京都府議会は3月7日、5日に提案された追加議案に対する討論・採決が行われました。日本共産党京都府会議員団は、水谷修議員【宇治市・久御山町】が討論に立ち、第75号議案「京都アリーナ(仮称)整備等事業契約締結の件」に対する反対討論を行いましたが、わが党以外の賛成多数で可決されました。討論全文は以下の通りです。
京都アリーナ(仮称)整備等事業契約締結に対する反対討論
日本共産党の水谷修です。会派を代表し、ただいま議題となりました34議案のうち第75号議案「京都アリーナ(仮称)整備等事業契約締結の件」について反対討論を行います。
本件は、京都アリーナの設計、施工、維持管理、運営の債務負担行為額348億円のうち、後年度に契約する設備リース契約、「運営SPC」の運営・維持管理にかかる契約を除いた288億円の議案です。
付託前質疑に対し、知事は「令和10年秋の開業に向けまして、事業者において早期に設計に着手する必要」があると急いだ理由を述べました。事業着工までに住民の意見を反映したり、事業効果の評価手順を省略する理由には全くなりません。
本契約に反対する第1の理由は、計画段階で住民説明会を開き、住民の声が反映された計画になっていないことです。知事は「向日町競輪場基本構想」の段階から説明会は「合計6回開催した」と答弁しましたが、アリーナおよび周辺環境にかかる説明でないにもかかわらず、「やった」とすり替えるもので大問題です。また知事は、適切な時期に説明会を行うと述べましたが、適切な時期は、発注前の今であり、住民のご意見を聞いて環境整備を含めた計画を作るべきであることは明らかです。
第2の理由は、周辺道路整備など周辺整備・環境対策を明らかにしないままでの契約だからです。慢性的な交通渋滞や歩道が狭く、事故は日常茶飯事であり登校中の子どもにとっても危険な物集女街道の拡幅工事が開業までに間に合わず、また、最寄り駅の阪急東向日駅から予定地に続く府道向日町停車場線について、歩道拡幅が必要であるのに、その計画も示されていません。
第3の理由は、公共事業事前評価を行わず、契約を結ぼうとしているからです。「京都府公共事業事前評価システム」とは、府が実施する公共事業のうち、新たに事業費の予算化要望を行おうとするもの等について事前評価を行うことにより、公共事業の効率性及び実施過程の透明性の一層の向上を図ることを目的としたものです。検証する事項は(1) 事業の目的 (2) 事業を巡る社会経済情勢等(事業の必要性)(3) 費用対効果分析(事業の有効性)(4) コスト縮減や代替案立案等の可能性等(事業の効率性)(5) 良好な環境の形成及び保全」であり、10億円以上の府の事業です。知事は「スポーツ施設の在り方懇話会や向日町競輪場外部有識者会議 」でやったと弁解しますが、府が定めた事前評価事項について評価をしていないことは明確であり見当違いです。
京都スタジアム建設の時でも、事前の事業評価システムにより、アユモドキなど自然共生や建設位置についての事業補正が行われました。
結局、アリーナを成長産業、ビジネスモデルと位置付け、集客力優先の事業とする全国アリーナ構想のもとで、とにかくアリーナを作るというものBリーグの日程ありきの令和10年開業だと言わなければなりません。
建設の目当ても目的も、府民生活や府民スポーツや健康に着目したものでなく、住環境の悪化を防ぐ具体的対策もないものであり、将来の運営コストやその財源も不明確なものです。総額348億円の事業費以上かも知れない事業費について、財源捻出も明確でなく、府民福祉の事業に影響を与えかねない大型事業です。よって反対するものです。以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。