、再来年10月には10%に引き上げようとしていますが、経済の土台で落ち込みが続く中で、このまま、増税されれば、経済の底が抜けてしまいます。増税の実施時期を決めるのはこの秋となりますが、安倍首相も「強いデフレが続いて、消費税を上げても逆に減収にするようになれば意味がない。秋に、附則18条に則って、経済状況等を総合的に勘案して判断することになる」としています。
そこで伺います。知事は、いま、増税できるような経済状況とお考えですか。私は、やるべきでないと国につよく求めるべきと考えますが、いかがですか。
国民の所得と安定した雇用の拡大こそ重要
【島田】デフレ経済からの脱却のためには、国民の所得と安定した雇用を増やすことがなにより重要です。
わが党は2月に「賃上げ・雇用アピール」を発表し、「大企業の8割は、内部留保1%の活用で『月1万円』の賃上げが可能」という試算を示しました。京都に本社のある上場企業の今年3月期決算が出揃いましたが、大企業26社の内部留保は総額7兆3033億円と、増え続けています。内部留保の1%を取り崩せば月額1万円の賃上げは可能です。「賃上げをしないと消費不況からぬけだせない」と、少なくない経営者、エコノミストからも指摘がされ、麻生副総理も国会で、わが党議員の質問に「内部留保が賃金に回ることは 日本経済が活気づくためにも重要な要素の一つ」と答弁するなど、「内部留保の活用による賃上げ」を認める流れが大きく広がっています。知事として、あらためて、内部留保活用による賃金引き上げを経済界に求めるなど、府の役割を発揮していただきたいと考えます。いかがですか。
また、安定した雇用を増やすために、わたくしどもは、労働者派遣法の抜本改正をはじめ、残業時間の上限を法律で規制するなど労働基準法の抜本改正、「サービス残業」の根絶、解雇規制法の制定を求めてきました。
ところが、安倍内閣は、「成長戦略」として、「企業が世界で一番が活動しやすい国をつくる」として、解雇の自由化をすすめる「限定正社員制度」、「解雇の金銭解決」、「サービス残業の合法化」など労働法制の改悪を進めようとしています。 京都の著名な経済学者は「本当に恐ろしい言い方だ。企業に役に立つ人、競争力強化に役立つ人しか居場所がない国になる。多くの人が落ちこぼれていく構図だ」と厳しく指摘しました。
そこで伺います。雇用不安を広げ、賃金が下がり、デフレ不況を加速しかねない労働法制のいっそうの規制緩和はやめるべきと 考えますがいかがですか。知事の見解を伺います。
地域経済に打撃 府職員、教職員、警察職員の給与削減
【島田】次に、所得と雇用に関連して、京都府職員、京都府教職員、警察職員の給与削減について伺います。
本議会に総額100億円を超える職員給与費削減の条例提案が行われました。国が求める7月からの削減を実行するために、6月議会に提案できるよう、6月13日に行われた職員団体との交渉を打ち切って席を立ち、議論を尽くすことに背を向けての一方的提案です。6月10日の職員アンケートでは、「撤回すべき」は68パーセントに達し、緩和すべきと合わせると8割近い職員が府の提案にノーを突きつけています。職員団体とも、職員とも全く合意のないまま議会に提案することは、京都府政史上、京都府議会史上もかつてない異常なやり方です。しかも、最後は管理職に国の削減を超える10%、年間で47万円もの犠牲を強いるやり方も、職員間に分断を持ち込むもので断じて許されません。まさに提案すること自身が間違っており、絶対に認めるわけにはいきません。怒りを込めて厳しく抗議するものです。
今回の事態の発端は、自民・民主・公明三党が昨年秋に強行した「給与臨時特例法」に基づいて、国家公務員給与の平均7.8%引き下げを実施した上に、国・地方合わせて2兆円もの給与削減を目標に、地方固有の財産である地方交付税の削減をテコに、地方公務員の給与削減を地方自治体に押しつけてきたことにあります。公務員賃金の引き下げは、府の試算でも直接的影響額は161億円に及び、デフレ不況のもと、地域経済にいっそうの打撃を与えます。
「公務員賃金が下がるのであれば今年は下げる」という経営者も出るとか、春闘で何とか定期昇給を確保した流通などの職場でも「7月商戦は冷え込むのは必至。夏のボーナスの原資確保は困難」など、経済損失は1000億円にものぼるとの試算がでています。給与引き下げのニュースをみた金融機関からは、「地域経済への影響は少なくない。相当な影響がでる」とはやくも懸念の声が出されています。
知事は、5月10日の記者会見で「公務員給与が下がるとこれに準拠する他の分野に影響がでて、内需に影響することを認め、「給与をあげていかなければならない」と述べました。3月には、民間企業に賃上げ要請をした知事が、今回、給与削減を提案することに、ある経済団体の役員は「地域経済の活性化が個々の企業の業績にとっても重要。そう思うからぎりぎりの経営努力で賃金引き上げの努力をしてきた。その矢先の公務員賃金の引き下げやむなしの知事会見に正直はしごを外された思い」とのべておられます。
そこで、知事に伺います。公務員給与の引き下げ提案は、地域経済に重大な影響を与えるものですが、その影響と責任をどのように受け止めておられますか。まず伺います。
地方自治侵害、国・総務省追随の削減案は撤回を
さて、今回の提案は憲法が保障している労働基本権はく奪の代償措置としての人事委員会勧告に基づかず、さらに交付税削減を脅しに使って行われるものです。地方公務員法や地方交付税法にも反するなど、まさに地方自治の根幹を揺るがすもので、憲法上極めて重大な挑戦と言わざるを得ません。知事会など地方団体も「職員給与は地方が主体的に決定すべき」で、国による強制は「地方自治の根幹にかかわる」と批判したのは当然です。経済財政諮問会議では、来年も交付税削減せよなどの発言も出ています。知事は、「こうした措置が二度と行われることがないよう国へ求めた」と言われましたが、一度だって実施させてはならないのです。
全国では、賃下げをやらないところもあります。にも関わらず、提案を強行することは到底理解できるものではありません。そもそも、本府はこれまで給与費プログラムにより全国一の人員削減を実施し、さらに平成12年から16年にかけて総額400億円、職員一人あたり85万円の削減を実施してきています。これに、職員は府民の暮らしと地域経済を守る立場から協力をされてきたのです。知事は、今回の提案をとりさげて、労働組合とも向き合って地域経済対策、財源対策も含めて論議をすべきと考えます。京都の経済に深刻な打撃を与えることも、地方自治を侵害し、国・総務省追随であることも明らかな今回の削減案は撤回以外にありません。いかがですか。
知事答弁
【知事】アベノミクスの評価だが、政府の成長戦略についてのべると、株高や円安が進んでいく。円安の場合は、ほんとうに厳しさとは、これはいわば高血圧みたいな、動脈硬化を日本の経済がおこしていた。どんどん生産拠点が海外に流出していく、競争力が失われていく、そういう大変な状況があったので、私はやっぱり円安というのは長期的にみて改善をしていかなければならない。そうでなければ雇用というものがしっかり守れない状況にまで来ていたんだというふうに思っておるので、そういう点ではすでに株高や円安が、円安が進んだから悪いとはなかなか言いづらいところがあると思っている。
