ご意見・お問い合わせ

議員紹介

  • 光永 敦彦
  • 島田 敬子
  • 迫 祐仁
  • 浜田 良之
  • 成宮 真理子
  • 馬場 紘平
  • 水谷 修
  • 森 吉治
  • 田中 富士子

全記事一覧

2025年10月31日

2025年9月定例会|決算関連議案討論【水谷修議員】

2025年9月定例府議会の閉会本会議が開かれ、決算関連6議案の討論・採決が行われました。党府議団からは、水谷修議員【宇治市・久御山町】が討論しましたので、以下、全文を紹介します。


 日本共産党の水谷修です。議員団を代表し、第12号議案令和6年度京都府一般会計及び特別会計歳入歳出決算を認定に付する件、第14号議案令和6年度京都府水道事業会計決算を認定に付する件、および、第17号議案令和6年度京都府流域下水道事業会計決算を認定に付する件の3件に反対し、他の議案に賛成する立場から討論を行います。

 反対の第1の理由は、物価高で府民や中小企業が苦しみ、医療・介護制度の後退で厳しいもと、京都府の施策が命と暮らしを守るものになっていなかったからです。

 物価高、低賃金の一方で、一握りの富裕層や輸出大企業が空前の利益を上げています。府税決算書を見ると、個人府民税は27億円増額となっていますが、そのうち所得割が約30億円の減額の一方、配当割が20億円、株式譲渡割が30億円の増額となっており、京都府内でも格差が広がっています。

 こうした時に、暮らしと営業を守る役割を発揮すべきです。しかし、国民健康保険の各自治体からの納付金を過去最高の上げ幅である7.6%も上げたことで、各自治体の国保料大幅値上げがもたらされました。

 コロナ禍の教訓から医療体制拡充が必要であったのに体制充実へ支援をせず、ベッド削減へ道をつけ、本年、病床適正化支援事業による291床の削減が予算化されました。

 介護現場でも、国の介護報酬改定の影響で、訪問介護事業所の倒産が相次ぎ、京都府内でも事業所がゼロという自治体が1自治体、1・2カ所しかない自治体が6自治体もある状況です。国に報酬引き上げを求めることや、事業者への物価高、人材確保の支援拡充が求められます。

 第2の理由は、子育て支援について経済的負担軽減が施策の柱になっていないことなど極めて不十分だったからであります。

 府が行った対策は風土作りやイベントばかりで、その結果、合計特殊出生率は1.05と、「子育て環境日本一」の掛け声とは真逆の、全国ワースト5位と大きく落ち込みました。

 高校生までの医療費助成に踏み出す都道府県は「福祉医療制度のあり方に関する意見聴取会議」の資料によれば、令和6年4月時点で、13府県に広がりましたが、知事はいまだに決断しようとしません。この京都で実施を拒んでいるのは京都市と京都府だけです。

 学校給食無償化は長年の国民の声と運動によって、いよいよ国が無償化について具体化の検討を始め、青森県は、県内の小中学校へ無償化支援を行い、全自治体が無償化しました。しかし、京都府は「給食は市町村」が行うものなどと市町村への無償化支援を拒み続けています。

 また、府立学校の通学費の助成拡充が遅れ、保護者の負担が重たくて困っています。

 府立学校・支援学校の空調整備、老朽化対策や耐震化、トイレの洋式化が遅れに遅れています。

 

 第3の理由は、物価高、人手不足、低賃金から、中小企業・農林業、働く人たちを守り、振興することが振興の柱になっておらず、スタートアップ、フードテックなど一部の成長産業への公金投入が中心となっているからです。

 賃上げする中小企業への直接支援は喫緊の課題であり、知事は「即効的な効果がある」と認めてきましたが、「賃上げができる環境づくりに取り組む」として、直接支援に背を向け続けています。一方で、産業政策の中心は、「産業創造リーディングゾーン」や「スタートアップ」企業支援、フードテックなどの成長産業への支援に偏っています。

 職業訓練や相談などの重要な役割を果たしてきた城南・中丹・丹後の勤労者福祉会館について、存続を求める436件の請願と、1791筆の署名に込められた利用者の声を踏み躙り、「役割を終えた」と廃止を強行しました。

 知的障害者を対象にした全寮制での技能訓練と生活訓練の役割を果たしてきた府立高等技術専門校を廃止しました。

 また、府営の33施設および3都市公園の使用料について、「受益者負担の適正化」として令和7年度からの一斉値上げを強行しました。公共料金を受益者負担とすること自体大きな間違いです。

