3月12日京都府議会は、予算特別委員会・知事総括質疑をおこない、日本共産党京都府会議員団からはみつなが敦彦議員が質疑に立ちました。
京都府が納付金を大幅に引き上げたために、来年度の市町村国保料・税が軒並み値上げが予定されている問題では、京都府として一般会計から法定外繰り入れをおこない、保険料の値上げを止めるよう要求。また、保険料の都道府県統一化の動きの中で、小規模自治体の保険料を抑えてきた「小規模加算」の廃止が検討されている問題では、継続を求めましたが知事は「検討すべき課題」として存続を明言しませんでした。
府立大学の老朽校舎をめぐっては、府立大学生有志が学内でアンケートを行い、「校舎が耐震基準を満たしていないことについて」、「不安に感じる」(68.4%)、「まあ不安に感じる」(26.3%)と9割以上の学生が不安に感じていること、自由記述には「授業中に地震がきたら死んでしまうなと思う」という深刻なコメントが寄せられていることを紹介し、「命がかかった問題。いつから整備に取り組むのか」と迫りましたが、知事は「学生の意見は貴重」としつつも、整備や耐震化の日程は示しませんでした。
京都アリーナ(仮称)については、住民置き去りで計画を推進する背景に、国のスタジアム・アリーナ改革とプロバスケットボールチームのBリーグ参入を優先している問題を指摘。「すみやかな住民説明会の実施を」と求めました。知事は、「可能な限り早期に実施したい」と答弁しました。
質疑の大要は以下の通りです。 知事総括大要(PDF)
国民健康保険料の府民負担はもう限界
【光永議員】日本共産党の光永敦彦です。通告により質問します。
最初に、国民健康保険料(税)の引き上げへの対応についてです。
明日13日は、日本医労連による「医療・介護を守る!3.13全国統一ストライキ」が予定され、決議をあげた事業所は昨日時点で全国677、京都府では48となっています。一方、命のセーフティーネットである国民健康保険料・税の大幅な値上げが相次いでいます。財政運営に責任をもつ京都府が市町村に示す納付金は4年連続で引上げられ、昨年は府内13市町が値上げを余儀なくされ、「大きな混乱をもたらした」と京都府に異例の申し入れもありました。今年は計算方式が見直され、一人当たりの納付額は平均で16万2,960円となり、昨年に比べ、1万1,381円の大幅引き上げで、その結果、市町村の来年度保険料・税の値上げが予定されています。
そこで、今後の医療給付費の増加の推計が京都府国民健康保険運営協議会で示されていますが、どこまで納付金が引きあがり、市町村にどれくらい保険料・税の値上がると想定しておられますか。また、国民健康保険料の府民負担はすでに限界に達していると考えます。その点の認識はいかがですか。
【知事答弁】光永委員の御質問にお答えいたします。国民健康保険制度についてでございます。
国民健康保険制度は、医療保険における最後のセーフティーネットとして重要な役割を担っておりますが、無職や非正規雇用の方、高齢者の加入割合が高いため財政運営が厳しいという構造的な課題を抱えております。このため、国は、平成30年度から運営単位を都道府県化し、医療給付に必要な費用は全額都道府県が負担する一方、その財源を、国、都道府県の公費に加えまして、被用者保険などの支援金、市町村の納付金で賄う財政構造に改められたところでございます。
京都府におきましては、毎年度、市町村とともに納付金について検討しておりますが、医療費の高額化や加入者数など様々な要因が変動することにより、納付金を基礎に算定される市町村の保険料に影響を及ぼすこととなるため、保険料が上昇すると加入者の生活への影響は少なくないと認識しております。
また、今後とも、被用者保険の見直しによる国保加入者の減少や高齢化に伴う医療費の増嵩、後期高齢者医療制度を支援するための負担金の増加などにより、引き続き厳しい財政運営が見込まれております。こうしたことから、京都府といたしましては、国による一層の支援が欠かせないと考えており、新たな財源措置を講じるよう求めますとともに、国の定率負担を拡充するなど、国保財政の大幅な基盤強化を図るよう求めているところでございます。
