聴覚障害者への情報提供施設が開設されます 2015年に城陽市
聴覚障害者が長年要望してきた聴覚障害情報を提供する京都府の施設が、2015年に開設されることが決まりました。
施設は、聴覚障害者用の録画物や各種情報類、手話通訳者等の養成・派遣、相談支援、災害時の支援などの拠点となる施設で、城陽市内に開設されます。
現在、京都府内での情報提供施設としては、京都市聴覚言語障害センターが府内全域をカバーしていますが、聴覚障害者らの団体からは、情報支援充実へ、府南部地域にもうひとつの施設開設を望む声が出され、運動が取り組まれてきました。
日本共産党京都府議団は、これらの運動と共同し、府議会でも繰り返し取り上げ実現を目指してきました。2012年2月議会では、前窪義由紀団長が一般質問で、府に実現を求めていました。
□前窪団長の一般質問(2012年2月20日)での該当部分(府政報告より抜粋)
聴覚障害者福祉を支える人材養成や災害時支援拠点 「聴覚言語センター」の設置を
【前窪】次に、聴覚障害者情報提供施設の設置についてです。
難聴は情報障害であるとも言われています。昨年の東日本大震災でも、聴覚障害者への情報・コミュニケーションの保障は、まだまだ不十分で大きな課題を残しました。聴覚障害者にとって、社会のどんな場面でも自分にあったコミュニケーション手段が全面的に保障されることが必要であり、「聞こえない、聞こえにくい」人も聞こえる人と同じように生活し、社会参加ができることを願っているのです。
聴覚障害者情報提供施設としては、京都市内に京都市聴覚言語センターが、府北部に「いこいの村」があり、それぞれ役割を担っています。京都南部では、この間、京田辺市内に設置された「山城地域活動支援センター」に、難聴幼児サポートセンターや山城就労支援事業所が設置され、利用が広がってきています。しかし、聴覚障害者団体や市町村からも毎年要望されている「府南部聴覚障害者情報提供施設」いわゆる「聴覚言語センター」の設置には至っていません。
府南部に、手話通訳者・要約筆記奉仕員など聴覚障害者福祉を支える人材の養成をはじめ、広域事業の実施や災害時の支援拠点となる「聴覚言語センター」の設置が必要だと考えますが、いかがですか、
お答え下さい。
【健康福祉部長】聴覚障害児・者への支援についてですが、補聴器の交付等については、乳幼児期は発達が著しく、この時期の言語の獲得は、子どもたちが将来にわたり、自ら考え、友達と交わり、成長していく上で大変大切なことでありますことから、軽度、中等度の難聴児にとっても 補聴器は、必要な補装具の一つであると考えております。このため京都府では従前から、軽度、中等度難聴児への補聴器の購入助成などの支援策の創設について、国に要望しているところであり、今後も引き続き国に働きかけてまいります。
なお現在、独自の助成制度の創設について、事業の実施主体となる市町村からの要望はお聞きしておりません。聴覚障害者情報提供施設については、京都府はこれまでから、京都市聴覚言語障害センターを府内全域をカバーする施設として位置付け、手話通訳者の養成や派遣、聴覚障害者の相談を行なうための生活相談委員の配置、聴力検査の実施、情報機器の貸し出しなどを行なっており、そのために府単独で実施いたしております。
あわせて、府北部地域における「いこいの村聴覚言語障害センター」が実施する事業に対して、聴覚言語障害福祉協会を通じて助成をいたしますとともに、南部地域では、元府農業総合研究所の土地・建物を貸与して、平成21年3月に関係市町村と共同で京都聴覚言語障害者福祉協会による山城地域活動支援センター「さんさん山城」の開設を支援するなど、府全域における聴覚障害児・者のコミュニケーション支援を図っております。
とくに南部地域の「さんさん山城」については、地域活動支援センターとしての事業にくわえて、平成21年9月には、府として南部難聴幼児サポートセンターの事業を委託し、さらに、昨年4月には、就労継続支援B型事業所を開設されるなど、順次拡充してきており、今後とも事業実施主体である京都聴覚言語障害者福祉協会や関係市町村とも協力して、その機能の充実に努めますとともに、市町村が設置する聴覚言語障害センターなどとの連携をいっそう強化し、長期事業の実施や災害時の対応をはじめ、聴覚障害児・者の生活支援対策の充実に努めてまいりたいと考えております。
【教育長】府南部の地域の聴覚障害のある子どもの教育についてですが、乳幼児に対する相談体制の充実を図るために、従来から続けております聾学校による巡回相談にくわえ、今年度設置した京都府スーパーサポートセンターにおいて、専門職員による相談を開始したところであります。
今後は、この新しくできたスーパーサポートセンターにおいても巡回相談を実施するなど、乳幼児の状況や保護者のニーズに応じた体制の充実を図ってまいりたいと考えております。
また、小中学校の難聴学級については、市町教育委員会が判断して設置するものですが、府教育委員会としても教員の配置など、子どもの障害の状況に応じた学習環境が整備できるよう、必要な対応をしていきたいと考えております。なお、市町村を超えた小中学校への転入学については、基本的には市町村間で調整されるものでありますが、調整が必要な事項も多く、今後の研究課題であると考えております。