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2025年12月05日

2025年12月議会|代表質問【みつなが敦彦議員】

京都府議会12月定例会の代表質問が4日行われ、みつなが敦彦議員【京都市左京区】が議員団を代表して、以下のテーマで質疑をおこないました。要旨を紹介します。

<質問テーマ>

●高市首相の「存立危機事態」発言と京都における軍事拠点化を許さない
●府民の暮らしと経済を支える緊急対策
●賃上げと地域経済の再生を
●地域医療における京都府の役割発揮を
●コメの安定供給とクマ対策
●府立大、府立医大・病院の老朽施設の整備を急げ
●高校生の通学を保障する取組を

YouTube|とことん生活応援の府政を(代表質問をおえて)

 

知事として高市首相の発言に毅然とした態度を

【光永議員】日本共産党の光永敦彦です。議員団を代表し、通告にもとづき知事ならびに教育長に質問いたします。

 初めに「台湾有事は存立危機事態になりうる」とした高市首相発言と京都の軍事拠点化の動きについて伺います。高市首相は、10月24日の所信表明で「安保3文書を来年度中に改正」を宣言し、今後、トランプ政権の要求に応えGDP比3.5%、21兆円まで増やそうとしています。社会保障を論じる時は、財源が足りないと訴えるのに、防衛費の爆発的な増加については、財源は顧みないという異常な事態です。これに加え、高市首相は「存立危機事態になりうる」と答弁し、大問題になっているのに「発言は撤回しない」と開き直っています。

 そもそも日中関係については、累次にわたる共同声明、そして2008年の「日中共同声明」でも「双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないことを確認した」とされました。

 わが党は、この立場をふまえ、中国による武力行使・威嚇に反対すること、日本や米国が武力介入すべきでないこと、そして、東南アジア諸国連合(ASEAN)が提唱している「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)には、日本や中国、アメリカも賛意を示しており、「平和的な解決をという立場こそ日本政府が発すべきもの」と考えています。

 そこで伺います。これまで知事は、「防衛力の強化は、抑止力、対処力を高めることで、我が国への武力攻撃そのものの可能性を低下させるものだ」とし、国の専権事項だと主体的な発言は避けてこられました。しかし、高市首相の国会答弁により、戦略的互恵関係に重大な影響が出ています。発言の撤回を知事として求めるべきと考えますが、どう対応されますか。

 また、外国の領土の直接周辺国を攻撃できる「12式地対艦誘導弾能力向上型」や「巡行ミサイルトマホーク」を25年度から8隻のイージス艦に順次搭載し、そのため大型弾薬庫の全国130棟を新設、その中に舞鶴市の海上自衛隊3棟や祝園分屯地の弾薬庫14棟及び倉庫の増設工事が含まれ、京都が敵基地攻撃の拠点となるなど、日本列島ミサイル基地化が狙われています。こうした中、精華町でおこなわれた「祝園弾薬庫に反対する集会」に2700人が集まりました。集会参加者は「国を守ることは家族や子どもたちを守ることだから住民の声を無視せず、説明と相談を尽くして欲しい」と発言されています。京丹後市経ヶ岬米軍レーダー基地においても日米軍事一体化が進行しています。

 そこで伺います。国のこうした動きに対し、京都府知事として説明会の開催を求めるとともに、この動きを容認するわけにはいかないと思いますが、いかがお考えですか。

 

消費税減税で暮らしの支援を

【光永議員】次に、府民の暮らしと経済を支える緊急対策についてです。

 先日、私は「京都府物価高騰対策・生活困窮者支援事業」を活用し、左京連帯ひろばin市原に、相談員として参加しました。この取り組みは左京区で回数を重ねてきましたが、最近は現役世代の方が参加多く、ある40代のお父さんは「ふらふらするので熱中症かと思い、病院にいったら血圧が200もあり、『動いたらダメ』と言われる程だった。でも家族養うため、お金がかかるので病院代が高くて本当に困る」など深刻な相談もあり、お住まい近くの無料低額診療事業を行っている医療機関を紹介し「本当にありがたい」とおっしゃいました。この会場でも、アンケートで最も多い暮らしの要望は「消費税の減税」でした。

