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2025年10月03日

2025年9月定例会│意見書・決議案討論【成宮まり子議員】

9月議会には、日本共産党議員団提案の4本の意見書案と1本の決議案を含め、8本の意見書案・決議案が提案されました。10月1日の本会議で議員団を代表して成宮まり子議員(京都市西京区)が討論に立ちました。

全文をご紹介します。

成宮議員 意見書・決義討論

 

日本共産党議員団の成宮まり子です。会派を代表し、ただいま議題となっています意見書7件、決議1件について、全てに賛成の立場で討論します。

 

まず、わが会派提案の意見書・決議についてです。

「生活保護基準引き下げの謝罪と被害回復・再発防止策の確立等を求める意見書」です。

6月27日、最高裁は、2013年から3回に分けて行われた平均6.5%、最大10%、年間削減額670億円という史上最大の生活保護費引き下げについて、違法性を認め減額処分を取り消す判決を言い渡しました。

国の生活保護行政が、憲法13条「個人の尊厳」、憲法25条「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を侵害し続けたことを厳しく断罪した、画期的な判決です。

しかし、それから3カ月、敗訴した厚労省は、「最高裁判決への対応に関する専門委員会」を一方的に設置するなど不誠実な態度でいまだに謝罪すらしていません。専門委員会の設置は、全国31もの訴訟を無かったことであるかのように、三権分立を揺るがす前代未聞のことでゆるされません。

8月29日、専門委員会の第2回会合では、原告と弁護団が意見を述べ、ある原告は「つらく長かった。12年間、最低生活を下回るぎりぎりの生活で、食事は1日1回、冬場の入浴は月2回のシャワーだけです」と。別の原告は「人付き合いを削って、社会的孤立を深めてきた。物価高でエアコンの電気代、食費を切り詰めている。私たちの生存権、人権が侵害された状態が続いていることを理解してほしい」と訴えられました。原告代理人の尾藤廣喜弁護士は「最高裁判決後の国の対応は全く不誠実であり、行政としてはもとより人間として許されない」と批判されました。

今夏の猛暑のなか、エアコンが設置できずに原告の方が判決後に亡くなるなど、原告の2割を超える方が亡くなっているのです。まさに、命がかかっており、最高裁判決にもとづく真摯な謝罪と被害回復、再発防止へ、国が責任を果たすよう強く求めます。

同時に、生活保護制度が国民の生存権を守るためには、保護基準引き下げを回復するだけでなく、物価高騰に見合った水準に引き上げること、保護申請の門前払いや扶養照会、自動車やわずかな預貯金を理由に保護利用を拒む運用などを改めること、必要なすべての人が、国籍を問わず、利用できる制度にすることなどが必要です。

 

次に、「賃上げと中小企業等への直接支援策の実施を求める意見書」および、「賃上げと中小企業等への直接支援策の実施を求める決議」についてです。

今年の中央最低賃金審議会の示した目安は、全国加重平均で1118円となり、これはドイツやイギリス、フランスなどの2分の1程度という低い水準です。

京都総評が、京都の若者が自立し人間らしく生活するために最低必要な生計費の再調査を行い、コロナ禍や物価高騰も踏まえると、単身労働者が京都市内で普通に生活するには「時給1900円以上が必要」「2020年代中に時給1500円達成」という政府目標では遅すぎると報告されています。

一方、京都地方最低賃金審議会では、使用者側からは原材料高騰のもと、最低賃金の大幅引き上げに対して、必要だけれども経営悪化・倒産などへの懸念が出され、議論と合意は相当に難航し、実施日が11月21日に先送りされた一因となったとお聞きします。

これらを受け、審議会答申では、昨年に続き、中小企業が賃上げできる環境の整備が必要であり、税や社会保険料の負担軽減などの直接支援を求める内容が書き込まれました。「地域間格差による労働力の流出の防止」も書かれており、全国一律の最低賃金制度の実施が求められます。

答申にあるように、中小企業への直接支援の実施など「最低賃金に関わる事業者を一者たりとも、とりこぼさない」役割を政府が果たすよう、つよく求めます。

また、決議案では、京都府として他県の例にならい役割を発揮することを求めています。

今年度、岩手県では賃上げをおこなった中小企業に、1人当たり最大6万円、1企業当たり300万円までを支援し、群馬県、茨城県でも同様な支援策があります。山形県では女性の非正規雇用対象に1人当たり5万円を直接支援しています。

