2013年6月定例会 迫祐二一般質問
迫議員が6月26日に行った一般質問と知事・理事者の答弁の概要を紹介します。
2013年6月定例会一般質問
迫 祐仁(日本共産党、京都市上京区) 6月26日
住民の声を聞かずに進められている堀川団地再生事業
日本共産党の迫祐仁です。知事並びに理事者に通告に基づき、数点質問いたします。
まず、住民の声を聞かずに進められている堀川団地再生事業についてです。
堀川通りは、戦前は250余の店が軒を並べた堀川京極商店街があり、東の新京極、西の堀川京極といわれ反映していたところですが、第二次世界大戦の終戦末期に住民が強制疎開させられ、現在の堀川通りができました。
戦後、以前の堀川京極の賑わいを取り戻したいという住民の願いに応え、京都府は、住宅難解消と堀川商店街の復興をめざして、昭和25年から28年にかけ、店舗付き集合住宅を6棟建設しました。これが堀川団地です。 当時は全国初のガス、下水道が整備された鉄筋コンクリート3階建ての店舗付き住宅として注目され、今日まで西陣や友禅職人の営みと共に地域に密着した商店街としての役割を果たしてきました。
堀川団地は、住民や京都府・公社との間で建物の老朽化対策について以前から取り組まれてきましたが、建物の建替え、改修については明確な方向が示されずに、入居者の高齢化、空き店舗が増えるなかでも、商店主とくに定期借家のみなさんは耐震改修で「ここで営業し続けたい」との声が高まっていました。
そして、この堀川団地の再生について、平成22年2月議会に「新堀川京極再生プロジェクト」として「老朽化が著しい堀川団地を再生し、観光、伝統文化など京都の持つ強みを生かした京都の新しい拠点づくりを進める」と提案がされました。
この提案の前後に、ほりかわまちづくりの「懇話会」、「協議会」が開かれ、堀川団地の再生について、京都府、住宅供給公社、地域の福祉関係者、学識経験者、堀川団地の入居者や地域の住民・各種団体、それと京都市が参加し、議論・検討が行われました。 そこには、「再生事業は、団地の住民の合意のもとで進めていく」ということが貫かれていました。
特に6棟のうち堀川商店街のある中4棟の再生整備については、公社と堀川商店街を中心に、24年3月には説明会、また5月27日には「堀川団地中4棟再生整備応募検討委員会」を開催し、小石原住宅供給公社理事長が、堀川団地の4棟改修・再生のため「高齢者・障害者・子育て世帯居住安定化推進事業」という国の制度の補助金を獲得したい」。さらに「補助金をとるがために、発展を妨げたり、商店街が良くならないようなことはしない。商店街を良くすることが前提だ」と明言され、24年6月に4棟耐震改修で進めることで合意し、堀川再生事業が前に進んでいました。
住民、商店街との合意を突然反故に 追い出しの計画に
ところが、24年9月18日に開催された「堀川団地再生・事業推進委員会」では、「アートと交流」をテーマに民間開発手法を導入して地域活力の再生を図り、新しい魅力を創造する事業を実施すると突如大きな転換がはかられ、事態が変わりました。さらに11月の委員会で、4棟耐震改修から2棟建替え、2棟耐震改修ですすめる案が提案され、「京都府主導でこれまで約束してきたことがなかったかのように強引に進められてきた」と商店街の方は言われています。
これは、堀川団地にいま住んでいる住民、営業をしている商店主の声を聞かずに、まるごと追い出そうとするものです。これまでの商店街をよくすることが前提の合意を無視し、住民合意のない押し付けの計画が今後この地域の新しい魅力を発信できると思われているのでしょうか。
堀川団地の再生計画に対し、この6月、堀川商店街協同組合から京都府知事に「計画見直し」の要望書が出されました。要望書は「堀川団地再生事業について計画の見直しを要望」され、「そもそも堀川団地再生は、耐震補強を加えた改修で商店街並びに地域住民中心で行う計画であったはずだが、突然民間に売って建て替えをするので、退去しろというのは、あまりにも乱暴」であり、平成24年6月に発表された当初の計画案に戻すことを強く求めているものです。
それに先立ち、今年3月にも、組合の総意として、商店街が追い出されかねない建て替えではなく、耐震補強で再生事業を行うことを要望されています。新築になれば、いったん店を他に探さなければならない、また新たに戻ってくるときに店づくりをする相当の資金が必要になる。資金のないものは、出ていかなければならない、即ち仕事を失うことになると訴えておられます。また、府の提案する再生事業「アートと交流」の事業も、4棟耐震補強で取り組んでいけると提案されています。