 そこで、まず伺います。こうした府民の実態と願いを知事はどう受け止めておられますか。また緊急に消費税減税を行うことが、暮らしの支援にとっても内需喚起にとっても、持続可能な経済を保障する道になるとはお考えになりませんか。

 さらに、本来補正予算が12月当初に組まれ緊急経済対策が行われるべきですが、当初提案にはありません。賃上げ直接支援や医療機関等への緊急支援等、追加補正予算を速やかに一般財源を使ってでも編成することが必要です。その点どう取り組まれますか。お答えください。

 

【知事:答弁】存立危機事態に関する首相答弁についてでございます。我が国の安全保障につきましては、国の専権事項であり、国におきまして国民に対する丁寧な説明と適切な判断がなされるものと考えております。尚11月25日に閣議決定されました、「存立危機事態に関する質問に対する答弁書」におきましては、その一般にいかなる事態が存立危機事態に該当するかについては、事態の個別具体的な状況に即して、政府が持ちうる全ての情報を総合して客観的かつ合理的に判断することとなるもの、このような政府見解については従来の見解や解釈を完全に維持しており、また見直しは再検討が必要とは考えていないとされているものと承知をしております。

 次に、自衛隊施設の強化についてでございます。国におきましては、国家安全保障会議での議論などを踏まえ、令和4年12月に国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の3文書を閣議決定し 防衛力の抜本的強化といたしまして、スタンドオフ防衛能力の強化や火薬庫の整備などに取り組まれているものと承知をしております。京都府といたしましては、国に対しまして火薬庫の整備など防衛力の抜本的強化として進める各種の取り組みにつきまして、その内容や地域への影響を住民に適時適切に説明し、疑問や不安を解消するよう丁寧な対応を求めているところでございます。

 また、陸上自衛隊祝園分屯地の火薬庫整備にあたり本年7月に精華町および京田辺市が開催した計3回にわたる説明会の中で、近畿中部防衛局から地域住民の皆様に火薬庫の整備目的や安全性、工事期間や工事中の各種対策についての説明が行われたものと承知をしております。今後とも、住民の疑問や不安を解消するよう丁寧な対応を求めてまいりたいと考えております。

 

 次に、消費税減税についてでございます。実質賃金が9ヶ月連続でマイナスとなる中、広範な生活品目の値上げが続くなど、長引く不安定な経済社会情勢が府民の生活に大きな影響を与える実情を踏まえまして、京都府といたしましても、府民の生活を守るための様々な対策に取り組んでいるところでございます。

 消費税につきましては、全世代型社会保障に必要なものとして、法律で税率の引き上げが行われたものであり、そのあり方につきましては、少子高齢化社会における我が国全体の社会保障財源の問題として、国において検討されるべきものと考えております。

 また消費税収の約4割は地方税財源であり、社会保障関係経費の増加や物価高騰などによって地方財政が厳しい状況にある中で、地方が安定的に行政サービスを提供していくためにも、地方への影響を十分考慮いただくよう全国知事会からも国に要望を行っております。

 消費税減税の是非につきましては、こうした社会保障財源や地方財源の確保の観点から、国におきまして将来世代の負担に十分配慮した丁寧な議論をしていただきたいと考えております。

 次に、補正予算による経済対策についてでございます。物価高騰などが家計や企業経営に影響を与えている中で、今年度は国の経済対策を活用しながら令和7年度当初予算と令和6年度2月補正予算を一体とした14ヶ月予算を編成し、府民の暮らしや中小企業の事業活動を守るため、中小企業の従業員の賃上げに向けた経営改善や生産性向上の取り組みへの支援、医療機関等の処遇改善や物価高騰対策への支援などきめ細やかな対策を行ってまいりました。

 また 6月補正予算、9月補正予算におきましても、中小企業の賃上げが可能になるような経営基盤強化の支援や医療需要の変化等を受けて厳しい状況にある医療機関の経営改善への支援など、累次にわたって追加の対策を行ってきたところでございます。政府におきましては、11月に生活の安全保障、物価高への対応を第1の柱とした総合経済対策に関する補正予算案の概算閣議決定がなされたところであり、この内容を精査しつつ必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

