日本共産党京都府会議員団は、6月30日に閉会した、京都府議会6月定例会について、団長談話を発表しました。全文を以下紹介します。
2025年6月定例府議会を終えて
2025年7月2日
日本共産党京都府会議員団
団長 島田けい子
6月11日に開会した6月定例府議会が6月30日に閉会した。
今定例会は、物価高、コメ価格高騰への無策ぶりや、アメリカトランプ政権による関税問題とイランへの核施設への空爆などに対する、石破政権の追随ぶりが、国会審議等を通じ、国民的に明らかになり、「参議院で自公政権過半数割れ」を望む声が多数となる中で開かれた。
わが党議員団は、府民の暮らしや営業等の実態に寄り添い、質問等で取り上げるとともに、自民党政治の行き詰まりを告発し、その転換を求めて積極的に論戦した。
1,本定例会には、当初提案議案に加え、国の重点支援交付金を活用した追加補正予算や人事案件も含む議案18件が提案された。わが党は、第4号議案「府税条例の一部改正の件」について反対し、他の議案は人事案件も含め賛成した。
第4号議案「京都府府税条例一部改正の件」は、地方税法等の一部改正に伴う所要の改正を行うものであるが、そのうち軽油引取税にかかる規定の改正には重大な問題が含まれており反対した。
その内容は、「締結国の軍隊」の軽油引取税の免除適用について、二国間の部隊間円滑化協定を締結するたび地方税法改正をしなくても適用できるようにするもので、府税条例を連動させるものである。
この間、2023年6月に日豪円滑化協定に基づきオーストラリア国軍と自衛隊の共同演習などの際に輸入される軽油などへの課税が免除できるよう改定し、その後フィリピン、英国と協定を結び対象国を拡大してきた。今後もさらなる拡大が想定され、これは武力行使を前提とした訓練や演習の拡大・強化を税制面から支えることになり、憲法9条に反し認められない。
なお第1号議案 令和7年度京都府一般会計補正予算(第1号)については賛成したが、そのうち「医療機関等経営改善支援事業費」10億700万円のうち、病床1床削減あたり約410万円を支給する「病床適正化支援事業」5億7000万円が含まれており、この部分には反対した。
今、国の医療費抑制政策によって病院の6割が赤字経営など経営危機に追い込まれており、病院6団体が「このままでは、ある日突然、病院がなくなる」と訴えるなど深刻な危機に直面している。全国では、「病床適正化支援事業」に5万4000床もの活用申請があり、そのうち京都府は2047床の申請があり、第一次内示分139床に加え、第二次内示分152床が交付されることが厚生労働省より示された。西脇知事は「すでに休止中のベッド、もしくは稼働率の観点から休止予定のベッドであるから、地域医療への影響は生じるものではない」と答弁したが、今後、公的・公立病院も含む病床削減が加速する懸念があり重大である。
そもそも、コロナの総括もまともにされず、さらに自民・公明・日本維新の会が「医療費4兆円削減」を合意し、その第一歩として「11万床の病床削減」計画を打ち出すなど言語道断である。
また「令和7年度京都府一般会計補正予算(第3号)」は、国の予備費を活用した重点支援交付金の増額措置10億2000万を活用したものだが、府民の暮らしの実態に比べ規模が小さい上に、そのうち4億8,000万円程度しか対応できておらず、本格的な経済対策の補正予案の編成を強く求めた。
2,自民党・西田昌司参議院議員がひめゆり部隊や沖縄戦の真実を否定する発言に怒りの声が広がり、沖縄県議会は5月16日に、「戦没者や戦争体験者を冒涜し、県民の尊厳を踏みにじる発言で、満身の怒りをもって抗議する」との西田氏に謝罪・撤回を求める決議を採択し、自民党本部と西田参議院議員に申し入れされたが、西田氏は面会すらしなかった。このため、わが党議員団は5月臨時議会で、沖縄に寄り添い連帯する意思を示すよう京都府議会として決議をあげるよう求めた。6月議会でも同様に求めた。
そもそも第二次世界大戦において、沖縄は国内唯一の地上戦を経験し、捨て石とされた結果、県民4人に1人が犠牲となり、筆舌に尽くし難い苦難と損害をうけたことは数々の証言、政府見解などを通じ明らかな歴史の事実である。
また、沖縄戦においては沖縄県民とともに京都出身者の多くも犠牲になり、戦後、沖縄の本土復帰運動の呼びかけや、嘉数高台に京都の塔を建立するなど、京都の多くの方々が沖縄と京都を結ぶ友好の絆を深めてこられた歴史がある。そのため、戦後80年の夏を迎える節目の京都府議会において、沖縄県議会に連帯し、沖縄県民の心情に寄り添い、沖縄戦の歴史に真摯に向き合うことは極めて意義のあることである。しかし、わが党の提案に、他の会派すべてが背を向けたことは、恥ずかしい限りである。