私が商店街の会長さんにお聞きしたところ「長年続けてきた商売を今後も続けていきたいというのがみなさんの願い」。そして「当初から商店街、地域住民も含めて進めていく計画が、突然計画案が変更されるのはあまりにも乱暴ではないか」とも話されていました。
さらに、定期借家の方は「来年の3月で契約が切れます。もう時間がありません。早く最初の計画に戻して、耐震改修を早くすませ、営業を続けさせる約束を守ってほしい」といわれていました。
府住宅供給公社と堀川団地の住民や商店街とは、団地の建物全6棟のうち、真ん中の4棟の耐震改修を行う計画で合意し、事業を進めてきましたが、突然住民を追い出す2棟改修2棟建替えの計画に変更したのはなぜですか。お答えください。
民間事業者に京都のまちづくりを事業を丸投げ
さらに民間事業者に事業を丸投げしようとする事は極めて重要な問題です。
堀川団地一帯は、南側は二条城、北側には晴明神社や西陣織会館があります。堀川通りの東側は、住民の願いで改修された堀川が流れ、近年は「京の七夕」が取り組まれ絶好の観光コースで、西側には低層の町屋が並び、京都らしさを醸し出し、京都の歴史と伝統を象徴する通りです。
堀川団地再生事業は、団地の再生とともに、この堀川通り南北600メートルの町並みをどうするかという京都の街づくりの問題でもあります。今回の計画は、「アートと交流」「新しい魅力」「地域の活性化」などをうたいながら、具体的な事業計画及び事業実施については、京都府の公共発注ではなく民間投資による土地活用として京都府外の民間開発事業者に事業内容を含め全てを丸投げし、住民を追い出し、大手資本による再開発、京都破壊に手を貸すものです。
また、府と公社は、再生事業のデザイン監修業務を規格提案型のプロポーザル方式で募集しましたが、受注したのは事業推進委員会に参加していた元参与が代表を務める東京の設計事務所でした。この元参与は、事業推進委員会に最初から参加し、府の計画案に意見を述べ、更に、事業者を選定する意見聴衆会議のメンバー5人のうち4人は事業推進委員を務めた人物です。学識者も「疑念を持たれるのは当然」とコメントし、この元参与の名前を聞いた途端に商店街の方は、「なーんだ、出来レースだったのか」と大変怒っておられました。
しかも、公募の1回目は、1業者しか参加せず、基準を引き下げて再公募し、あげくは民間丸投げの開発。そして次点の業者は北山文化ゾーンを請け負う横浜の事務所です。 このようなやり方自身、問題がありやめるべきだと指摘しておきます。
これまでの住民等との合意を反故にし、住民を追い出し、まち全体のデザインコントロールを東京の民間事業者に丸投げするような再開発計画は直ちに中止すべきであり、最初の合意に差し戻して事業を進めるべきと考えるがいかがですか、お答えください。
知事答弁
【知事】住宅供給公社の堀川団地の再生ですが、この一番の大きな目的はこれだけの堀川通に面した地域があって、しかも西陣の再生というものを背負っていかなければならないし、これからまさに伝統産業も含めてどうやって地域全体を盛り上げていくかということが一点です。それからもう一点は、やはり今住んでいらっしゃる方々がいらっしゃる。そして商店街の人もいらっしゃる。この方々との権利をしっかり守っていかなければならない。この調和をどうやってとるのかというのが、一番、この態勢のなかで大きな点であります。したがいまして平成21年に有識者によるまちづくり懇談会を設置して、まちづくり協議会を立ち上げてきたわけでありまして、そこで検討をかさねてきたわけであります。
今、ご指摘の南北2棟新築、中4棟を改築でありますけれど、もともと老朽化した建物でありますから、本当は全部建て直す方がいいわけです。それのが安全でありますし、これからの将来にとってはいいわけです。しかしながら、改修のときに国庫補助があって、改修については国庫補助がつくので、その財源ということでやっていこうじゃないか、ということで、その2棟建て替え、4棟改修という案がでてきたわけでありますけれど、国交省の補助が減額されましてつかなくなりまして、それだったら元にかえって、きちっと将来を見据えていいものを作り上げていく、のが基本でありますので改修の方がよくなるという話はないわけでありまして、それは当り前の話だというふうに思っております。そのなかで問題なのは、住民のみなさんがいるわけですから、やはりこの方々の居住というものはしっかり守っていかなければならないと思っております。また商業のみなさんについても、それぞれ個別事情ありますのでこれは各自の立場を踏まえてこれから相談しながら対応していくという方針になっております。