 

【光永議員:再質問】再質問します。

 まず、高市総理の台湾有事発言についてですけれども、先ほど知事から11月25日の閣議決定が従来と見解が変わらないんだというふうにご説明ありましたけれども、変わらないんだったらその発言自身を撤回する以外ないと改めて感じました。

 沖縄の玉城知事は、記者会見で冷静かつ平和的な外交で問題の解決に取り組むべきだと述べ、日中共同声明に基づく対応を求められております。こうした姿勢と対応が、府民の代表として今必要と考えますが、この点いかがでしょうか。

 2つ目は、弾薬庫の増設の動きに対して丁寧な対応を求めるという答弁が続きましたけれども、丁寧な対応というだけでいいはずはありません。知事が何も発言しないのは、結果、ミサイル配備はやむなしということなのか、はっきりとお答えいただきたいと思います。

 3つ目は、消費税の減税は先ほど地方財政とか社会保障財源が必要と言われましたけど知事は 府民の立場で府民の暮らしがどうかとことを 真剣に考えるべきだと改めて思っておりますが、これは指摘しておきます

 少なくとも、食料提供、今 厳しい中で各地で行われておりますけれども、左京区は京都市の副区長さんが実態を見に来られました。知事も府民の目線に立って現場に来られて府民の暮らしの厳しさを実感してほしいというふうに思うんですけども、一度現場に来られてはいかがでしょうか。

 

【再答弁:知事】まず1点目、台湾有事にかかる高市首相の発言についてでございますけれども、従来の見解と変わるものではないと発言しておられますし、私も記者会見で申し上げておりますけれども、いずれにしても両国政府間における冷静な対応によりまして、早期の関係改善を期待しておりますし、そうした政府の対応を心から期待したいというふうに思っております。

 また、ミサイル配備の見解についてでございますけれども、ミサイル配備の必要性等につきましては、安全保障を専管事項としております国において判断されるべきと思っておりますけれども、丁寧な対応というのはひいては、それは府民の安心安全につながるようにということでの対応についてのあり様について申し上げておりまして、最終的には何よりも私が考えなきゃいけないのは、府民の生活の安全・安心を守るということでございますので、その立場から引き続き適切な対応に努めてまいりたいと思っております。

 現場の状況の厳しさを実感してほしいということでございました。私もあらゆる機会をとらえて様々な府民の皆様から現在の社会経済情勢についてのお話を伺っているつもりでございますので、引き続きそうした府民の声を幅広く取り上げて、私自身の府政運営に生かす、その姿勢は引き続き維持してまいりたいと思っております。いずれいたしましても、今の社会経済情勢はなかなか厳しいものがあるということにつきましては、議員の認識と変わるものではないと思っております。

 

【光永議員:指摘要望】数点指摘したいと思います。

 ミサイル配備の問題・強化についても、丁寧な説明というのは、結果としてですね、ミサイル配備前提ということになって、その結果、府民の不安には答えられないじゃないかと改めて感じております。と言いますのも、京丹後では米軍基地いらんちゃフェスタが今年も開かれました。そして舞鶴市や精華町と同じように市街地にある熊本の自衛隊健軍基地・建軍駐屯地へのミサイル配備計画に対してアーケードを埋める1200人もの反対集会がアーケードの皆さんの了解もとって行われました。京都はもちろん、全国で不安の声が広がち、反対の運動が広がっております。こうした声と運動にこたえて、府民の安全安心を第一に考えるべき地域としての役割をしっかりと 発揮していただきたいと思います。

 もう一点は経済対策が待ったなしだと思いますので、追加補正も含めて具体化していただきたいんですが、その際、中身が大事で、医療や介護や福祉、中小企業、農家への支援はもちろんのこと、トリガイの被害もありますし、定置網も漁獲が大幅に減るなどあらゆる分野に深刻な影響がでております。 

 実態の把握と迅速な対応を、越年対策も含めて強く求めたい。同時にですね、医師会長が記者会見でも言われています。補正予算は一時的止血に過ぎないんだと。やはり根本的治療が必要だというふうに言われております。緊急対策はもちろんのこと、財政の使い方も含めて根本的な転換が必要だ、そのことを指摘して次の質問に移りたいと思います。