ただ、国の当初予算が成立したのが5月15日なんですよ。まだ1カ月しかたっていないし、京都府の14カ月予算についても、早期の実行に努めているものの5月までの公共事業の執行状況は、せいぜい四分の一ぐらいなので、そうした面からは現時点で効果を早急に判断できるものでもないし、すべきものでもないと感じている。
そのなかにおいて、私どもはどのような施策についても明と暗の部分はでてくる。この前も国・地方協議で安倍総理に申し上げたが、「政府が成長戦略をとるのは、それは政府としての国民の負託を受けた総理としてやられるのだろうけれど、そのときに地方というのは住民の福祉の安定のためにがんばっているんだから、地方の財政の安定的なものをしっかりと維持してもらわなければ、アベノミクスの成否なんてものは、私はいえなくなりますよ」と申し上げた。そうした面から京都企業についても、すでに4月の12日から各分野の円安等の影響にかんする調査を行った。その結果では観光関連産業とか、円安の影響で海外からの観光客が増えているので、そうした点はいいと。それからやっぱり輸出が中心の製造業等では好影響がでている。一方ではちりめん製造業では円安で生糸の価格が上がっているとか、それから鋳造関係では電力をたくさん使うので、電力料金の値上げの影響を大変受けている、といったようにまさに今、明暗が分かれて出ている状況がある。私どもはこうした円安の副作用というものをできるかぎりおさめていく。経済対策の効果というのはタイムラグというものがでてくるので、そのタイムラグについてしっかりと緊急支援事業を行うということで、今議会についても補正予算を提案させてもらっている。
相談窓口については、府や関係機関連携のもとに電気、エネルギー等に関する経営相談窓口をすでに設置しており、また各市町村の商工会、商工会議所の相談窓口でも総合的に対応するとともに、窓口においでになる方を待つだけでなく、中小企業の応援隊において積極的な訪問をすすめている。
原材料等の価格高騰の対処と緊急支援事業については、厳しい経済状況の対応ためには、これまでの取り組みの延長だけではなくて、新しい状況に対応した積極的な業界の構造改革も必要であるので、共同仕入れなど流通の工夫や観光等の連携などそれぞれがしっかり行っていただける効果的な取り組みを緊急に支援しようというものである。
下請企業の相談窓口であるが、これまで京都産業21の下請駆け込み寺の設置や発注事業者への下請取引適正化の通知などで対応しているが、今後とも違法な行為等があれば、これは公正取引委員会とも連携していきたいと思っている。
農林水産業者の電力の消費量等の削減につながる設備投資の支援は、府独自で実施することとし、今議会で補正予算をお願いしているが、基本的なものの代金というのは国際情勢、経済情勢を受けて変動する原油相場や穀物相場、為替相場に連動していくもので、これを一府県で対応していくとは、これは私は無理があると思っている。国において経営安定対策が実施されているが、制度の充実について既に要望して、国においても現在検討が進められているとの報道がなされているところである。
消費増税についてであるが、厳しい日本の財政状況、そして急速に進む少子高齢化のなかで国民が安心して希望が持てる社会保障を実現していかねばならない。そのためにはなんらかの安定的な財源確保は避けて通れない、というふうに私は考えている。そのなかでそれぞれの税目については、メリット、デメリットがありますので、ここは国会で消費税率のひきあげというものを選択されたわけなので、それについては私どもは厳しい地域経済の状況に配慮するよう、繰り返し申し上げてきたところであり、消費税法改正の附則においても引き上げにあたっては、経済状況を総合的に勘案したうえで、所要の措置を講ずるとされたことだから、これはしっかりとその法律にしたがって判断していくものだと思っている。
また同時に、私どもは消費税率引き上げにたいしては、これは逆進性があるから低所得者への対応や中小企業への配慮も訴えてきたところであり、この点については今後も国に対して申し入れをおこなっていきたいと思っている。
次に賃上げであるが、デフレ不況の問題というのは、いろいろ企業の方と話しても、デフレの一番の問題点というのは企業が資金を使うよりも内部留保という形で保持しているほうが有利という。そりゃそうですよね、だんだん物が下がっていくわけだから、現金でもっているほうが有利になってしまう。企業がそもそも投資をするマインドをおこさなくなってしまう。これが一番大きな原因の一つであって、アベノミクスは金融緩和や財政出動によってデフレを脱却し内部留保をしている方が損になる状況をつくる。そういうことをひとつの狙いにしていると思っているので、そうしたなかで考えないと話は逆になってしまうというふうに私は思っている。そしてそのなかで景気の本格回復には中小企業の売り上げを回復し賃金も上昇して、内需を拡大するという好循環をすることが重要なので、京都府においても雇用の確保や給与等の就労条件の改善について要請をおこなってきた。京都府においても25年度予算や補正予算を早期かつ着実に実行して地域経済の安定・成長、雇用の確保、所得の向上につなげていきたい、というふうに考えている。
次に公務員給与についてであるが、基本的にはずっとおかしいし、遺憾であると言い続けている。まさに私が先頭に立って国と交渉してきた。その点については、ずっとこれは闘いつづけてきたところである。ただ、地域経済の問題については、正直言って、かなり、向こうの言い分は逆。つまり補正で地方に1兆4千億もおカネをだしているじゃないか。マクロでみたときの地域経済に関してはこれだけ出しているんだから、せめて給与費分だけ削減してくれ、という言い方なんですよ、向こうは。それはおかしいとそんな話は。おかしい。全体として地方の安定的な財源というものをどうするのか、という話をして、さらに地域の元気推進事業や緊急防災減災事業制度も創設したので、マクロ的な観点からいうと経済体制の問題でいうと、ちょっと正直いって、あまり分がよくない。私はそれでも、おっしゃったように景気のマインド、そして地域の所得にたいするマインド、こうしたものをやるかという話をして、いろいろと闘ってきたわけであるが、マクロでみる限りは、なんせ本来の経済補正予算は大きいですから、そちらの方の財政的な主張について、全体的なあまり迫力がないというのが現状であります。
そのなかで職員の給与等の特例に関する条例制定提案があって、これはもう国会の審議を経て、去る3月29日に改正地方交付税法が成立されて、現に地方交付税として予算が5月15日に成立して義務教育費の国庫負担金が削減をされてしまった。このときに、その状況下で、これは大橋議員の質問にも答えたときに、最終的には職員給与を削減するか、それを府民にしわ寄せするか、二者択一しかないわけですよ。私は府民にしわ寄せすることはできない。その観点から考えておりますし、国家公務員が東日本の大震災を受けて給与を減額しているなかで、「これは府民に転嫁させていただきます」と言うことは、府政に対する理解をえることはできない。ですから職員の影響をできるだけ抑える努力をしたうえで給与削減を議会にお願いしているわけで、これは別にやりたくてやっているわけではない。まさに根本的にはおかしい、ということのうえで苦渋の選択の上でやっていることは理解してほしい。