【光永委員・再質問】 再質問します。都道府県化して以降も毎年のように納付金は値上がり、保険料も上がり続けているのが現実だと思います。財源措置を知事は求めているとおっしゃいましたけど、その目途も今あるとは決して言えません。ですから、この構造的な問題が続く以上、最後のセーフティーネットとしての国民健康保険がそのふさわしい役割をしっかり果たせるのかどうかですね。このままこの制度が守られ、そして保険料負担が上がらないようにできるのかどうか、この点についていかがお考えでしょうか。
【西脇知事・再答弁】 光永委員の再質問にお答えいたします。
国民健康保険制度は最後のセーフティーネットであることは間違いありませんが、やはり加入者の方に高齢者が多い、非正規雇用の方が多い、また無職の方もいるという構造と、それから医療費の方も高齢化に伴い増額をしているということから、構造的に非常に厳しい状況になっていることは間違いないと思っておりまして、それを抜本的に解消するためには国の財政支援の拡充が不可欠だという立場からお願いをしているところでございます。
もちろん、制度についてできる限り効率的・効果的に運用することはもとよりですが、構造的な問題としての国の財政支援につきましては、引き続き全国知事会とも歩調を合わせて活動を続けてまいりたいと思っております。
【光永委員・指摘要望】 国民健康保険の制度は相互扶助の制度では本来ありません。
しかし、まるで相互扶助の制度であるかのように、高齢者が増えたり、所得が低かったり、そして協会けんぽに移行する人が増えると。これ大変だから、しかし残ってる人で支え合いなさいという、こういう動きが国にあるのは、私はこれ自身極めて問題だというふうに思いますので、財政の要望というのは当然だと思いますけれども、やはりこの構造的問題を抜本的に見直す必要があると改めて感じております。
保険料統一化ありきでなく、小規模加算の継続と保険料引き下げへ法定外繰り入れを
【光永委員】そこで、質問を進めますけれども、高い保険料を抑えないと、制度があっても命が救えない事態になると思います。政府はこうした中、保険料の都道府県単位の統一化を令和18年を目途に行うことを示す「加速化プラン」というのを示しております。保険料統一化で保険料が下がることにつながるか、また、京都府として保険料引き下げのためにどういった役割を果たされるのか、具体的にお答えください。
【西脇知事・答弁】 保険料水準の統一についてでございます。保険料水準の統一は、府域の平均的な医療費水準を保険料へ反映させますとともに、保険料の算定ルールを一本化するものでございます。保険料水準を統一をいたしますと、所得や世帯構成が同じであれば、都道府県内のどこに住んでいても保険料が同じとなるため、負担と給付の関係が分かりやすくなり、公平性が確保できるとされております。
ただ一方で、長年、保険料決定の要素としてきました医療費の水準とか保険料の収納率が市町村ごとに反映されないこととなり、統一による課題は多岐の分野にわたると考えております。京都府といたしましては、引き続き保険者である市町村とともに、保険料水準の統一にかかる課題等について整理をし、丁寧な議論を進めてまいりたいと考えております。
【光永委員・再質問】 統一化を国は一路を進めようとしておりますけれど、統一化をしても保険料が上がるっていう可能性は、これは財政を都道府県化しても上がり続けるのと同じで、保険料統一化しても上がるのは、これ火を見るよりも明らかだと思います。そして、保険料統一化については、予算委員会のやり取りで、「統一化をする、しないは何も決まってない」こうした答弁をいただきました。
こうした中、国保加入者の少ない市町村で高額な医療費がかかる患者さんがあった場合に保険料が上がるのを避けるため、小規模加算という制度があります。これも予算委員会で論議しました。ところが、この制度の廃止論議が現在されようとしています。この制度は、令和5年度で14自治体、合計2億4,000万円が市町村に交付されていますけれども、これがなくなると急激な保険料の値上がりが起こる可能性があって、統一化すると、ますます深刻な事態が起こる可能性があるんではないかというふうに思います。そこで、再質問をいたしますけれども、この小規模加算は当然、存続すると、つまり保険料の統一化を決して強制しないということについて、知事としてこの場で明言していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
