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2013年6月定例会  馬場紘平 意見書・決議案討論

2013/07/04 更新
[ 討論 ]
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 馬場議員が7月4日の最終本会議で行った意見書・決議案の討論(大要)を紹介します。

2013年6月定例会意見書・決議案討論
馬場紘平(日本共産党、京都市伏見区) 7月4日

  日本共産党の馬場紘平です。議員団を代表して、ただいま議題となっています9意見書案及び2決議案について、3会派提案の「地方交付税の総額確保に関する意見書案」に反対し、その他の意見書案及び決議案に賛成する立場で討論します。

  まず、我が党提案の「消費税増税の中止を求める意見書」案についてです。
 安倍政権の異常な金融緩和の結果、円安、株高で、一部輸出大企業と富裕層だけが儲けを上げる一方で、京都府内の中小企業、伝統地場産業、農林漁業者は資材や燃料代の高騰で厳しい経営を余儀なくされ、食料品や生活必需品の値上げが庶民の生活を圧迫しています。
 こうした中で消費税増税を行えば、価格に転嫁できず、経営難や倒産・廃業に追い込まれる事業者が続出するなど、その被害ははかりしれません。ところが政府は、4月から6月の「経済指標」などをもとに、増税を強行しようとしています。とんでもありません。
 そもそも、消費税は貧困と格差を拡大する不公平税制であり、経済にも大打撃を与えます。税制改革というなら、大企業・金持ち優遇の不公平税制の改革と、国民の所得を増やす経済再建で財源を確保することが必要です。
 今議会には、西新道錦会商店街振興組合ほか47団体の皆さんからの「消費税増税の中止を求める」請願が提出されました。その趣旨は、いずれ、消費税増税は仕方がないと思っている人も含めて、今の時期の増税は中止すべきという内容です。本意見書案は、これらの願いに応えるとともに、深刻な京都の経済状況に照らして、附則18条に則って、消費税増税の中止を求めるものです。

  次に、「原発再稼働に反対しすべての原発の撤退を求める意見書案」についてです。
 東京電力福島第一原発の事故から2年以上が経過したにもかかわらず、未だに15万人を超える避難者が、「原発さえなければ」という思いの中で、厳しい避難生活を余儀なくされています。こうした被災者の思いに応え、「原発ゼロ」という国民大多数の願いに応えることが政治に求められています。福島第一原発では、増え続ける大量の汚染水の問題や、地下水へ放射性物質が漏れ出している問題など、安倍首相の「世界最高水準の安全基準」「安全が確認された原発は再稼働」といった方針とは、かけ離れた深刻な状況が続いています。
 事故の収束も、被災者の皆さんの生活復興もまだまだほど遠い中で、安倍首相は新規制基準を閣議決定し、原発の再稼働、新設、輸出など、異常な暴走へと突き進んでいます。こうした動きを受けて、関西電力の高浜原発3・4号機や、東京電力柏崎刈羽原発などで再稼働に向けて、規制委員会に安全審査の申請を出す動きが出ています。そもそも新規制基準は、活断層が直下にあっても「露頭」が無ければ原発設置が認められ、原発の運転期間を原則40年とし、1回の認可で最長60年まで運転延長が可能なこと、第2制御室やフィルター付ベントなどの対策は5年の猶予が認められているなど、まさに第2の安全神話とも言えるような内容です。また電力会社も政府と一緒になって暴走を続けています。大飯原発の活断層の可能性から目をそむけ、高浜原発へのMOX燃料の搬入を強行する関西電力の姿勢は、安全に背を向ける態度と言わざるを得ませんし、高速増殖炉もんじゅでは1万2000件以上の点検を怠ってきたことが明らかになるなど、安全意識の欠如が改めて明らかになっています。
 こうした動きに対して、国民の大きな怒りの声が広がっています。柏崎刈羽原発を抱える新潟県の泉田知事は、「地元との関係を壊す動き」「新規制基準は安全性を保証するものでない」と強く反発しました。6月2日に行われた国会包囲行動には、6万人もの国民が集まり怒りの声を上げました。
 原発再稼働ありきの規制基準を振りかざして、高浜原発3・4号機の再稼働を強行することは止め、真下を走る破砕帯が、活断層と断定された敦賀原発2号機、安全対策の欠如が明らかになった高速増殖炉もんじゅは直ちに廃炉とすること。大飯原発は直ちに停止し、全ての原発からの撤退を決断することこそが国民の願いに応える道です。 