政府は、「骨太の方針」で中小企業支援を明記したものの、具体化されないまま最賃引き上げが迫るなかで、中小企業への支援策を本府として速やかに具体化すべきです。

 

次に、「食料自給率を引上げ、コメの減産から増産への抜本的な政策転換を求める意見書」についてです。

猛暑と渇水などによる農業被害について、わが党議員団は8月22日、岩渕友参院議員、農民運動全国連合会とともに農水省に要請を行いました。高温と渇水被害は今後も予想され、これまでから深刻な危機におかれてきた農業と農家、地域の存続へ国と本府の役割が求められています。

 今年の新米が出て来ましたが、大幅な価格高騰が「コメが買えない」「これからどうなるのか」と多くの府民に不安を広げています。農家のところでは、猛暑と渇水の影響で集荷量が減り、等級も下がっている」など、さまざまな矛盾が噴出する事態となっています。

政府は8月5日になってやっと需要に対する生産量不足を認め、増産方針を打ち出しましたが、具体策は、「農地の集約・大規模化」「スマート農業」など、今までと変わらず、これでは農家が希望をもって続けられる支援とは言えません。

加えて、「トランプ関税」による日本農業への影響が心配されます。政府が「コメ増産」を掲げても、コメをはじめ農産物の輸入拡大をすれば、日本農業は衰退してしまいます。アメリカ言いなりの輸入拡大を改め、食料自給率の引き上げ目標を持ち、主食であるコメの生産体制、備蓄体制の強化、緊急の支援策とともに、コメの需給と価格安定に責任を持つことこそ必要です。

 

次に、「北陸新幹線延伸計画の中止を求める意見書」についてです。

 北陸新幹線延伸が一大争点となった7月の参議院選挙では、現行計画の見直しや中止が、府民多数の声であることがはっきりと示されました。

 本議会に、「北陸新幹線延伸計画の環境アセスメントの一旦停止を求める会」から、「北陸新幹線延伸計画(京都市内の大深度地下の巨大トンネル計画)に反対する決議」を要請する請願も寄せられています。

そうした下で、9月29日、日本維新の会顧問・京都維新の会の前原代表は、「米原ルート」は「実現が難しい感触だ」と述べたと報じられました。維新の会は、参院選・京都選挙区で「米原ルートを視野に入れた現行計画の見直し」を訴えて当選したのに、わずか2か月で「米原ルート」は実現できないと自ら取り下げる宣言だと批判されても仕方のないものです。

こうしたことからも、北陸新幹線は延伸計画そのものの中止こそ、府民の声に応えるものです。

以上の提案に、賛同を求めます。

 

最後に、3会派提案の「私学助成の充実強化に関する意見書」、「公立高等学校の教育環境の充実等に関する意見書」、および維新提案の「公立高等学校における魅力向上のための教育・学習環境整備への支援を求める意見書」について、賛成するものですが一言申し上げます。

京都では「子どもと教育・文化を守る府民会議」が、毎年、無償化や教育環境・条件整備を求め、秋の請願署名運動を長年にわたり積み重ねてこられました。ねばり強い運動と世論の力が自治体や国を動かし、教育条件整備や無償化などさまざまな課題で前進をきりひらいてきました。党議員団は、この運動に寄り添い、議会ごとに要求を届けて論戦をかさねてきました。

「高校無償化」については、公私を問わず高校は准義務教育であり、早期の無償化、教科書や授業に必要なタブレット、制服、通学費等の無償化も必要です。

私学については、私学助成を経常費2分の1の実現、校舎や耐震など含め、公的助成の拡充が必要です。

府立高校については、大阪のような府立高校統廃合はすべきでありません。少子化などを口実に「府立高校の在り方検討」として、小規模校の統廃合を推し進めることはあってはなりません。また、「特色化」などの言葉で学校間格差を広げ、受験競争を激化させるのではなく、ICT・タブレットの無償化や、環境整備では、トイレ様式化とともに、特に体育館のエアコン設置が国補助もないため遅れており、早急に対策を求めます。

加えて、「高校無償化」という大切な課題が、自民・公明・維新により「国民医療費4兆円削減」と一体で合意されたことは大問題であることは、指摘しておくものです。

以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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