それともう1つは、保険料の引き下げのために国に財政支援を求めるのは当然ですけども、今年からまた保険料が大幅に上がるというこの物価高のもとでの大変な事態ですから、納付金の再改定するとか、あるいは法定外一般会計取り入れを京都府が行わないと、命を助けられないということが生まれてしまう可能性があると。これについてどうお考えですか、
【西脇知事・再答弁】 光永委員の再質問にお答えいたします。
まず、小規模加算についてでございますけれども、この制度はもともと、かつて国からの特別調整交付金の特別分が比較的規模の大きな市町村に対し交付されていたところから、小規模な市町村に対して、それを補充する目的で府が独自に上乗せをしてきたということですが、この国の特別分が令和5年度から廃止されましたので、この小規模市町村に対する加算については当然検討すべき課題だというふうに考えております。今どうこうするというよりも、検討すべき課題であるってことは間違いない。
ただ、先生ご指摘のように、この小規模加算によります保険料抑制の効果というものが市町村によってはかなり異なりますけれども、いずれにしても影響は大きい制度だと思っておりますので、府と市町村とが十分意思疎通を図った上で、議論を深めて方針は決定してまいりたいというふうに思っております。
それから、保険料水準の統一につきましては、これは先ほども言いましたけれども、全体の保険料水準は変わりませんので、統一しても平均した1人当たりの負担は変わらないわけですけれども、現に決めてるところが医療費水準ですとか収納率、それから長年積み重ねてこられました独自の保険事業等ございますので、そうした様々な課題につきまして、これは市町村と丁寧に審議していくべきものだと考えております。
なお、今の納付金の水準につきましては、現在市町村との間で意思疎通した上で決めているものでございますので、その点につきまして、現時点で方針を変えるということについては表明できる状況ではございません。
【光永委員・指摘要望】 小規模加算については検討ではなく存続して、とにかく保険料の統一化ありきという流れは、見直す必要があると私は考えておりますので要望しておきたいと思いますし、法定外繰り入れをしてでもですね、保険料上がらないようにすると、今時点でできる京都府の責任じゃないかというふうに思いますので、その決断を強く知事に求めて、次の質問に移りたいと思います。
「低い耐震性能が不安」府大生の声に向き合い、早急に学舎整備・耐震化を
【光永議員】次に、府立大学の老朽校舎整備について伺います。
当初予算には、ようやく府立大学の体育館整備の検討費2600万円が計上されました。しかし、老朽校舎制度については全く検討費すら示されておりません。こうした中、今議会に、府立大学の公認サークルである「府立大学を考える会」の学生の皆さんがから、老朽校舎の整備を急いでほしい、そして学費負担軽減をしてほしいとする請願が本議会に提出されております。学生の皆さんが、空きコマを使った校内宣伝と、そして先生にもご協力をお願いして、授業前にアンケートを配布をして、授業後に回収をするという形でも集められたということで、すごい努力をされたアンケートだと思います。
その一部を紹介します。「校舎が、耐震基準を満たしていないことについてどの程度不安に感じますか」という質問に対して、「不安に感じる」は68.4%、「まあ不安に感じる」が26.3%で、合計なんと94.7%にも上っております。そして、自由記述欄にはたくさんの声が寄せられておりまして、「授業中に地震が来たら死んでしまうなと思う」とか、「よく使う2号館の老朽化がひどく、地震が来たときのことを考えると怖いです」とか、「あまりに不安なので、以前友人と避難方法の確認をしたほどだ」、また、「古い校舎ほど複雑に入り込んでいるので、何かあった時に逃げ遅れそうだなといつも思っている」、さらに、「講義を受ける際、窓側で受けるようにしてる」、こういう声が出されています。