 

時間外労働規制の厳格化と京都府における雇用の安定化を求める

【光永議員】次に、賃上げと地域経済についてです。

 高市首相は、労働時間の規制緩和の検討を指示されました。これは、経団連が今年の春闘方針で求めた、労使で合意すれば何時間でも働かせられる「裁量労働制」の対象拡大と重なるものです。

 政府は労働時間の規制緩和が労働者の要望であるかのように述べていますが「就業構造基本調査」(2022年)では、就業時間を延長したい労働者はわずか3.5%のみであり、そのうち70%以上は1週間の労働時間が35時間未満のパート労働者が多く含まれる層に集中をし、また、10月に発表された「過労死等防止対策白書」によりますと、過労死・過労自殺ともに昨年より増加し、155人もの方が残念ながら命を落とし、精神障害の認定件数は初めて1,000人を超える深刻な事態となっています。

 そこで質問します。現状でも過労死ラインを超える労働時間が容認されているもとで、その規制すら緩和するなど断じて許されないと考えますがいかがですか。また、命と健康を守るためには、時間外労働規制の厳格化が必要と考えますが、いかがですか。

 

 さて、90年代後半以降日本は本格的な人口減少期に突入し、15歳から64歳の生産年齢人口は1995年以降減少に転じ2023年には1,300万人以上減っています。この間に正規雇用から非正規雇用への大規模な置き換えがすすみ、日本を賃金の上がらない国にし、そして「失われた30年」をつくり出したことが事態を深刻にしました。

 ヨーロッパは生産年齢人口の減少を男女がともに労働を担う方向に切り替えました。しかし、日本では男性稼ぎ主モデルを崩さず、低賃金なパート、アルバイトなど「家計補助的」労働力として専業主婦層や学生、高齢者を労働市場に動員することによって穴埋めをしてきました。これにより、劣悪な雇用環境のもとで非正規労働者の未婚化が進み、少子化がさらに加速する悪循環を生みました。

 大企業はこうした不安定雇用を最大限活用し、労働分配率を3割台まで減らしながら、史上空前の利益を上げてきました。こうしたゆがんだ構造を転換し、安定した良質な雇用をつくり、希望する人が安心して子どもを産み育てられる充実した社会保障を築くことこそ必要ではないでしょうか。

 こうした中、京都府では11月12日、府立高校で派遣社員として働く外国語指導助手(ALT)7人がストライキを決行されました。2023年度の契約では月額24万円だったものが、今年度は21万円に引き下がり、ボーナスも1/3にカットされるという異常な状況のもと、「京都で暮らせる賃金を払え」とごく真っ当な要求を掲げておられました。

 現在府立高校には49名の英語指導助手がおられますが、33名は府教委に直接雇用され月例給は33万5千円です。派遣社員として働く16名は同じ仕事をされているのに21万円と、あまりにひどい格差ではないでしょうか。

 しかも、加入するゼネラルユニオンの話によると、府教委が派遣会社に払う1人あたりの年間契約額は369万円であり、年間賃金との差額は111万円にも上り、単純計算で派遣会社が3割も事実上ピンハネしていることになります。

 派遣ALTの方と懇談しましたけれども、「3年間同じ学校で働いているのに、毎年派遣会社が変わり、その度に派遣元に就職活動し、月給は下がる一方」、「私たちは尊厳をもって働きたい。それが子どもたちの教育の質にもつながる」と訴えられています。

 さらに、京都府には非正規の公務員、会計年度任用職員が約1,600人働いておられます。そして、来年2月には3年に一度の一斉公募が実施され、事実上の「雇い止め」が行われようとしています。「どうして、3年ごとの雇い止めにおびえながら働かなきゃいけないの」「私たちは使い捨てじゃない」と悲鳴と怒りが広がっています。これら京都府ですら、安上がりの雇用等を広げてきた結果、全体として少子化が一層すすみ、悪循環が起こっています。だからこそ、雇用と賃金の安定のための根本的な見直しが必要と考えます。いかがですか。

 