そして各都道府県もこれは同じですよ。全国状況みていて、今やらないと言っているのは交付税をもらっていない東京とすでに大幅に給与削減をしている鳥取と大阪じゃないですか。都道府県のレベルという話をしている。そこをだいたいやっているところは100を切っているじゃないですか。ほとんど団体は給与削減をやっているんですよ、都道府県は。そういう全体のバランスをみながら今回判断をしたところである。いずれにしても遺憾な話であることはまちがいありません。
労働法制の見直しについてであるが、産業構造が急速に変化するなかで働き方の価値観が多様化しているなかで、どのような新しいシステムを構築するか、これは国に対して問われているところである。重要なのは、誰もが安心して働ける労働環境を作っていくこと。そのために正規・非正規、分け隔てなくしっかりとした体制をつくっていくこと。そのための格差是正や質の高い安定雇用の拡大、これをわれわれはきちんと要請していきたい、というふうに考えている。
再質問・答弁
【島田・再質問】アベノミクスについて明と暗があるとおっしゃいました。まさに暗の部分が中小企業と国民の暮らし。ここに大変重大で深刻な影響を与えている。ですから多くの中小企業の先行き見えない不安、そういうところだと思う。地元で必死に頑張る中小企業の再生をはかる点でも、そこへの支援の提案をされたが強化をしなければなりません。そして内需拡大のために働く人の所得を増やす必要があると指摘をしてきた。内部留保の活用について、経済界に再度要求をしていただきたい。3月の要請の結果を踏まえて、どういうお考えか、再質問をさせていただきます。
京都府の職員給与削減についてですが、唯一の理由が「府民へのつけまわしをしてはならない」ということですが、地域経済に甚大な影響を与えて、さきほども申し上げたが、すでに金融機関からは「それは大変だ」と声があがっている。所得が減ると夏のボーナスも減ると、モノを買えない、そういうことでまた地域の経済循環が壊れるわけで、その点から中小企業や府民へ最も大きなしわ寄せになるのが今回の給与削減であると思う。労使交渉のテーブルについて知恵を集めていただきたいと、このように申し上げているわけだが、再度お答いただきたい。
【知事・再答弁】給与引き下げ要請については、これは賃金の状況を見てしっかり対応していきたいと思っている。それからまさに給与の問題については、これはもう当初予算で100億円の穴があいているわけだから、これを埋めなければ、府民負担につながるのはまちがいないわけです。したがって、これを給与で調整をしていかなければならない。期間は短ければ短いほど、これは一回に大きな負担を職員に強いることになる。こういう中で判断させていただいた。
【島田・要望】給与削減問題について憲法上も疑義がある国のやり方のつけを職員、府民に回すことは断じて許されません。全国では国による交付税削減に反発して164の自治体が少なくとも7月実施を見送っている。知事は1月に「地方は国のドレイではない」と勇ましく言われたから、「給与削減先にありき」の結論を押し付けずに職員団体との交渉のテーブルに戻って財政の問題は、まさに専門家なんだから知恵を集めて、職員の総力をあげて議論をすべきだ、ということを再度求めておきたいと思う。次の質問に入ります。
生活保護 基準引き下げと改正案白紙撤回、「生活困窮者自立支援法」撤回を
【島田】次に、社会保障制度改革についてです。安倍内閣は、昨年秋、民主・自民・公明三党で強行した「社会保障制度改革推進法」に基づき、その具体化を進めています。社会保障全分野で予算の削減、制度の改悪を進めています。
8月からの生活保護基準の引き下げ、今年から3年連続、総額1兆2000億円の年金削減が始まるとともに、財政制度審議会や産業競争力会議では、70歳から74歳の医療費窓口負担を2倍に引き上げ、年金の支給開始年齢は68歳から70歳に先延ばし、介護保険は、「要介護3以上」に限定、「がんは3割負担、風邪は7割負担」など、改悪のオンパレードです。
安倍内閣の最初の標的は生活保護です。今年8月から最高で10パーセントの「生活保護基準」の引き下げを決定しました。また、「不正・不適切受給」を口実に、生活保護法「改正」案を今国会で成立させ、来年4月からの実施を狙っています。
京都民主医療機関連合会が今年の2月におこなった調査によりますと、保護申請のきっかけは病気が4割、そして、加齢、失業、倒産による収入の減少であり、いまでも、食費、光熱費を切り詰め、冠婚葬祭や近所付き合いをしない等などぎりぎりの生活です。これ以上、保護費が削減されたら、「食事を1日2回にへらすしかない」「今でさえカツカツの生活。死ねるもんなら死にたい」と悲痛な声ばかりです。
生活保護基準は、年金、最低賃金、就学援助制度などにも影響します。実態調査も実情の検証もせず当事者の声を聞かず強行するやり方は絶対に許されません。府として、調査を行うべきです。そして、実施をやめるよう求めるべきです。いかがですか。
また、現在、国会で審議中の「生活保護改正法案」は、新たに生活保護申請に「書類提出」を義務づけ、申請に来た人を門前払いにし餓死に追いやるなどして社会問題になった「水際作戦」を合法化する異常なものです。日本弁護士会は、「多数の自殺・餓死・孤立死等の悲劇を招くおそれがある。これはわが国における生存権保障(憲法25条)を空文化させるもの。到底容認できない」として、廃案を強く求めています。今年5月には、国連から日本政府に対して「申請を簡素化する」等の勧告が出されています。そこで伺います。
知事は、こうした弁護士会の意見や国連の勧告をどう受け止められますか。お聞かせください。
また、扶養義務の義務化について、例えばDV等の被害者や、家族関係に問題を抱える人が親族への通知、調査がなされることを恐れ、困窮状態に陥っても生活保護申請をためらうことになりかねません。現行法下においても、扶養義務者への通知により生じる親族間のあつれきなどを恐れて申請を断念する場合は少なくありません。
また、生活保護法の改悪とセットで提案されている「生活困窮者自立支援法案」は生活保護を水際で追い返された困窮者を、「支援事業」訓練の名の下に最低賃金以下の就労に追い込み、本来生活保護で対応しなければならない人を 保護ではなく劣悪な条件で就労させることになります。憲法で保障された職業選択の自由も、勤労の権利も侵害され 日本の雇用と労働の質の底も抜けてしまいます。悲惨な餓死事件が後を絶たず、貧困の連鎖をひろげる社会にしておきながら、最後のセーフテイネットの申請さえ妨害し、さらに自立支援の名の下に劣悪な就労に困窮者を追いやるなどということは絶対にあってはなりません。
改めて保護基準の引き下げと生活保護の改正案を白紙撤回するとともに、「生活困窮者自立支援法」についても、国に対して撤回を求めるべきと考えますがいかがですか?