また、アンケートの、「校舎が老朽化していることによって、学業、課外活動を行う上で不便を感じることはありますか」と、この質問に対して、「2号館の天井の板が落ちてくることが過去あった」と。「いつ怪我するかわからない環境であることが不安です」、「トイレが汚くて使いたくない」、「少しの振動でも机や床が揺れる時があり、授業に集中できないことがある」、また、「ドアが開きにくい」「車椅子使用者だがエレベーターのない校舎があり、苦労する時がある」「冷暖房の効きが悪い。校舎が寒いです。授業に集中できません」など、これでも全て紹介しできるものではありませんけれども、こうした切実な声が寄せられております。知事は、この学生の深刻かつ切実な声を率直にどのように受け止めておられますか。自分の言葉でお答えください。
【知事・答弁】府立大学の学舎整備についてでございます。学舎整備の検討にあたりましては、老朽化や耐震性の向上を図りますとともに、府立大学が府民に開かれた知の拠点となりますよう、最新の教育研究に対応していきますと共に、安心、安全な施設としていくために、京都府、京都府公立大学法人とも連携して取り組んできたところでございます。これまでから、老朽化した設備につきましては、冷暖房施設の修繕、トイレの様式化、バリアフリー化など、必要に応じまして修繕や改修などの対応をしており、学業や課外活動に支障が出ないよう安全管理に努めているところでございます。
また、耐震基準を満たさない既存施設への対応につきましては、特に耐震性が低いとされていた4号館については解体をし、第1体育館につきましては仮設対館を整備するなどの対策を行ってきたところでございます。学舎整備の検討におきましては、これからも学生からのご意見を丁寧に聞きながら検討を進めることとしており、委員からご紹介の学生アンケートでのご意見も参考にしながら、安心、安全な施設を目指して取り組んで参りたいと考えております。
【光永議員・再質問】学業にも課外活動にもこれまで影響がないように修繕してきたとおっしゃいましたけど、すでに今紹介したように影響が出ているし、これは、大学で勉強するということについて、新しい学生が全国から来るということにも大きな阻害要因になるという風に私は考えております。
それで、アンケートについては参考にしながらという話もありましたけれども、ぜひですね、学生の皆さんが近々申し入れされるということも側聞しておりますので、こうした機会も生かして、私は、知事が直接学生の皆さんにも会って、その声をしっかり聞く場を持つべきじゃないかと思うんですけど、その点、再質問させていただきます。
【知事・再答弁】光永委員の再質問にお答えをいたします。先ほども答弁いたしましたように、学生の声は非常に貴重でございますので、参考にすることは当然でございます。それを私自身がどういう形で受け止めていくかにつきましては、種々検討した上で対応してまいりたいと思っております。
【光永議員】参考にするなら、ぜひ直接、命のかかった非常に重要な問題ですので、直接ぜひ機会を持っていただきたいなという風に思います。
それで、北山エリア整備基本計画では、府立大学内のアリーナとして建設する予定だった学生用共同体育館が、令和6年、つまり昨年秋には共用開始予定だったと思います。また、令和4年3月に府立大学により策定された府立大学整備構想を踏まえて、4500万円予算かけて整備計画が作られました。ここには、学舎整備について、令和5年に全体の基本設計が終わり、令和6年に詳細設計、そして令和7年、つまり今年初めから建築工事の一期部分が始まるという予定でした。しかし、何1つその計画は進んでいるとは言えません。学部学科再編についても昨年4月に完了しておりまして、この計画によりますと、学部学科再編に対応できるフレキシブな施設整備をしたいとおっしゃってますので、施設を整備した後でも対応できるという風に考えております。にもかかわらず、整備のテンポも何1つも示されていません。それどころか、府立大学は以前にもキャンパス整備のスケジュール、計画、かつてありました。これも先延ばしをされたままということになっております。
