日本共産党京都府会議員団は、開催が目前に迫った「大阪・関西万博」の会場で、爆発しうる濃度のメタンガスが検知された上に、博覧会協会が適切な対応を行なわなかった問題を受けて、昨年5月24日に続き、改めて府内の小中高校生を万博に動員する「体験支援事業」の中止を求める緊急の申し入れを行いました。
申し入れは、浜田よしゆき副団長、みつなが敦彦幹事長、さこ祐仁議員、ばばこうへい議員、成宮まり子議員、水谷修議員、田中ふじこ議員が行ないました。京都府からは、総合政策環境部副部長、同万博・地域交流課長、京都府教育委員会総務企画課長が対応しました。
申し入れに対して、京都府からは「メタンガス検知については報道で承知している。検査頻度を上げるなどの対応がHPで周知されている」「参加は学校の判断。安全対策の情報提供は行っていきたい」「校外学習はどこでもいつでもリスクはある。リスクを最小にして判断するのが基本的なスタンス」などと答えました。議員団から「(支援事業で)参加を促しながら、判断は学校というのはあまりに無責任だ」として、改めて支援事業の中止を求めました。
また、学校の参加状況については、4月2日時点で、京都市を含む府内691校中*、183校(小学校109校、中学校41校、高等学校26校、特別支援学校5校、その他2校)が参加の仮予約を済ませており、児童・生徒数では3万9千人に上ることが明らかになりました。また、学校行事を決めているが仮予約をしていない可能性はあり、参加予定の全体は把握していないとのことでした。なお、京都府は仮予約をしている学校でも取りやめることは今からでも可能であるとしています。
(*万博・地域交流課より、訂正の連絡がありました。4/12記)
YouTubeつながるチャンネル
申し入れ全文は以下の通りです。
2025年4月10日
京都府知事 西脇 隆俊 殿
京都府教育長 前川 明範 殿
日本共産党京都府会議員団
団 長 島 田 敬 子
「子どもの大阪・関西万博体験支援事業」の中止を求める緊急申し入れ
私たちがこれまでに指摘してきた大阪・関西万博会場の危険性が、開催直前の「テストラン」において現実のものとして顕在化している。4月6日、万博会場内の東トイレすぐ外に位置するマンホールから、爆発しうる濃度である100%LEL、すなわち5vol%を超えるメタンガスが検知された。この高濃度のメタンガスは、現場を訪れていた日本共産党の寺本健太守口市会議員が自ら持参したガス検知器により検知され、119番通報によって明らかとなり万博協会も公式に認めている。
寺本議員によれば、当初、万博スタッフにこの事実を伝えたにもかかわらず、立ち入りの規制や避難誘導などは行われなかった。そのため、やむなく119番通報を行ったところ、大阪市消防局は本来であれば緊急出動すべき事案であるにもかかわらず、サイレンを鳴らさない業務出動を実施した。こうした対応から、万博協会や大阪市が事実の矮小化を図ろうとしたのではないかという疑念がある。
高濃度のメタンガスが検知されたという重大な事実に加え、大阪市および万博協会のこのような対応も含め、万博会場の安全性に対する重大な不安を抱かざるを得ない状況である。メタンガスに関しては、昨年3月28日に夢洲1区で大規模な爆発事故が発生して以降、万博協会は30億円以上をかけて対策を講じてきたにも関わらず、今回の事態が起こり、その後の対策も点検の回数や地点を増やすというだけであり、これでは到底参加者の安全を保障する事はできない。
また、「テストラン」では、他にも様々な問題が起こった。4月4日にブラジルパビリオンでは火災が発生した。入場ゲートでの混雑では1時間半から2時間待たされる事態が発生し、木造リングの上には屋根もベンチも設置されておらず、夏場における熱中症の危険性も改めて指摘されている。子どもたちが昼食をとる場所となる団体休憩所は、屋根があるだけで壁は無く、これで暑さや強い雨をしのげるのかという心配がある。
京都府は「京都府子どもの大阪・関西万博体験支援事業」において、学校行事としての万博参加を呼びかけているが、安全確保の責任は参加する各学校にあるとしている。危険性は明らかであるにも関わらず、下見すらままならない状況で学校現場や保護者から不安の声が出ており、学校現場や子どもたちに責任とリスクを押し付け、このまま万博体験支援事業を強行することは許されない。
開催が目前に迫った「大阪・関西万博」であるが、何よりも大切なのは命である。私たちは、あくまで夢洲での開催中止を強く求めているが、少なくとも開催直前に至っても安全性に関する疑念が払拭できない大阪・関西万博に子どもたちを参加させる「京都府子どもの大阪・関西万博体験支援事業」は、直ちに中止するよう京都府に強く求めるものである。
以上