 国の農業施策の柱である、大規模農業、大型機械化を進め、小規模農地・中山間地が多い京都農業の実態にそぐわない100ヘクタール農場づくりを推し進めましたが、目標だった府内10組織は、6組織にとどまる見込みです。小規模、家族農業を支え、多面的機能に対する支援を強化するとともに、コメ増産にむけて、価格保障・所得補償を国に強く求めることが大切です。また、ツキノワグマの目撃情報と被害が全国でも京都でも増え広がっています。里と奥山の区別を明確にする整備を早期に公共が実施することなど対策を急ぐことを求めます。

 

 第4の理由は、大阪・関西万博事業、学研都市開発、新名神未来都市などの大型開発中心の街づくりが進められて、住民が置き去りにされているからです。

 大阪万博に職員を職務で何人動員したのかも、総額いくらの万博事業費を使ったかも掴めないという状態で、前のめりに推進しました。

 大阪万博の舟運事業について、京都〜大阪間の就航に必要な淀川大堰閘門(おおぜきこうもん)の改修事業は190億円。航路確保のための川の浚渫や船着場・護岸整備について決算委員会で問うと、6年度事業費4億6300万円で、その府の直轄負担金が2億400万円との答弁でした。しかしながら、京都から万博に参加のための就航はございませんでした。

 また、府内の全ての小学校、中学校、高校、支援学校の児童・生徒約25万人を対象に1人1回参加できるチケット代として債務負担行為3億3400万円を計上しましたが、結果は6万人に止まりました。無理な動員や経済効果優先の万博推進を強引に進めたことは問題です。

 さらに、北陸新幹線延伸計画について、建設費が5兆円に跳ね上がっている現行計画を推進しようとしていますが、無駄で環境破壊の延伸計画は中止を求めるべきであり、サンダーバードの復活や在来線の充実こそ急ぐべきであります。

 京都スタジアムの整備費用を募金で賄うとして、目標20億円としましたが、2億6千万円しか集まっておらず、募金計画は破綻し、今後50年間の施設整備費用70億円の負担は府民負担とならざるを得ません。

 1万人京都アリーナは、住民説明会を開かず、周辺環境や道路・交通対策をきちんと講じないまま、設計、施工、維持管理、運営、33年間の債務負担行為額348億円を決め、契約しました。しかも、今後の物価変動の影響や先の運営費がどれだけ上振れするかわかりません。成長産業、ビジネスモデルと位置付けて、集客力優先の全国アリーナ構想のもとで、Bリーグの日程ありきの令和10年開業計画になっており問題です。

 その一方で、府立大学の耐震基準を満たさない老朽校舎の建て替えは遅れ、決算委員会で学長が「急いで欲しいし、急ぎたい」と述べられました。両大学の施設整備を急ぐべきです。

 

 第5の理由は、官民連携・広域化が各分野で進められ「公共の役割」を歪めてきたからです。

 国の方針に忠実に、水ビジネス大企業の儲け口として上下水道一体の官民連携・広域化を推進しています。府の3つの流域下水道はすでに包括民間委託で、60歳以上の技術職員が66%にもなるなど、すでに将来の下水道事業を担うことが不可能になりつつあります。また、府営水道と受水市町の「広域化・民営化」に突き進もうとしています。

 「京都府消防体制の整備推進計画」は、「消防広域化重点地域の指定を急ぎ」、府域全域での「消防指令センターの一体的な共同運用を目指す」としていますが、これは消防力を弱めることになるものです。府の消防広域化方針により、京都南部指令センターを浸水想定区域内に令和9年度運用開始するとしましたが危機管理上も問題です。

 このように、京都府が国方針の実施機関となり、地方自治と住民自治を根底から壊そうとしています。

 したがって3議案に反対です。

 最後に一言申し上げます。先の参院選で自公過半数割れ、公明党の与党離脱、そして自民・維新の連立合意による高市政権誕生となりました。新総理は、選挙中、ほとんどの政党や京都の自民党候補も主張した消費税減税・廃止は一切触れず、大争点だった裏金金権問題は無かったことにする一方で、議員定数削減など民主主義を壊す方針が目白押し。防衛費を25年度補正予算対応でGDP比2%水準に引き上げる方針を明言されました。私ども日本共産党は、多くの方々との共同を広げて、平和と民主主義を守り、暮らしを壊す政治にストップかけるために全力を尽くすとともに、地方自治と住民自治を守り、府民の暮らし・子育てを応援する府政へ全力を尽くすことをお約束し、私の討論といたします。

 ご清聴ありがとうございました。

 

20251031_討論全文[258kb] 前に戻る