そこで伺います。昨日、3月11日は、東日本大震災、福島第1原発事故から14年目となりました。また、南海トラフ地震が今年1月に発生確率80%へと引き上げられました。左京区では花折断層も通っておりまして、その中の下鴨キャンパスは最大震度7が想定をされております。今の校舎では倒壊する恐れがあります。校舎整備は当然急ぐべきですけれども、今いる大学生や教職員の命と安全をどう守るのか、その点について具体的に施設整備の対応どうされますでしょうか、お答えください。
【知事・答弁】府立大学の具体的な施設整備への対応についてでございます。施設整備への対応につきましては、老朽化、そして耐震性の課題に対して抜本的な解決を図りながら、学部学科の再編にも対応したものとなるよう検討を進めてきたところでございます。学部学科の再編では、精華キャンパスへの一部学科の移転も予定されており、キャンパスエリアが市街化区域に編入されたことも踏まえまして、上下水道などの必要なインフラ整備につきまして、大学法人とともに精華町などとの調整を行っているところでございます。引き続き、府立大学における学舎の耐震性能の向上や魅力あふれるキャンパス整備を実施できるように、京都府公立大学法人とも連携して検討を進めてまいりたいと考えております。
その答弁は何度も聞いた。いつから学舎整備取り組むか具体的に示せ
【光永議員・再質問】今の答弁は、私、何度も聞きました。もういつまでも同じ答弁ではほんと困るんですよね。
再質問したいと思いますけれども、先日、予算委員会で、学舎整備が進まない間、耐震化など大学としてどうお考えですかと、私から府立大学参考人の塚本学長に質問させていただいたところ、「1番いいのは耐震化すること。しかし、耐震化にはかなりお金がかかる。京都と相談したい」こうした苦渋の答弁をされました。法律上、公立大学法人が独自に資金等の調達が許されておりませんので、したがって、京都府が資金を準備しない限り、施設整備も耐震化も進まないことは明らかです。
一体いつから学舎整備に取り組むのか、また、それまでの間、耐震の対策を一体どうしていくのか。財源確保策も含め、具体的にこれをお答えいただきたいと思います。
【西脇知事・再答弁】光永委員の再質問にお答えいたします。まず、学舎整備につきましては、先ほども申し上げましたけれども、大学法人、それから精華町などとの調整を行っているところでございまして、学科再編も含めまして、魅力あるキャンパス整備ができるよう、また学舎の耐震性能が向上できますように検討を進めてまいりたいと思います。そのための一部の予算につきましても来年度でお願いしているところでございます。
また、喫緊の耐震性等につきましては、先ほどの質問でご答弁いたしましたけれども、逐次必要な改修、修繕を行いますとともに、非常に危険性の高い学舎につきましては解体するなどの対応を行っているところでございまして、いずれにいたしましても、学んでいる学生の安心、安全のために全力を尽くしてまいりたいと思っております。
【光永議員】これまで対応してきたとおっしゃいますけど、解体された4号館はありますけれども、それ以外何もされてないと。だから、IS値についても、これ全然、低いまま変わってないと。だから、倒壊する恐れだって地震が来ればあるという現実が今あるわけで、いつまでも検討、検討ということでは本当に命を守れないと、こういう事態になるかと思いますので、速やかに老朽校舎の改築を進めながらもですね、早く学生、教職員が新校舎に移りつつ同時並行で耐震化も合わせて行うなど、本当に抜本的な対策を取る必要があるし、その責任を京都府知事が果たしていただくように強く求めて、次の質問に移りたいと思います。
京都アリーナ(仮称)について府民への説明会の実施について
【光永議員】先日、アリーナ(仮称)の本体工事の契約議案がわが会派以外の賛成で可決しました。わが党議員団は、これまでまちづくりにとっても重要な影響を与えるだけに、昨年6月以来実施されていない府民への説明会を契約前に行うように繰り返し求めてまいりました。しかし、とにかく「契約してから」と姿勢は変わらないままでした。それでも、住民説明会は開くとおっしゃってきましたので、速やかに説明会を実施するのが当然だと思いますが、いつ行うのかお答えください。