それから良好な景観デザインを形成するためには、6棟ありましてそれをバラバラに改修は改修、民間は民間、でやっていたらこれは統一性がなくなりますので、全体としての景観デザインについては責任を持った建築の専門の方に見ていただこうじゃないか。それは公募によってしっかり選ぼうじゃないか、という話でありまして、これは有識者を含めて公募の内容について審査をして行ったわけでありまして、審査結果を見ましても、どの方も大変高い評点を1位の方につけているわけでありまして、これはそういう具体的な提案に基づいて行っているわけでありますから、別に東京がどうのこう、なんとかどうのこうのというわけでありません。今後開発にあたりましては、まさに民間の活力部分は、民間の方に対して、それはどれだけ採算の可能性もあるのかということを提示しながらやっているわけではありませんから、そうしたことを踏まえて将来の構想ということをやっていかなければというふうに思っております。ひき続きそうした事情を住民のみなさんや商店主のみなさんに、しっかりと相談窓口を設置し、そのみなさんのご理解とご協力を得られるように、この事業を進めてまいりたいと考えているところであります。
再質問・再答弁
【迫】今、答弁をいただきましたけれども、調和をとって進めていくということですけれども、それが全然できていないというのが、今の実態ではないでしょうか。その中で耐震化でやっていけるということが明らかになって進められてきた。実際、そのことによって公社と商店街の方々が合意をして「さあ、やっていこうじゃないか」と話が進んでいたんですよ。実際にこれでやっていったらいいということなんですよね。建て替えや再生事業の問題は、公共でやればいいんじゃないですか。民間業者じゃなくて。公共でやっていくということがよい。実際、そのことをやっていこうとしないということに大きな問題点があると思います。だからそういう意味でいきますと、堀川団地の皆さん方、本当に納得されていないというのが実態ですよ。京都府の進め方が、先ほど相談窓口とおっしゃいましたが話し合われてきたことが違うから要望書も出されてきたんですよね。だから住民と公社と合意していたのをひっくり返された。京都府の財産を東京の民間会社に丸投げしていく再開発するやり方、これは中止をして最初に戻してやっていくべきだ。このことを再度お答えください。
【知事】民間資金を活用することは別に悪いことでもなんでもなくて、民間の活力を利用してよりよいものができるのならそれにこしたことはない。問題はそれができるかどうかについては、しっかり検討していく話でありますし、住宅供給公社と住民が合意したという話ですけど、なんか合意したとかそういうのがあるのではなく、いろいろと話し合いを進めていくなかで京都府のこれは一番大きな施策でありますから、しっかりと住民のみなさんとこれからも話を進めていく。そのなかで、今、お話しましたように住民のみなさんのやっぱり住居というものはしっかり守っていく。これはお約束をしているわけでありますし、商店街の方についても、これからそれぞれの個別の事情において、これはしっかりと相談をさせていただきたい、というふうにおもっているところであります。
【迫・指摘】今おっしゃいましたけれど、商店主の方々は本当に今大変な状況にあるということで、その建て替えの話がでてくる。新築後にその民間業者と新規契約が必要となります。営業継続は白紙状態なんですね。商店街の方は「耐震改修して商売続けていきたい。そのつもりでやってきた」とおっしゃるんですね。今、簡単に仮店舗、移転することはできないんです。「建て替えになったら廃業するしかないんだ」とおしゃってますよ。だからそういうなかで建て替えした中で入居する。そういうなかで「店舗改装にさらに資金が必要となってくる。そんなお金はないんだ」というふうにおっしゃいますよ。「結局、京都府は私らを追い出し、路頭に迷わせて、その賑わいをつくるんか。本当にひどい話ですよね」と言われています。
計画の途中までは、当事者の団地住民の意見を聞きながら、商店街も良くしていくといい、最後になると住民の意見は無視し府の結論を押し付ける。しかも具体的な内容などは民間任せ、府が責任をもたないやり方は府民の生活をないがしろにするものだ。直ちに中止することを求めておきます。
西陣の振興 府の対応は極めて不十分
