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2013年6月定例会  光永敦彦・議案討論

2013/07/04 更新
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光永議員が7月4日の最終本会議で行った議案討論(大要)を紹介します。 

2013年6月定例会議案討論
光永敦彦(日本共産党、京都市左京区) 7月4日

  日本共産党の光永敦彦です。
 日本共産党府会議員団を代表し、ただいま議題となっております議案11件のうち、第1号議案「平成25年度京都府一般会計補正予算(第2号)」、第2号議案「京都府府税条例一部改正の件」、第8号議案「新総合資料館(仮称)新築工事請負契約締結の件」ならびに第12号議案「関西広域連合規約変更に関する協議の件」の議案4件に反対し、他の議案に賛成する立場から討論を行います。

 まず第1号議案「平成25年度京都府一般会計補正予算(第2号)」についてです。
 安倍首相は「企業が世界一活動しやすい国をつくる」とし、今年6月に閣議決定された「骨太の方針」や「地域再興戦略」で、設備投資減税や研究開発減税を盛り込み、今後法人税の実効税率引き下げの検討も視野にいれるなど、大企業には大盤振る舞いとなっています。さらに限定正社員など「多様な正社員」を導入することや「残業代ゼロ」の「裁量」労働や派遣労働の拡大など、大企業にとって「首切り自由」「ただ働き自由」の拡大が盛り込まれるなど、家計も日本経済も深刻にしてきた雇用の破壊を、いっそう進めようとしていることは重大です。
 一方で、社会保障などを「聖域とせず、見直しに取り組む」ことを明記し、消費税増税を「着実に取り組む」と打ち出したことは、亡国の道に暴走しているとしかいいようがありません。この基本方針に盛り込まれている柱の一つが、大胆な規制緩和であり、その具体化としての新たな総合特区制度です。
 今回提案されている補正予算総額18億2000万円のうち、10億円を占める「地域産業振興特区金融支援費」は、すでに特区として承認されている「京都市地域活性化総合特区」を対象に新たに融資制度を設けるものです。そもそも「京都市地域活性化総合特区」は、大胆な規制緩和による、京都市MICE戦略や岡崎地域活性化プランなど、「にぎわい」「活性化」を名目とした新たな儲け先をつくり、まち壊しに道を開いていくものです。さらに今回の金融支援費の対象は、地域活性化総合特区だけでなく、大企業や一部のベンチャーを集中的に支援する「関西イノベーション国際戦略総合特区」への進出企業に対し、低利の融資を行うものです。まさに安倍政権が進める一部大企業等への支援策の具体化そのもので、とうてい認められません。
 また、今回計上されている元府立図書館仮施設の解体費については、地元住民からこれまで毎年にわたり、早急な売却は行わず、図書館や福祉施設など公的施設としての活用を求める要望書が提出されてきました。にもかかわらず、本会議の答弁で「要望は聞いていない」と強弁したことは問題です。住民要望を無視して売却することは断じて許されません。
 さらに、亀岡市のサッカー専用球技場の整備費が含まれていますが、本会議や委員会でも指摘してきたとおり、洪水時の遊水機能を果たしてきた場所に整備するため、亀岡市も「桂川への影響に対応する治水対策」が必要であることを認めているのです。また、ラムサール条約湿地潜在候補地としての豊かな自然環境であり、天然記念物で本府のレッドデータブックにも絶滅危惧種として掲載されているアユモドキも生息しているのです。さらにこれら重要な問題が、市民・府民には知らされないまま、建設ありきのトップダウンで進められており、いったん16年完成の計画を止めて、住民・関係者の参加で科学的な調査や検討をすべきです。
 なお、中小企業緊急電力コスト削減事業や風疹ワクチン補助制度は、我が党がいっかんして求めてきたもので賛成しますが、電力コスト削減事業については、既に申請があったものだけを対象にするのでなく、経済対策としても求められており再募集をかける等、要望しておきます。

  次に第2号議案「京都府府税条例一部改正の件」についてです。
 今回の一部改正は、金融所得課税の一体化として金融商品間の損益通算範囲の拡大を行うものですが、多様な金融商品に投資しやすい環境を整備するもので、富裕層への優遇措置をいっそうすすめるものです。その結果、富裕層の税負担を引き下げる要因ともなっており、格差の拡大につながるため反対です。

  次に第8号議案「新総合資料館(仮称)新築工事請負契約締結の件」についてです。
 これは、「にぎわい」「活性化」をうたいエンターテイメントを追及する「北山文化環境ゾーン」整備事業の一環として建てかえるものです。本来、貴重な資料の収集と保存をし、府民と後世に伝えるという資料館の役割があるにもかかわらず、知事のトップダウンで「ガラス張り」や「見える化」がことさら強調されてきました。その結果、設計を民間主導のプロポーザル方式を採用し、ガラス張りの複雑な構造となり、予定価格内での入札が不調となるという経過をたどることとなってしまいました。議会に対しては、積算根拠や設計など一度も報告しないまま、債務負担行為の補正予算のみを提案し、前回の入札不調を踏まえ、さらに約6億円も府民負担を増やし、ようやく契約にいたることとなったもので、反対です。

  次に第12号議案「関西広域連合規約変更に関する協議の件」についてです。
 今回の改正は、広域連合議会の定数を29名から36名に増やすものですが、関西広域連合は広域にわたる府県と政令市のみの構成団体で、団体自治や住民自治が機能できず、地方公共団体としての役割はとうてい果たせません。しかも、現在の府県・市町村制に屋上屋を重ねるものとなっています。さらに、大飯原発の再稼働の容認や道州制への検討など、住民の願いに背く政治的役割を果たしていることはすでに明らかです。
 そして何より、「東京一極集中の打破」「地方分権」を名目に、官民あげて「関西ベイエリア再開発」を軸に新たな投資を進めるための受け皿となるよう、道州制の入り口として関西連合は設立され、成長させられてきたのです。先の国会では、全国町村会をはじめ大きな反対の世論が広がる中、政府は道州制基本法を提案できませんでした。しかし今後、道州制の動きが進められようとしており、広域連合の拡充をはかっていくことは、その流れを推進していくことにつながります。このためガバナンスが効かない組織を、若干の定数増をもって充実・強化していくことは賛成できません。

  自公政権の暴走、アベノミクスの破たんが誰の目にも明らかになりつつあります。二大政党制が崩壊し、もてはやされた第三極も自民党応援団であることが明らかとなったもとで、日本共産党は、安倍政権の暴走に立ち向かい、抜本的対案を示す、ぶれない政党らしい政党であることが、多くの皆さんに信頼をもって受け止められています。
 日本共産党は、TPP反対、原発の再稼働も輸出も許すな、消費税増税ストップ、憲法9条守れ、賃金を上げて経済再生を、など広がる国民の皆さんの願いや運動と手を携えて、力を尽くすことを府民のみなさんに御誓いし、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。