「国民健康保険の都道府県単位化」の中止を求めよ
次に、「国民健康保険の都道府県単位化」についてです。
安倍内閣は14日、「骨太方針」を閣議決定し、国民健康保険の都道府県単位化に向けた検討を進めることを盛り込みました。厚生労働省は、都道府県単位にした場合の保険料試算を発表し、一人当たりの保険料が3万9000円も値上げになり、京都府内では伊根町が最大3万1456円の値上げになると報道しました。
いま、府民のみなさんのお宅に、国民健康保険料の納付通知が届いていますが、宇治市役所にはすでに300人以上の方が納付相談に訪れるなど高い国保料に悲鳴が上がっています。高すぎる国保料が払えない世帯は、府内で7軒に 1軒、56584世帯にのぼり、保険証がない、あるいは、短期保険証、資格証明証の交付により病状悪化で亡くなられる方もあとを立ちません。ところが、11日づけの読売新聞紙上で、山田知事は、全国知事会で、国保都道府県化の議論を主導的に牽引してきたとのべ、「市町村の中には、保険料が上がることを恐れ、都道府県化に反対するところがあるが、広域化しなければ超高齢社会に対応できない」「国保広域化が財政安定の第一歩」という認識を示されました。「都道府県化ありき」の国民会議を事実上後押しする発言だと考えます。
知事は全国の知事3分の1が 「都道府県単位化」 に賛成としていますが、全国知事会社会保障常任委員会委員長の福田栃木県知事は、5月10日の社会保障制度審議会・医療保険部会で、「保険者を都道府県に変えるだけでは問題を先送りにするだけ。まずは構造的な問題の抜本的解決を図るべき」と指摘し、「あたかも、医療保険制度における最大の課題は国保の保険者あり方であって、都道府県が保険者になれば複数の課題がセットで一気に解決できるかのような議論をしている」と、厳しく批判をされています。
そこで伺います。失業者や低年金など無業者が増え続けているにも関わらず、国庫負担を減らし続け、保険者である市町村と被保険者に負担を負わせ、国民を貧困や死に追いやる、まさに、憲法25条を踏みにじってきたことが最大の問題です。「都道府県単位化」で、払えない程の国保料や保険証の取り上げはなくなるのですか。本府がやるべきは、住民の顔がみえ、地域の実情に応じた保険や予防と結んだ国保の運用ができるよう市町村を支援することです。国民会議で検討中の「国保都道府県単位化」は中止するよう求めるべきです。いかがですか。
原発―高浜再稼働中止、敦賀・もんじゅ廃炉、大飯はただちに止めよ
つぎに、原発問題についてです。安倍内閣は、こともあろうに、「成長戦略」で「原子力発電の活用」を打ち出し、財界と一体で、原発の再稼働と海外輸出に奔走しています。
こうした中、19日、原子力規制委員会は、「新規制基準」を決定し、原発の運転期間を最長60年まで認める制度に関する政令案を了承しました。東京電力福島第一原発事故の原因究明がおわっていない中で、専門家の意見も多くの国民の意見も全く無視し、スケジュールありきで作られた「新規制基準」は、原発の危険から国民の安全を保障する内容とは程遠いものです。
福島第一原発には1日400トンの地下水が原子炉建屋に流入し、高濃度の放射能汚染水が急速に増え続け、19日には福島第一原発港湾近くの地下水で基準値の30倍を超えるストロンチウムが検出されるなど、危機的状況にあります。ところが「新規制基準」はこれを問題にもしていません。
また、「新基準」は、過酷事故対策をはじめて義務付けたものの、福島第一原発のようなメルトダウンがおきてもフィルター付きベント装置の設置など、追加的措置を求めるだけです。
さらに事故が起きたら移動式の電源車やポンプを複数配置する対処療法的対応を求めるだけです。旧態依然の「安全神話」そのもので、福島原発事故の教訓はいかされていません。
また、地震対策も問題です。原発の地震・津波想定に関する具体的数値の定めがなく、電力会社の裁量でいくらでも甘い想定にできる。活断層があってもみえなければ、その真上に原発を立ててもかまわないなど極めてずさんなものです。
ところが、その「新規制基準」に基づいて、関西電力は、大飯原発を継続的に稼働させ、高浜原発3号機・4号機の再稼働準備をすすめています。高浜原発は30キロ圏内だけでも13万4000人の府民が生活しています。舞鶴市民も綾部市民も事故が起きた時の避難先も確保されておらず、非難手段、方法も決まっていません。こうした中、グリーンアクションや原発ゼロネットなどの市民団体が、山田知事にたいし、抗議と質問書を提出されるなど、抗議の声が広がっています。
6月2日には、原発をなくす全国連絡会、首都圏反原発連合など3つの団体によるノーニュークスデイ共同行動が開催され、6万人の人々が、「原発の再稼働はやめよ」「原発はただちになくそう」との声を国会へ轟かせました。政府はこの声に応えるべきです。
この間、自民党の高市政調会長が「原発事故で死者はいない」と暴言をはき、国民の怒りが広がっています。私は福島県に3回伺いましたが、事故当時、強制避難勧告が出された南相馬市では、壊れた家屋の下敷きになって助けを求める声を聞きながら救助活動を中止せざるを得なかった。救えたはずの命が失われたと痛恨の思いをお聞きしました。避難生活でなくなった震災関連死は1415人、震災関連の自殺者も29人に達します。この4月にも私は、南相馬市を再度訪問させていただきましたが、ふるさとを奪われ、仕事を奪われ、家族ばらばらの避難生活が続く中で、生きていく展望を失いそうになりながら、懸命に生きておられました。高市氏の発言は、こうした福島の人々のこころを踏みにじる発言であり、「世界最高水準の安全基準をつくるから再稼働だ」という安倍政権の姿勢の反映でもあります。許すことはできません。
そこで伺います。こうした「新規制基準」に基づく、原発再稼働をどうお考えですか。
さらに、この間、日本原電敦賀2号機の真下にある破砕帯が、原子力規制委員会によっても活断層と断定され、高速増殖炉もんじゅについても、1万件近い機器の点検漏れが発覚して、原子力規制委員会が試運転再開の準備の停止命令を出しました。
知事として、国と電力会社に対し、無謀な高浜原発の再稼働は中止し、敦賀原発および、もんじゅは廃炉に、大飯原発はただちに止めよと求めるべきと考えますがいかがですか。
いま、政府が行うべきは、「収束宣言」を撤回し、「即時原発ゼロ」を決断し、収束と廃炉を日本中の英知を結集して行うことです。国と東電は除染と賠償を徹底的に行い、避難されている15万人余の生活の健康を全面的に責任を持つことです。知事、全国知事会会長として、また、今も、福島へ職員を派遣して復興支援をしている京都府として、これらについて、国に対し、強くもとめるべきです。いかがですか。おこたえください。
知事答弁