【迫】次に、西陣について伺います。この3月に平成23年度、1年間を調査対象期間とした「第20次西陣機業調査」の概要が発表されました。概要では、今回の企業数369社、織機台数、出機も含めて4473台、従業者数3126人で、西陣機業の生産ピーク時にあたる昭和50(1975)年と比較すると、企業数が32%、織機台数が13%従業者数も13%の水準にまでそれぞれ減少し、また、出荷金額は、355億円で、昭和50年の17.3%、ピーク時の平成2(1990)年に比べると13%の水準まで落ち込んでいます。そういう中、力織機の道具類や部品が不足してきており、その確保について「早急な対応措置を講じる必要」が指摘されています。
私は、本会議や委員会で西陣機業では、力織機等の各部品・道具類の調達問題の解決策、また後継者の対策を講じることが緊急の課題だと具体的に提案してきましたが、府の対応は極めて不十分だと言わざるをえません。
道具類の確保 責任を持って保管場所確保を
24年2月の本会議で知事は、道具類の確保は平成20年に道具類協議会を設置し、部品の試作は京都試作センターの協力で取組、着実に成果をあげている、この成果を踏まえ「西陣産地におきましては、力織機部品や道具類を確保するための制度構築に向けた検討が進められており、協議会としても、必要なアンケート調査を西陣織工業組合とともにすべての組合員に対して実施するなど、さらなる改善に歩みを進めている」と答弁されました。さらに、商工部長は「道具類の確保場所については、機料品店の通常業務の中で実施するよう検討していると産地から聞いており、現時点では、保管場所の確保について具体的な検討・要望はない」旨答えられました。
しかし、現実には西陣の帯地などの生産を支えている賃織りという職人は、依然として織機の部品や道具類の調達を自分のつてや機料品店を通じて行ない、部品や道具類に関する情報が伝わらない状況となっています。部品や道具類の情報が、京都伝統産業道具類協議会から日常的・系統的に賃織り職人に伝わるように改善をすべきだと思いますが、いかがですか。
また、京都試作ネット㈱が不足する部品や道具類の試作品をつくられていますが、実用化がおくれており、対策が必要と考えますが、いかがですか。
西陣産地の9割近くの織機を補修し、部品や道具類を取り扱っている機料品店・K社では、ここ数年、仕事量が減少し、昨年末に高齢の二人の従業員がやめました。75歳の社長が一人で差配している状況です。賃織の仲間内では「最近、機料品店の、在庫が少なくなっている」「機料品店がもしやめたら、部品の調達ができないので賃織をやめる」との声が広がっていると話されます。現在、道具類、部品の保管は機料品店が保管するとなっていますが、保管場所の確保が困難となりつつあり、府も関与する京都伝統産業道具類協議会で協議し機料品店任せにせず、保管場所を確保する必要があると考えますが、いかがですか。
機料品店の社長は、「自社工場に力織機のある帯地の会社は40社あまり。また、織屋が頼りにしている出機も減少し続け、この5月現在で西陣産地内に約450台、稼働台数は約300台。さらに、織手の年齢は70歳代が中心。織機がなくなるか、織手がいなくなるか。このままでいくと西陣というものづくりが消滅するのではないか?」と心配されています。
さらに、「後継者のない業界は成り立たない。西陣の織り手は2,3年では育たないということを考えてほしい。私も75歳です。いつまでできるかわからないが、みなさんが私を求めてこられる以上は頑張りたい」とも言われています。
いま、若手が育ちつつある織物産地は、博多だといわれるが、機料品店がありません。高齢の社長が京都から出かけて機直しをしているそうです。いまこの機料品店がやめたら西陣産地の織手の織機をだれが補修するのかという危機的状況が目の前にあります。これは、西陣だけでなく全国の織物産地の危機に直結してきます。いま、職人が高齢化し後継者が育っていない事態を招いたことに府はどのように認識されていますか。
後継者育成などを含め西陣に対する府独自の支援策の強化が必要
これまで、技術の研修や後継者を育成する場であった京都市染織試験場は、京都市産業技術研究所に統廃合され、「西陣の産地で研修を」との要望のもとに、西陣織会館7階事務室で、西陣相談窓口が週一回火曜日だけ開設されます。私は、これでは不十分なので、拡充・整備を求めてきましたが、府は、技術支援は丹後の織物・機械金属振興センターと市産業技術研究所で連携・協働しており、暗に京都市内は京都市の役割分担で事足りるという考え方だと思います。
ところが、これまで技術研修と後継者育成を担ってきた京都市産業技術研究所が、独立行政法人化がすすめられていますが、西陣産地内では、独法化に伴い体制が縮小されるのではないかと懸念の声が上がっています。京都市と独法化の問題も含めてよく協議し、独法化に反対するとともに、後継者育成などを含め西陣に対する府独自の支援策の強化が必要と思いますが、いかがですか。
答弁