 次に「社会保障の削減・抑制路線の撤回を求める意見書案」と「生活保護基準の引き下げの撤回を求める意見書案」についてです。
 昨年の秋に自民・民主・公明3党がわずかな審議で強行した「社会保障改革推進法」は消費税の増税と引き換えに、これまで日本社会を支えていたセーフティネットを崩壊させ、「自助・互助」の名の下に社会保障に対する国の責任を放棄し、憲法25条に掲げられた生存権保障の理念を投げ捨てるものです。さらに、年金、医療、介護にまで及ぶ、社会保障の大改悪が狙われています。年金は今年から3年連続で総額1兆2000億円の引き下げに続き、支給開始年齢も68歳から70歳への先延ばしが狙われ、医療費負担は風邪では7割負担に、70歳から74歳の方の窓口負担は2倍に引き上げられようとしています。さらに介護保険では、要支援者150万人が介護保険の対象からはずされることになるなど、社会保障の解体が狙われており、到底許されるものではありません。その突破口とされているのが、8月からの生活保護基準の引き下げです。
 「基準引き下げで命を削れというのですか」「食費を切り詰め、いまでもぎりぎり」など、不安と怒りの声が全国から寄せられています。そんな中、全国で基準引き下げによる審査請求を起こそうと、運動が広がりつつあります。
 保護基準の引き下げは保護を受給している世帯だけの問題ではなく、京都市でも保護基準の引き下げによって就学援助が受けられなくなった世帯が900世帯以上に及ぶように、多くの国民の暮らしにかかわる問題です。
 国の責任を放棄し、国民の暮らしを破壊する、生活保護基準の引き下げは撤回すべきです。
 こうした生活保護をはじめとする社会保障の大改悪は、いのちと健康、暮らしを脅かすとともに、消費をさらに冷え込ませ、地域経済にも大きな影響を与えるものです。 

 次に、「BSE全頭検査の実施を求める意見書案」と「BSE全頭検査の実施を求める決議案」及び「TPP交渉参加の撤回を求める意見書案」についてです。
 BSEについて、国は、食品安全委員会の評価書を受け、健康への影響は無視できるとして、検査対象月齢を48か月齢超へと引き上げることを決定しました。しかし、BSE感染牛の国内での確認以降行われてきた全頭検査の中でも、2003年には21か月齢のBSE感染牛が確認されているのです。国産牛のBSE検査対象月齢の引き上げを中止し、これまで通り全頭での特定危険部位の除去を行うとともに、本府がこれまで通り全頭検査を実施すべきです。
 そもそも、BSE検査の基準緩和はTPP参加への入場券としてアメリカから求められてきたものです。安倍首相は、農業や医療、労働への影響を訴える国民の声を押し切って、TPP交渉参加に踏み切りましたが、首相が繰り返す「非関税障壁の撤廃が前提条件ではない」「守るべきものは守る」という言葉は、アメリカとの事前協議の中で絵に描いた餅であり、TPPの本質が「非関税障壁の撤廃」であることや、守るべきものすら守れない状況が改めて明らかになっています。
 こうした中で、国民の怒りの声が広がっています。6月30日京都では、農業や医療、労働組合など幅広い団体・個人でつくる「TPP参加反対京都ネットワーク」が、「TPP参加反対京都府民集会」を開催し、700人を超える方々が、「日本をこわすTPP参加をやめろ!」「農業をダメにするTPP参加をやめろ!」と声を上げられました。
 こうした声に応え、一部の輸出大企業のために経済主権を投げ捨てるTPP交渉への参加は撤回すべきです。