【知事】社会保障改革についてですが、生活保護制度につきましては生活に困窮する全ての国民に、国が責任もって生活扶助するものであります。今回の生活保護基準の見直しは第三者機関である社会保障審議会の生活保護基準部会の検証結果や近年の消費者物価の状況、さらには毎年国が実施している生活保護世帯の家計の実態調査の結果、国が総合的に改定したものであります。京都府としましては、生活保護基準や制度の見直しにあたりましては、これまでからも慎重な見直しを国に対して強く要望しているところであります。生活保護の改正法案は受給者の自立支援や不正受給対策の強化などを柱にするものであり、また、生活困窮者自立支援法は本人の状況に応じた自立支援策の評価を図ろうというものでありますけれども、この2法案につきましては現在国会において審議中であり、まずは国においてこういう問題についてしっかりと議論をしていく必要があると考えております。
私どもといたしましては自立支援に向け全国に先駆けて京都式生活就労一体型支援事業を積極的に推進しているところあります。
次に国民健康保険の都道府県化についてでありますが、栃木県の福田知事は私と相談して物を言っているんです。すべて私の了解のもとにやっておりますので福田知事の意見は私の意見でもあるということで、私が会長ということで責任を持って送り出しておりますので、間違っていただくと困るのです。国民健康保険は国民皆保険の最後の砦であります。この部分が脆弱であっては困ると。しかし市町村国保の現状は無職の高齢者や非正規の雇用が多くて保険料負担力が弱い。小規模の市町村では財政運営が不安定になっている。そして町村間で保険料水準に大きな差がある。伊根町のお話をされたということは他が高いということなのです。こんなに市町村間で国保について差があっていいのかという議論を抜きにして、私は構造的な問題は語れないのではないか思っています。そして、これから高齢化や少子化がすすんでいく市町村で本当に安定的な国保の運営はできるのだろうか。ということを考えていたときに全国市長会や全国町村会、市町村から実は広域化を求める意見が出されてきたわけです。それに対して都道府県としてどう応えていくのか、ということが今大きな問題になっているわけでありまして、ある程度の人口規模や財政力のある単位でやっていかないと非常に難しいと。しかしながら私どもは単なる赤字の付け替えではこれは町村の負担を都道府県に負わせるだけでこれは絶対に納得いかない。このために全国知事会において国の財政責任の元、構造的な問題を解決してくれと。そうであれば、積極的に責任を担う覚悟はあるということを知事会の共同意見として提案をしているわけであります。決して都道府県すぐになんとかという話にはなっていないわけです。そこは福田知事の言っていることが私の意見でもあります。現在、国では社会保障制度改革国民会議におきまして議論をしておりますけれど、私どもといたしましては、引き続きナショナルミニマムとして国が役割を果たすことを強く求め、医療保険における最後のセーフティーネットである国民健康保険が真に持続可能な制度になるように、努力をしてまいりたいと考えています。
原子力発電所についてですが、全国知事会、関西広域連合、京都府から福島原発事故の知見を踏まえた新規制基準に基づき、安全性を客観的に確認し厳格な審査を行った上でなければ発電所の運転は認められないこと。稼働中の大飯3・4号機につきましては現在実施されている確認作業の結果、不適合があった場合には直ちに運転を停止することなどを繰り返し国に対して求めてきたところであります。また、福島第一原発事故につきましては一刻も早く事態の収束を図るよう全国知事会から申し入れているところでございまして、除染と賠償につきましてはこれまでからくりかえし関西広域連合を通じて被害者の立場にたち、被害者が納得できる賠償となるよう十分配慮すること。除染に伴う費用につきましてはすべて国庫負担または東京電力による賠償の対象とすること明確にして除染を促進すること。そういった懸念される遠隔避難者にたいして総合的な支援措置を講じること。福島県が実施している県民健康管理調査に引き続き支援することなどを国に対して求めているわけであります。この前から答弁をしておりますように、いまソフト対策について弱い点があるということと、規制基準の実効性をどう担保するのか、この二つがやはり大きな問題でありますのでこうした点についてもこれからしっかりと申し入れていきたいと考えているところです。
再質問・答弁
【島田・再質問】国保の問題ですが、市町村がワラをもつかむおもいはよくわかります。その市町村が不安定で都道府県化だとおっしゃいましたけど、今回の都道府県単位化の案では小規模市町村が一番保険料が高くなる、伊根町がそうです。今日の新聞を見ておりましたら伊根本庄の診療所に常勤のお医者さんがいない。こんなところの保険料が一番値上がる試算になっているのです。国保料を払いたくても払えない人を増やすだけであります。栃木県知事といっしょの思いだと言われましたが、相談してやっているということでしたので、それならば今国の審議状況をみましても財政がちゃんと来て、安定的になるようなそういうお金の見通しもない。今回の都道府県単位化では解決しないと申し上げています。知事はそう考えられませんか。
原発再稼働では原発再稼働について、国の新規制基準の問題は先ほど指摘したとおりです。再稼働し、海外へ輸出するために、前のめりになっている。福島原発の危機的状況、そして、原子炉の中がどうなっているのかわからない中で作った「新規制基準」で判断できるとお考えですか。再度お答えください。
【知事・再答弁】国民健康保険の広域化につきましては、知事会は国の財政支出を求めているわけでして、それがないかぎりは納得しない形を我々はとっている。
原子力の規制基準につきまして、これは専門家のみなさんがしっかりと判断をしていかなければならない話でありまして、そうしたなかで国の規制委員会、これはいま一生懸命やられていると思いますけれど、更に我々もそういうものに客観的に自分たちでまた、委員会を持っておりますから、しっかりと検証していきたいとおもっております。
【島田・要望】生活保護制度も、国保の問題も、本来、政治が、そういう弱い立場に置かれた人の命と健康を支えなければならないのに、国がその逆方向に向かっていることが問題なのです。住民の命と健康を守るために、憲法25条に基づく国の役割発揮をせよと強く、全国知事会としても発信していただきたいと要望しておきます。
福島の現状をみるなら、再稼働や原発輸出など論外です。大飯、高浜が福島第一原発事故のようなことになれば京都は住めなくなります。原発即時ゼロの政治決断こそ必要です。厳しく指摘し、次の質問に移ります。
米軍専用Xバンドレーダー基地は必要ないと表明を
【島田】次に平和と民主主義に関連してお聞きします。
まず、日米両政府が、京丹後市経ヶ岬に設置しようとしている米軍専用レーダー基地の問題、アメリカのミサイル防衛構想の重要な一翼を担うXバンドレーダーの問題についてお聞きします。