【田中農商工労働観光部長】西陣織等の振興についてでございますけれども、まず道具類の確保における情報発信についてでございますけれども京都府がよびかけて設立いたしました京都伝統産業道具類協議会におきまして、だれもが情報入手できるよう、ホームページで力織機、部品、調査報告書や部品リストを公開するとともに、協議会の事務局でございます西陣織工業組合でも随時、相談ができるようになっておりまして、そうした情報の充実とPRに今後とも努めてまいります。
力織機の部品、道具類の保管場所の確保についてでございますが、現状は各機料品店において保管しており、このような機料品店がしっかり仕事を続けていただくという意味からも含めまして通常の事業のなかで調達・保管および販売をおこなっていくことが業務するうえで最善と考えております。
さらに現在、保管場所が足りない、産地組合からの深刻なお話等を聞いている状況ではございません。
部品道具類の試作でございますけれども、重要なのは製作技術をいかに継承していくか。そしていざ具体的な要望がでた場合に提供できる体制をどうつくるか、ということだとございます。たとえば竹筬につきましては、すでに実用化しているところでございます。ピッカーについても現在、耐久試験中でございます。その他の部品につきましても、事業者が購入したい具体的な要望があれば、産地とともに検討し提供できるように努めてまいります。
西陣における後継者育成や支援策でございますが、和装需要の大幅な減少等にともなう職人さんの減少や高齢化については大変厳しい状況であると認識しております。こうした状況に対応するためには、職人さんへの直接な支援とあわせて、なによりも市場確保していくことが重要であり京都府伝統と文化のものづくり産業振興条例等に基づき、奄美大島紬等他産地とのコラボレーションによる新たな商品開発、最大の消費地である東京の新商品展示会などの開催による市場開拓などに加え、匠の公共事業や平成の正倉院づくり事業による職人さんの仕事づくりや京もの認定制度による技術継承など伝統産業を支える人材育成など総合的に取り組んでいるところでございます。
さらに今議会でお願いしております原材料等価格高騰対策産地緊急支援事業費におきまして、時代に即応した構造改革につなげる取り組みなどについても緊急の支援を進めてまいりたいと考えております。
京都市産業技術研究所の独立行政法人化につきましては、業界の意見も十分お聞きしながら京都市において検討されているというふうにうかがっているところであります。
迫・再質問
今、機料品店は当初から保管場所をつくってほしいと言われています。そういう現場の声を京都府がしっかりとつかんでいってほしいと私は思います。ホームページでその道具類等をお知らせしているというふうにいってますけれども、現実にはそのホームページを見れない人たちはどうするのか、ということも考えていかなければならない。だからそういうことがほんとうにこのしっかり、きちっと伝わっていく態勢が取れてないからそのことをつくってほしいんだといっているわけなんです。そういうことでしっかりとやっていくことが大事です。部品や道具類を必要な人に正確な伝える体制を整える。保管場所の関係については協議会で府は積極的に提案して、保管場所を確保することでもう一度答えていただきたい。
【田中農商工労働観光部長】道具類の保管場所についてでございますけれども、ただいまお答えいたしましたとおり、機料品店で現在保管していただいて、産地組合等からは緊急の場所の要請等はございません。
【迫・要望指摘】ほんとに現場の声をしっかりとつかんでいるのかといいたいと思います。この機料品店の方は自分自身のことも含めて、先ほどいった形で保管場所を作ってほしいとおっしゃられている。そういうことをしっかりつかんでほしい。西陣産地では、深刻な和装離れの中でも、多くの方が生業として従事されてきたが、今では、生業として成り立たない状況が続いています。若手が「仕事がしたい」と来ても、生活を保障することができない、後継者として育成する保障がない。こういう危機的状況にある。国内最大の織物産地、西陣の発展に府が責任を持つべきという点で考えると、巷では、府も市も和装から腰が引けているといわれています。和装伝統産業の発展に対し、業界関係者だけでなく、いまこそあらゆる京都の産業にかかわる人が協議をしていくことが必要だと思います。昨日、原田議員も質しましたが、販路拡張や技術の開発にも新産業とのタイアップも求められています。府が支援をしっかりととるべきだと指摘し、質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。