3,代表質問では、行き詰まる自民党政治のもと、暮らしと営業等の深刻な実態を踏まえ、異常な物価高騰から府民の暮らしを守るため、①消費税廃止をめざし、緊急に5%に引き下げ、インボイスは廃止をすること、②中小企業の賃上げを支援し、最低賃金をすみやかに時給1,500円に引き上げ、1,700円をめざすこと、③物価高騰による医療・介護の経営危機・提供基盤の崩壊を食い止め、ケア労働者の賃上げを図る緊急措置を行なうこと、の緊急提案を行うとともに、コメ高騰に対する増産対策、府立高校再編計画、大学生の経済的負担の軽減、「敵基地攻撃能力」保有の京都での大軍拡計画、日本政府が核兵器禁止条約の参加を求める署名への賛同、原発稼働停止など、国政治の出先機関となっている府政の転換を求め、知事に迫った。
しかし、西脇知事は、中小企業直接支援と賃上げについて「経営基盤の強化など、体力をつけていただく支援が必要」など、あらゆる問題で国方針を超えた支援策を行う姿勢を示さなかった。
一般質問で取り上げた「京都アリーナ(仮称)」でも、住民説明会で多くの市民等が参加し、府は質問にまともに応えなかったが、本会議でも同様の姿勢を示した。
4,北陸新幹線延伸計画をめぐって、いよいよ計画の中止しかないことが浮き彫りとなった。本会議で自民党府議が「小浜-京都ルートは、「千年の愚行」と言われるように、何百年たっても実現しません。長い京都の歴史や文化の価値を科学的に説明することなどできないからです。」と指摘し、「小浜から舞鶴、綾部、福知山、園部、亀岡など、京都府北中部のどこかに駅をつくって大阪に至るルートを求めるべき」と求めた。しかし京都府は「平成29年3月、現在の小浜-京都ルートに決定されたもの」として全くとりあわず、国の方針に忠実な姿勢を示した。
このため、最終本会議では、自民党は舞鶴ルートを求められず、自民・公明・府民クラブ3会派が「早期の事業推進」を求める「北陸新幹線延伸計画に係る国等の適切な対応を求める決議」案を提案することとなった。また、維新・国民会派からは「北陸新幹線の京都市内大深度トンネルルートへの反対と着工5条件を満たす別ルートを検討することを求める決議」案を提案した。しかし、滋賀県知事は、県内を通過する新幹線を拒否しており、その実現性は極めて乏しいものである。結局、わが党議員団が求めてきた、北陸新幹線延伸計画そのものの中止と特急サンダーバードや在来線の充実を図ることが一番現実的である。
5,本議会には、「京都府議会が沖縄戦の歴史に真摯に向き合うことを求めることに関する請願」36件と陳情、「北陸新幹線京都延伸計画住民説明会開催への督促を求めることに関する請願」、「北陸新幹線延伸京都市内大深度トンネルルートの反対決議を求めることに関する請願」2件、「『適格請求書等保存方式(インボイス制度)の廃止を求める意見書』を政府に送付することに関する請願」、「核兵器禁止条約への日本政府の参加を求める意見書採択を求めることに関する請願」、「医療・介護労働者の持続的賃金改善を国に求めることに関する請願」が府民から寄せられた。わが党は採択に全力をあげたが、他党がすべて反対し否決した。維新・国民会派も含め、反共で一致する時代遅れの古いオール与党ぶりは、切実な府民の願いに背をむける姿勢であり、わが党議員団と府民との共同の力で打ち破る必要がある。
6,請願にもとづき、「沖縄戦の歴史に真摯に向きあうことを求める決議」案、「核兵器禁止条約に署名・批准を求める意見書」案、「消費税緊急5%減税とインボイス制度の廃止を求める意見書」案、「医療・介護労働者の持続的賃上げと財政支援等を求める意見書」案、「大阪・関西万博への学校行事としての子どもの動員中止を求める決議」案など提案したが、他会派がすべて反対し否決した。
一方、「米価の適正化及び米の安定供給を求める意見書」案に、「安定的な米の生産にむけ農政の転換」を求めたものが全会一致で可決したことは重要であった。
いよいよ7月3日に参議院選挙が公示日を迎える。衆議院選挙に続き、参議院でも自公を過半数割れに追い込むとともに、自民党政治の歪みをただすため、わが党議員団は、比例で5人全員当選、京都選挙区で倉林明子参議院議員の3選を目指すため全力をあげるものである。
以上