2月22日、日米両政府は、Xバンドレーダーの日本での増設を合意確認し、3月から京丹後市や地元住民を対象とした説明会を繰り返すなど急ピッチの動きとなっています。現地では、「米軍族が160人も来ることに、第二の沖縄になるのではないか」「強力な電磁波で健康上の問題はないのか」「農業や漁業、観光への影響は」「ドクターヘリが使えなくなるのでは」などの不安や疑問が噴出しています。防衛省の説明はこうした住民の不安に答えず、肝心かなめの問題では、「防衛機密」「アメリカにいいます」等をくりかえし、しかも、米国本土では行われる環境アセスメントさえ、「法律にない」と拒否し、本府も「不要」と言われました。
これらに対し、住民は不信感をたかめ、怒りになって一層高まっています。
5月31日には、計画地に隣接する中浜港を拠点に活動する中浜船外機組合及び中浜モーター組合は、京丹後市長に対し、Xバンドレーダー配備計画に対する反対の意見書を提出されました。「一本釣り漁業、水視・刺し網漁業及び遊魚により生計を立てるものにとって死活問題。健康面、電子機器への影響、米軍基地で使用される1日5万リットルの排水が沿岸地域へ与える影響」を訴えておられます。6月15日には、地元近くの平海水浴場駐車場で行われた集会では、500名を超える人が参加しました。地元の女性から「女性が一番恐れていることは米軍が来て何が起こるか解らないという恐怖感です」「孫たちがまだ小さく、家の前は国道それをかこむ米軍基地。交通事故やいろいろな事件事故を考えれば心配はつきません。米軍基地は強く反対です」との声を紹介され、地元区長さんは「75年間この風景は変わらない。ここに米軍基地が似合うのか、じっくりと区民と考えたい」と発言されました。漁師さんは、「漁業者の生活の糧を守り、景観と自然豊かな丹後、宇川を残すためにも、基地は設置させてはならない」と訴えました。知事はこのような現地の人々の声をどのように受け止めておられますか、まず、伺います。
そもそも、このレーダー基地の目的はなんでしょうか。知事は、2月の予算特別委員会で、わが党議員の質問に対し、「北朝鮮の核ミサイル開発から防衛するために必要だ」との認識を示し、調整にあたると答弁しました。しかし、ヘーゲル米国防長官は、Xバンドレーダー配備計画は「北朝鮮の長距離弾道ミサイルから米国本土を防衛するためのもの」と明言しているように、アメリカ本国やグアム等のミサイル防衛が目的なのです。 元外務省国際情報局長であり防衛大学校の教授でもあった孫崎享氏は 「日本を攻撃する弾道ミサイルを打ち落とすことは不可能。レーダー配備や防衛力増強は相手国との緊張感を増やすだけで、問題を解決することはできません。国連・国際法に基づき 平和外交をもたらすのが日本の役割であり、それが、北朝鮮からの攻撃をやめさせる最大の手段です」 と述べておられます。
そこで知事に伺います。いま、ご紹介した指摘についてどのようにお考えでしょうか。お答えください。
どの点から言っても、米軍基地は必要ありません。知事として、住民の願いに応え、米軍基地は必要ないと表明すべきです。いかがですか。おこたえください。
憲法96条改定に厳しい批判の広がり
つぎに、憲法改正問題です。安倍首相は、憲法改悪の発言をくりかえし、参議院選挙の争点にすると声高に主張してきました。最大の狙いは、憲法9条を変えて国防軍を創設し、日本をアメリカとともに戦争する国に作り変えることにあります。一番の目的である憲法9条を正面から掲げれば国民の抵抗が強いということで、まず手続き法である96条を変えて憲法を一般の法律なみに変えやすくしようという作戦に出ましたが、これに対し、立憲国家の根幹を崩すものと「改憲論者」も含めて様々な人たちから厳しい批判を受けることとなりました。もともと、憲法は平和や自由、民主主義、基本的人権という国民にとって最も大切な権利を時の権力に守らせる、そして、国家権力が戦争への道を進まないように、国民が国家権力を縛るという考えにたっているのです。そのために時の権力の都合によって勝手に、安易に変えることができないように、厳しい発議要件が決められています。いま、96条改定の動きに対し、党派を超えた批判が高まっています。古賀誠自民党元幹事長が、私ども日本共産党の機関紙「赤旗」日曜版に登場され、安倍内閣の憲法96条改定の動きについて「絶対にやるべきではない」と強い反対を表明し、「憲法はわが国の最高法規です。他の法規を扱う基準と違うのは当然」と強調しました。また、さらに、日曜版には、有馬頼底京都仏教会理事長、「9条改憲派」の小林節慶応大教授、京都民報には外務省元国際情報局長の孫崎亨氏が登場、96条改憲を厳しく批判しました。マスコミも「試合に勝てないからルールをかえるようなもの」と報道しています。
そこで、うかがいます。96条改訂についてどのような見解をお持ちですか。お答えください。
「侵略戦争だった」という歴史の事実認識について
次に、憲法9条についてです。
アジアで2000万人、国内でも320万人という尊い命を奪ったのが先の戦争であり、わが党の先輩たちはこの侵略戦争と植民地支配に命がけで反対してたたかいました。二度と戦争をしないと誓った憲法のもと、日本は戦後67年間、戦争による犠牲者をひとりも出さないという世界でもまれな名誉ある地位を築いてきました。そのことが世界中の信頼を集めて紛争の防止や世界の平和的な秩序作りに大きな役割を発揮したものと考えます。
先日の京都府庁開庁記念式典で知事が特別感謝状を贈られた野中広務自民党元幹事長は、この4月に、琉球新報等沖縄県内2氏のインタビューに答えて、「憲法9条は日本人が大きな犠牲を払って獲得した宝物。絶対に変えてはならない」と9条改正に明確に反対をされています。
そこで知事に伺います。私は憲法9条を変えるべきではないと考えますが知事の見解を伺います。
さて、日本の戦争が、「世界征服」をねらった侵略戦争だったことは明白です。国際連合憲章53条では、日本、イタリア、ドイツがとった政策を「侵略政策」と規定し、その「再現に備え、侵略を防止する」としています。
ところが、安倍首相は、4月23日の衆議院予算委員会で「侵略の定義は定まっていない。」と発言し、「村山談話」の、日本が「国策を誤り」「植民地支配と侵略」を行ったという核心部分は引き継ぐとは明言しません。その安倍政権の態度が震源地となった、「維新の会」共同代表の橋下徹大阪市長の「慰安婦制度が必要だった」との発言に内外から批判が大きな批判が広がりました。
国連拷問禁止委員会は、日本軍「慰安婦」問題で「日本の政治家や地方の高官が事実を否定し、被害者を傷つけている」とし、日本政府に対して、こうした発言に明確に反論することを求めました。ところが、安倍首相は、橋下発言に「立場が異なる」というだけで、批判も否定もしませんでした。このような安倍首相の政治姿勢は侵略戦争の美化という点で橋下氏らと同根です。そこでうかがいます。知事はこのような侵略戦争美化の動きをどうとらえていますか。「侵略戦争だった」という歴史の事実認識についてはいかがですか。お答えください。