  次に、「奨学金制度の拡充をもとめる意見書案」についてです。
 デフレ不況が続く中で、子育て世帯の所得は減り続け、高校や大学へ奨学金を借りて進学したものの、その返済に苦しむ若者が増え続けています。日本弁護士連合会がおこなった「全国一斉奨学金返済問題ホットライン」では「就職先がなく返済の見通しがない」など一日で453件の相談が寄せられています。不景気で、就職難やリストラなど働く環境が悪化していることも大きな原因です。
 そもそも、高校や大学卒業時に300万円400万円という多額の借金を抱えなければならないこと事態が異常です。世界をみれば、OECD加盟34カ国中、大学授業無償化の国は17ヵ国、給付型奨学金制度を持っているのは32ヵ国で、高い学費の上に給付型奨学金もない国は日本だけです。

昨年9月に日本政府は、国際人権規約にある中等・高等教育の漸進的無償化条項の留保を撤回しました。昨年の総選挙マニフェストで、自民党も公明党も民主党も給付制奨学金の創設など、奨学金制度の拡充を国民に約束されており、今こそ奨学金制度の抜本的拡充を現実のものにしていくことが求められています。

  次に、日本維新の会共同代表橋下大阪市長による「慰安婦」発言の撤回と謝罪を求める決議案についてです。
 本府議会は、3月26日、旧日本軍による「慰安婦」被害者に対し「必要に応じ補償を行い、名誉と尊厳を回復することは、いまだ日本政府に残された責務」として、「慰安婦」問題の早期解決を求める意見書を可決しました。今回の橋下大阪市長の発言は、本府議会の意見書の精神を否定し、「慰安婦」問題の早期解決に重大な障害をつくりだすものです。国連の拷問禁止委員会は、5月31日、慰安婦問題をめぐる橋下市長の発言に対して、「地方のトップや政治家が事実を否定し、元慰安婦を傷つけている」と断罪し、日本政府がこの発言に反論し、慰安婦問題の法的責任を認めることを勧告しました。
 ところが橋下大阪市長は、いまだに「慰安婦」発言を撤回も謝罪もしていません。安倍内閣も、この発言を批判しない態度をとり続けています。
 また、安倍首相や橋下大阪市長は、「慰安婦」問題で「強制連行の証拠はなかった」と述べていますが、河野洋平官房長官談話の発表にあたって政府が収集した資料の中に、日本軍による「慰安婦」の強制連行を示す記録があったことが日本共産党の赤嶺政賢衆院議員への答弁書で明らかになりました。
 それが「バタビア臨時軍法会議の記録」で、日本軍がジャワ島スマランなどでオランダ人女性らを慰安婦として使う計画を立て、「慰安所に連行し、宿泊させ、脅すなどして売春を強要するなどした」とその実現に直接・間接に関与したことを明らかにしたものです。
 安倍首相や橋下氏の主張の虚偽性は明確で、戦争犯罪を事実上容認する態度をとり続けてきたことをきびしく反省すべきです。

  次に、「地方公務員給与大幅カットのための地方交付税削減と「骨太方針」の撤回を求める意見書案」についてです。
 政府が閣議決定した「骨太方針」から見えてくるのは、「世界一企業が活躍しやすい国」づくりのために、国民の暮らしを「聖域なく」削り取っていく安倍政権の姿です。
 内需が冷え込んでいるときに、さらに追い打ちをかける消費税の増税には「着実に取り組んでいく」とし、今でも全国各地で餓死者や孤独死など、社会保障の網の目からこぼれ落ちる国民が後を絶たない中で、社会保障費の削減は「聖域なく進める」、一方で国際競争力の強化や、そのためのインフラ整備には「集中投資」としています。
 こんなことが実施をされれば、府民の暮らし、京都府経済、地方財政に大きな打撃を与えることは明らかです。
 今議会に提案された職員給与の削減は、こうした流れを推し進めるために地方交付税の削減という禁じ手まで使って強要されたもので、到底許されるものではありません。まして、本府がそうした国のやり方に追従して、府内総生産を0.14ポイントも引き下げる影響のある職員給与削減の実施が許されるものでないことは、職員給与削減の議案討論でも述べたところです。本意見書案は、問題の大元にある「骨太方針」も含めて撤回を求めるものです。なお、3会派提案の「地方交付税の総額確保に関する意見書案」は、地方交付税削減には触れているものの、その大元にある「骨太方針」を前提としており反対です。

 以上、我が党提案の8意見書案と2決議案への賛同を求めるものです。以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。