【答弁・知事】京都アリーナ(仮称)についてでございます。京都アリーナにつきましては、これまで住民説明会を始め様々な機会におきまして、地域の皆様から京都のシンボルとなり夢や憧れの場となる施設として期待するお声をいただく一方で、大規模なプロジェクトであることから、交通渋滞や生活環境の悪化などへのご懸念やご不安の声も伺っているところでございます。
先の本会議におきまして、契約議案をご議決いただきましたので、今後これまで以上に丁寧にご説明を行い、ご意見を伺うことで地域の皆様のご懸念やご不安を解消し事業を進めていくことが重要だと考えており、次回の住民説明会につきましては可能な限り早期に開催したいと考えております。
【光永議員・再質問】説明会を可能なかぎり早くするということは一歩前進だと思いますけれども、ただですね、府立大学のアリーナ建設、私も運動にも論戦にも携わってまいりましたけども、これ詳細は決して明らかにされませんでしたけれど、少なくともですね、およその場所とか形とか高さ等が示されてまいりました。今回の京都アリーナ(仮称)については、住民の皆さんから「家の前に20mの高さもアリーナが立つんだろうか」という不安の声がたくさん出されてまいりました。向日市民の声にたいしては、先日の契約議案の説明資料で初めて建設の場所などの図が出されました。
そこで再質問しますけれども、なぜ今回は必要な資料を契約までまともに出さずにスタジアムの契約をしてからしか説明会を開くとしなかったのか、その理由について明らかにしてください。
【再答弁・知事】全体の概要なく議決をということでございましたけれども、そのタイミングにつきましては、たまたま実務的また事務的に内容を詰めている過程の中で契約に至るに必要なことについては整ったということで、議会の方にご提案させていただいたということでございますので、これからも徐々に内容が詰まってまいりますので、そのそれぞれの段階で最大限の情報を提供することによって、住民説明会を始め地元の皆様のご理解を受けるようにしていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
【光永議員・再質問】今回は競輪場の整備もあります。アリーナの整備もあります。ただ、競輪の場所があのままになるのか、変わるのか、どっち向くのか。それによってもアリーナの場所も変わります。それらについて一体どうなるのかっていうことが、地元の方は大変不安だったんです。
もちろん、道路拡幅問題も切実だったというふうに思いますから、できるだけ早くですね契約の前にしっかりと住民合意してその声も受け止めて、具体化していくという姿勢が私は必要だったんじゃないかと思います。
そこで、本議会で令和10年完成をなぜ急ぐんですかと、そして建設ありきではないかと質問をしたところ、理事者からは「令和11年に競輪場を含む全体が竣工するから」と、これ全く説明にならない答弁がありました。しかし2026年の秋に始まるプロバスケットボールチームのBリーグプレミアム参入条件がアリーナにありまして、すでに決定をしているということになっております。
結局、府民の多額の税金を投入するのに、市民や府民の声にはまともに向き合わないで、リーグ参入の最優先で進めるから府民不在で契約を急ぐことになるんじゃないかというふうに思います。この点については指摘させていただきたいと思います。
事業費の積算根拠と維持管理費の確保について
【光永議員】今回の京都アリーナの建設に全体348億円かかります。そのうち先日の本体建設の契約は288億円の契約議案でした。その他60億円については、付帯施設のリース代金でまた管理運営を担う特定目的会社SPCについては、10年間は府からの負担はないという説明でした。
そこで、京都府が取得する躯体本体288億円や京都府がリース代を払う60億円、これ限度額ですけれども、稼働椅子やオーロラビジョン、VIP対応ができるスイートラウンジなど、私がどこまでの範囲か説明を受けていませんから、だれもわかりませんけれども、それぞれ積算根拠をこの場で明らかにしていただきたいと思います。そして特定目的会社が管理運営をするアリーナの維持管理費は今後10年で14億5000万円が見込まれております。そして、10年間は府の負担がないと説明がされておりますけれども、そこで、特的目的会社がどうやって14億5000万円も確保していくのか、確保できなかったらどうするのか、お答えいただきたいと思います。