道州制―京都府の解体であり、身近な市町村を住民から遠ざける
最後に道州制についてです。安倍政権は、6月26日に会期末を迎える通常国会会期中に、道州制の導入手続きを定めた「道州制基本法案」を提出するとしていましたが、ここにきて、自民党の道州制推進本部が、基本法修正案に動いていることが明らかになりました。地方からの反対意見が続出して党内にも広がり、修正を余儀なくされたと報道されています。
全国町村会は、「道州制は地方分権に名を借りた新たな集権体制を生み出すものであり、税源が豊かで都市基盤が整っている、大都市圏へさらなる集中を招き、地域間格差は一層拡大する。住民自治が埋没する懸念がある」と厳しく指摘し、自民党の道州制推進本部役員と全国町村会の意見聴取会では、藤原会長があらためて制度導入を前提とした同法案の国会提出に反対すると明言していました。今年3月に開かれた京都府町村会総会でも、会長から「中身がわからない中で、枠組みが大きく変わることは問題がある」と指摘しました。
知事は2月定例会で、道州制推進の議員が国会で8割をしめ、国民の民意だとまでのべ、門川市長も、この間、道州制推進の立場をいっそう鮮明にしていますが、住民は京都府をなくすことを望んでいませんし、市町村が望んでいることでもありません。
さて、道州制は一体何をもたらすでしょうか。門川市長がかねてから主張している「特別自治市構想」は、京都府から京都市を独立させるものでありますが、その前提として道州制導入が必要と言い切っておられます。関西州となりますと、京都府も府議会もなくなります。京都府の機構は解体し、職員は大幅削減の上、関西州に整理統合、州都は大阪におかれ、京都府内では現在25自治体が、せいぜい5つか6つの自治体に再編されます。それは、住民の暮らしを守る組織としての京都府の解体であり、住民に身近な市町村を住民から一層遠ざけることになります。さしずめ、京都は大阪を中心とする関西州の周辺地域となり、京都府民が誇りにし、営々と築いてきた京都の良さや京都ブランド、住職接近のまちづくり、ものづくりの力も、自治体の存在感や住民自治の力も大きく喪失することになるでしょう。
一方、関西広域連合が掲げた「出先機関の移管」についても事実上頓挫しています。関西広域連合が一体なんなのか自己矛盾に直面しているではありませんか。「道州制論」や「京都・滋賀合併論」「出先機関改革」は、もっぱら、大競争・グローバル時代に勝ち抜く経済戦略とそのための組織をどうするかという財界戦略の求めに応じて進められているのであり、住民不在の上からの橋下流の統治機構論です。地方自治の核心である住民自治をどう強めるか、自治体の役割をどう高めるかという議論が欠落しているのです。そこであらためて知事に伺います。現在検討されている道州制基本法に対する見解を伺います
知事答弁
【知事】TPY-2レーダー、いわゆるXバンドレーダーについてでありますけれども、昨日荒巻議員の質問にもご答弁したとおり、京都府においては府民の安心安全確保という立場から先ほどお話にありました様な点につきまして国に対し京丹後市と連携して質問を重ね、また住民のみなさんの意見を踏まえてやり取りをずっとおこなっているところであります。現在防衛省に対しましては電磁波の専門家である参与の意見を踏まえました電波防護指針との関係やテロからの防護態勢、住民の安心安全の確保態勢、こうしたものにつきまして3回目の質問を投げかけているところであります。府民の安心安全の確保という点では妥協せずに引き続き防衛省とやりとりをおこなっていきたいと思っています。
また、Xバンドレーダーにつきましては米国が、同盟国である日本を防衛する。また米国を防衛するためのものと同時にレーダーから得られた情報は自衛隊のレーダー情報と合わせてリアルタイムで日本に共有されるわけでありまして、これは政府の方からは、我が国の防衛能力の向上に資するという回答を得ているということであります。
国防や外交というのは、国が責任を持って対応すべきもので、備えあれば憂いなしでありまして、憂いなくして備えなしという問題でないことは、国際情勢からみても明らかだなと思っております。そしてレーダーの配備によりまして、まさに挑発だとかそういう話になってしまいますと、全くの防衛的なレーダーなのですね。攻撃レーダーではありませんので、そういうことで挑発とか攻撃対象とかいうと自衛隊とかそれ自身も挑発になってしまいますので、それは言いすぎじゃないかと思っているところであります。今後とも、防衛省、京丹後市の住民説明会などで意見要望など聞いて説明はされておりますので、府におきましてもこうした状況などしっかりと公開をして、皆さんにもお示していきたいと思っております。いずれにいたしましてもレーダーの配備にかんしましては、住民の安心安全を確保するという観点から、特に地元京丹後市の意見というものが重要だと考えておりますので、こういった京丹後市の意見を踏まえながら、府議会のみなさんのご意見もお聞かせいただくなかで、判断をしていきたい。そう考えております。
次に歴史認識と憲法改正問題についてですが、憲法問題につきましてはこれまでも申し上げていますとおり、私は憲法の前文と9条に表わされている平和主義、この強い理念を堅持すべきと基本的に思っております。各国の人々が国境を越えて強調し、世界の恒久平和、人類の共存と未来を守ろうとする憲法の精神を踏まえて議論をされるべきだと思っている。憲法は国の最高法規でありますから、国民が時代の変化に合わせて自分たちの最高機関を選ぶことのできる制度でなけれればならないと同時に、一方で最高法規として安定性をもって法治国家としての体制を確保するという両面があり、この点を踏まえて議論を進めるべきだと思っている。憲法の内容と関連して改正手続きの問題というのは本来議論するというのが、たとえば憲法の内容によっては各国の例をみましても、この部分は構成として絶対ダメヨというところと、この部分は変えてもいいよと分けているところもありますので、そういった点も踏まえて国民的な議論をしていくのがスジではないかとおもっております。
先の大戦に関する歴史認識でありますが、ここは私は京都府議会というところで公人として述べなければならないわけで、この点につきましては政府の見解である、村山談話これを踏まえた立場に立つということであります。
