府議会の意見書採択、患者らの運動が政府動かし 難病治療公費負担制度の打ち切り計画撤回
12月18日、厚生労働省は、難病患者の公費負担政道の適用範囲の縮小計画を撤回すると発表しました。この問題では、京都府議会や京都市議会が全会一致で、撤回、見直しを求める意見書を採択しており、患者の皆さんの機敏な運動とあわせ、これらの力が、国の計画を撤回させたといえます。撤回の報道直後から、難病患者とご家族から、多くのお礼の言葉が議員団に届いています。
今回の縮小計画は、厚生労働省の健康局長の私的諮問機関である特定疾患対策懇談会が、12月11日、国の意向を受け、パーキンソン病と潰瘍性大腸炎の軽症者を公費負担の適用範囲から除外するよう厚生労働省に提言したことが契機となりました。患者数が5万人を上回り、希少性がないからだといいます。
難病患者は生涯が病との闘いです。原因が分からず治療が困難で長期にわたるため、医療費の負担は大変重いものです。しかも病気で仕事を失う人が多く、生活が苦しい。だからこそ、医療費の助成が始まりました。
今回、助成縮小の対象になった潰瘍性大腸炎は20歳代前半の若年者を中心に発症します。入院退院をくりかえす中で、退職に追い込まれるなど約2割の方が職を失っています。また、パーキンソン病の切り捨ての対象とされた中等度症例の方々の場合も、失業率は5割をこえています。若年から壮年期の患者は一家の大黒柱の方が多いにもかかわらず、病気で仕事を失うなど、現在でも困窮家庭が多い現状です。助成制度が後退し医療費は増えれば、必要な医療が抑制され病状が悪化することとあわせ、家庭の崩壊すら招きかねません。
何とかしてほしいとの患者団体のみなさん等から寄せられた声を受けて、日本共産党府議団は、12月定例会に、「難病対策の縮小でなく充実を求める意見書」(案)を提出しました。国に対し、予算を抜本的に増やし、補助対象の縮小をやめ、新たな疾患にも対象を拡大すること、長期的には総合的な難病患者の医療や福祉を支える体系をとるようにとの内容です。
これに対し、自民、民主、公明、新政会の4会派は、対案を提出しました。この対案には、懇談会が補助の対象を見直す理由として「患者が5万人を上回り、希少性の要件を満たさない」としていることについて批判しないとう不十分点がありますが、共産党提案意見書案とほとんど同じ内容で、対案とも言えない物です。意見書は、全会派で提案し、全会一致で採択することにより、その権威はいっそう高まり、悪政を推し進める国に対し、より大きな力を発揮することは誰の目にも明らかです。にもかかわらず、ほぼ同一内容の対案を出すと言うことは、府民の要求実現を求める声を軽視する行動に他なりません。
しかも、与党会派の意見書案が、懇談会が補助対象を見直す理由としている「患者が5万人を上回り、希少性の要件を満たさない」との見解に対し何ら批判的見解を示していないという問題も持っています。
しかし、日本共産党京都府会議員団は、患者の命を守る立場から、与党会派の意見書案が対案として出されていたことも勘案し、共産党提案の意見書案と与党会派提案の対案共に賛成をし、意見書の全会一致採択に努力をしました。
15日の意見書採択が大きな力となって、縮小計画はひとまず食い止めることができました。しかし、国は、難病対策の縮小の方向を完全に撤回した訳ではありません。日本共産党京都府会議員団は、引き続き、関係者の皆さんと力を合わせ、対策の拡充のために全力をあげます。