【答弁・西脇知事】アリーナ事業費の積算根拠についてでございます。建設本体の整備費は設計業務として設計費・ボーリングや電波障害などの調査費、建築確認などの各種申請費など13億円、また建設業務として躯体工事費、内外部仕上げ工事費、衛生消化工事費、外溝整備費などの諸経費で269億円、この他、工事管理費なども含めまして合計288億円となるものでございます。設備リースにつきましては、空調設備、映像音響設備、舞台照明、発電設備なども含めまして約60億円を上限として契約に向け、調整を進めることとしております。
今後、設計業務が進む中で詳細につきましては、府議会にお示しをして参りたいと考えております。
アリーナの維持管理運営費につきましては、公共事業として運営した場合の府の負担となる「収支差」を10年間で14.5億円と試算しておりましたが、事業者グループの提案は運営開始当初の10年間は府の負担が生じないとの内容です。「収支差」を解消するための方策としては、施設の規模、使用の拡充による多目的利用や民間自由度の高い施設運営によって、累次施設よりも高い稼働率を確保するとともに、利用料金収入以外にもネーミングライツなどにより収入を最大化する計画になっています。想定した稼働率を下回るなど事業収支が赤字になった場合でも、府が赤字補填を行うのではなく、事業者グループによって責任を持って運営することとしております。今後とも、ご期待やご不安など府民の皆さまのお声を真摯に受け止め、すべての方に喜んでいただける施設として整備運営してまいりたいと考えております。
【光永議員・再質問】今初めて、リース代の内訳が大まかに出ましたけれども詳細数字が全く分かりません。1つ1つどれくらいかかるのかについては、後日資料としていただけたらと思います。
そこで再質問させていただきますけれども、今後、躯体本体の大規模改修だとかリースしている部分の故障とか更新、さらに10年後のSPCの運営についてさらにその負担が増えることは充分想定されると思います。
そこで伺いますけれども、先ほど質問しました、府立大学の施設整備については大学が決めた計画があるけれども「検討する」と言いながら、一方でアリーナについては莫大なお金かかりますけれども、令和10年までに何が何でも完成させると。これどう考えても物事に順番であると思うんですね。どう考えても私は府民の大事な税金をどう使うのかについて説明がつかないと思うんですけど、その点いかがでしょうか。
【知事・再答弁】府立大学も(仮称)京都アリーナもそれぞれが教育の機会の均等とかあとはスポーツ振興を通じたまちづくりということで重要な府の施策の考えておりますので、そこにおいて軽重の差はございませんが、それぞれの置かれている状況、整備の手法につきまして、最も最適な方法を模索しながらできる限り府民負担の軽減に努めて事業の推進を図るその中での現在の進捗状況だとご理解いただければありがたいです。
【光永議員・再質問】いや、今のご答弁は理解できないですね。なぜこのアリーナだけ先に急ぐことについては、まともな説明がされないままで、新聞報道などでBリーグが参加すると。だから市民そっちのけでどんどんの契約が進むと。大学などについては検討がずっと同じ答弁が続いてくる。全く説明できないと私は思います。
そこで、今年1月時点で全国でスタジアムアリーナの新設・建て替え構想があって、スタジアムは34、アリーナ45、そして近畿だけで9個アリーナあります。
またその府の財政負担も膨れ上がるというのは先ほど述べた通りで全額府負担で実施するのかどうかも私は検討が本来必要じゃないかというふうに考えています。
府立大学や府立医大病院の整備が先ほどから述べています通り先延ばしになってると。本当にこれでいいのかということは問われていると思うんですね。私、物事には順序があると思いますし、京都アリーナ(仮称)に巨費を投じて令和10年までに急いでやる事業なのかと、こういう事業を今一路進めるのかどうか含めてですね、よくまちづくりの観点からもよく論議していただいて、進めるべきは府立大学や府立医大の改修が急がれると私は思いますので、そのことを指摘して質問終わります。