次に道州制についてですが、地方から反対意見のなかには全国知事会に私が上田委員長と相談をして意見も入っておりますので、そうしたなかでいろいろ問題点が指摘されているわけで、道州制法案といってもいろんな人がいろんな案を作っているので、どの案をというご指摘がなかったので、なかなか評論がしにくいのですが、私どもがヒアリングを求められたのは自民党の道州制の本部推進案の骨子なんですけどこの中で一番大切なことは、国民が、選択する話で、国民が選択できるような議論というものがしっかりとできる。そういう土台をつくることではないか。そして国民がきちっと道州制のデメリット、メリット踏まえた形で最終的な選択をできる。これが正しい民主主義の在り方でありますので、そのために私どもがヒアリングを受けた法案ではあまりにも国の体制自身について何も書いていない、そして基礎自治体の住民自治をどうやって守り、基礎自治体がどうやった形でこれからやっていくのかというについても、何も書いてない。それだけで年限だけ書いてある、これでは国民的な議論ができないという申し入れをおこなったところであります。
島田再質問・答弁
【島田・再質問】憲法論について知事も言われたように、国の最高法規であります。発議要件を普通の憲法並みに緩和することは憲法と憲法学の常識からするとおよそ成り立たない荒唐無稽な議論だと指摘されているところです。内容がどうかとおっしゃいましたが、私は憲法のすべての条項が実行されていないことが問題でありまして、これを憲法どおり、地方自治にも暮らしにも生かすということが大事だと指摘をしておきたいと思います。
道州制について、2月に知事は京都府を守ろうとは思わないとおっしゃったのですね。でも選択の中身としては京都府としても選択があると。関西州もあると、こうなっているのですが。少なくとも京都府であってなぜいけないのか、なぜ道州制に向かうのか、そういう点については、はぐらかしの答弁をされました。現に門川市長の発言とかいろいろ動いておりますので、府民にとっては見えづらいので、たとえばこういうことになりますよとわたしは紹介をして府民的、国民的議論が必要と言われたので京都府をなくしてもいいのですかとお尋ねをいたしました。私は現在の地方と国の関係を見直すこといっぱいありますけれど、府民として京都府をしっかり守り発展をさせる道を選んでいただきたいなと見解を述べておきます。
米軍レーダー問題ですが、昨日の答弁でも防衛上の問題でもいたずらに長引かせることはなくしっかり判断するとも答弁されました。今日は答弁されませんでしたが、この発言は重大です。知事は4月28日の中浜区の住民のみなさんとの懇談会で、住民の安全安心確保は譲れない、こうおっしゃいましたので、防衛の名でゆずっちゃいけないと思うのです。住民のみなさんはなんと言っているかと、国防のためと言われれば反対という声を大にして言えない状況がある、しかしできれば来てほしくない。もっと真剣に苦しんでいる地域住民の声を聞いてください。アメリカ防衛省の回答文書を見ますと「検討する」とか「考える」とか「検証します」とか25カ所も書かれてあって、最後はレーダーの出力はなんぼになるのか聞いても分からない。分からないのにどうして安全と言えるのか、こういう声です。知事が最後まで安全安心の確保は譲れない、こうおっしゃるのなら、この声にはどうこたえるのでしょうか。全員協議会を開き私どもも聞きましたけれど先ほどももうしあげましたように防衛機密、日米関係がある、こういうことでわたくしたちにもはっきりその内容については示されておりません。この点について再度知事の認識を伺います。
京丹後市長の意見云々とおっしゃいましたけども、地元はできれば来てほしくない。これが圧倒的多数の声です。そして地元というのは京丹後市だけではありません。京都府全体の問題です。日本で133番目の米軍基地が京都にできるという大問題ですから、歴史と伝統平和を守ってきた京都府民に対する挑戦でもあります。こうしたことを絶対に許してはなりません。棚田の再生、漁港の活性化、観光客を呼び込む努力、ふるさとを元気にする努力を積み重ねてきた、それらの取組の住民の努力を台無しにするのが今回の計画であって、断じて認めるわけにはいかないのですが再度お答えください。
【知事・再答弁】Xバンドレーダーさきほどから申しますように、防衛上の問題というのは国が責任を持って対処すべきでありこのなかで判断されるべきであると。私どもといたしましては、安心安全についてきちっと説明をしていく。そして住民のみなさんの不安を払しょくしていくことが一番大切なことで電磁波の問題につきましても専門家を参与に入れて、その方の意見も伺いながらやっているわけです。できれば来ていただきたくない、そういう話のレベルの問題ではないだというように思っております。
【島田】ミサイル防衛の技術というのは未完成の技術だといわれています。このままではもし宇川につくられるようなことになりますとこれは米軍の実験台にもなりかねません。米軍のミサイル防衛ではなく、真っ先に狙われるイラク戦争もそうでした。レーダー基地建設が防衛力ではなくて最優先に攻撃される目標となる、その危険性が増すのです。いまなにより大事にことはこれ以上緊張を高めないこと。問題は平和解決の道にもどすことであります。北朝鮮の脅しや挑発は許されませんが国際社会は軍事力一辺倒ではなく対話の糸口をさぐる努力がいま鋭意図られています。それが憲法9条もつ国として道理ある立場、その外交力を発揮することこそ必要だと考えております。住民の安全安心の問題は、青森県車力基地は米軍族の事件事故が設置から1年間のあいだに7件もおこりまして、本国に送還をされています。先日は沖縄県の宜野湾・元伊波洋一市長が丹後においでになりまして、復帰後に5000件の事件事故があった。しかし私たちが防衛省に何を言っても米軍に何を言っても何もやってくれない、国は守ってくれないと言っておられました。基地を作らせたら事件事故が発生しない、何の保証もありません。
孫崎さんの指摘についてのご答弁がなかったと思ったのですが、世界の流れは、東南アジア諸国連合、アセアンは紛争が起こっても絶対に戦争にしない、対話によって解決する、紛争の平和解決に徹しています。アセアンのこうした流れを北東アジアに広げていこうというのが私どもの提案でありますが、世界の流れはこのようでありまして、いたずらに脅威をあおり軍事力の緊張を高める、そういうやりかたはダメだと、国に対して求めていただきたい。そして京都府の問題でありましてそのように受け止めていただいて米軍基地いらないと住民の意見をしっかり伝えていただきたいと思います。
日本国憲法が本当に活かされる政治実現へ全力
最後に一言申し上げます。
どの問題も、戦後日本が、平和主義、主権在民、基本的人権など現行憲法をのもとに曲がりなりにも平和な歩みを進めてきました。それを一気に崩しているのが安倍政権です。政治は国民のためにあります。国家は国民の暮らしを守り発展させることにあり、府政もまた、すべての府民の命と暮らしを守り、向上させるために働く地方自治に本旨に基づいて働く組織でなければなりません。来るべき参議院選挙で、日本共産党は、日本国憲法が本当に活かされる政治実現へ全力を挙げることを府民のみなさんにお誓いして 質問を終わります。