国の地域医療破壊の動きを許さず京都府の役割発揮を

【光永議員】次に、2027年度から予定されている、新しい地域医療構想にかかわって伺います。

 11月26日「医療法等の一部を改正する法律案」が衆議院厚生労働委員会で可決し、12月中にも成立が目指されています。しかし、新旧対照表で400㌻を超える重要法案を国民はほとんどその内容を知らされないままです。これにより、新しい地域医療構想で医療の給付抑制をいっそう本格的に進め、その旗振りを都道府県に担わせるためのガイドラインの検討が始まっています。

 具体的には、二次医療圏単位の医療提供体制を見直し、急性期拠点機能をもつ病院は人口30万人までであれば1か所でもよくなり、例えば福知山市以北の人口は29万人で、急性期の病院は一つあれば良いとなってしまいます。また京都市内など大都市部では、新規開業規制まで示されております。

 すでに、京都市内でも、周産期母子医療センターの役割を担ってきた新生児集中治療室NICUをもつバプテスト病院がNICU拠点病院を返上し、分娩も取りやめることになるなど、政策医療ですら削減を余儀なくされているのです。今後、さらなる削減にむけ、国全体で3,500億円もの基金が提案されています。

 一方、「現役世代の保険料引き下げ」を理由に、患者負担が激増していきます。

 OTC類似薬保険適用外しの論議が政府内で始まり、厚労省試算によると、花粉症薬20倍、解熱鎮痛薬20倍、湿布薬36倍などが示されました。高額療養費の上限撤廃も、いつ息を吹き返すかわかりません。

 また、最後のセーフティーネットである国民健康保険について、政府は被用者保険の適用拡大をすすめ、国保の医療給付が増えていないのに、被保険者数減少により国保料が高くなるという構造的問題をさらに拡大する方向です。

 例えば亀岡市社保協の試算によると、今年度は財政調整基金を投入し、保険料が約12万円、しかしそれも令和9年度には枯渇するため、16万円へと負担が激増することとなり、財政の統一化や保険料の統一化では急場をしのぐことすらできない事態がはじまっています。その旗振りを都道府県が行うことになり、来年度も国保納付金が子ども子育て支援金が上乗せされるという理不尽なやり方とあいまって、また値上げが想定されています。このままでは、最後のセーフティーネットである国民健康保険が異常に高い保険料を余儀なくされ、国民皆保険制度は崩壊に向かってしまいます。

 そこで伺います。知事は「全世代型社会保障」として進められるこの方向が、国民皆保険を守り、どこに住んでも誰でも、医療や介護を受けられるものとお考えでしょうか。今後の医療や介護における都道府県の役割を踏まえ、知事のご所見をお答えください。

 また、現在舞鶴市で4病院再編の論議が進められています。先日、行われた会議では、各病院長から、「急性期を東舞鶴に集約すると、西舞鶴への医師をはじめとした人材確保が厳しくなるのでは」だとか、「現在の医療水準を下げないようにしてほしい」などの意見が出されましたとお聞きしました。今必要なのは、舞鶴のみならず、地域の医療や介護のニーズを踏まえた論議が積み重ねられることです。このため、私は、京都府として市町村と連携し、住民アンケートの実施、医療圏ごとに住民意見交換会など行う必要があると考えます。

 そこで伺います。知事は6月議会の答弁で、「今後の受診・受療の状況の変化によりまして(地域医療に対し)そういうおそれが出てくる場合においては、必要に応じて病床の公募を行う」などと述べられました。経営的にも政策的にもベッド削減が迫られているもとで、病床の公募など現実性がないことを言っている場合ではありません。病院にかかれない、在宅で過ごせないなど、広く府民の要望や実態、課題等、医療や介護のニーズを掘り起こし、どう把握していくのか、具体的な手法も含めお答えください。

 

【知事:答弁】労働時間規制についてでございます。長時間労働はワーク・ライフバランスを阻害し、過労死にもつながりかねないことから、京都府におきましては、あらゆる機会を捉えて是正に向けた周知・啓発を行いますとともに、京都府労働相談所におきまして相談内容にきめ細やかに対応し、法令違反が疑われる場合には、指導監督権限を有する国の窓口につないでいるところでございます。

 また、京都労働局、京都市とともに、経済団体に対しまして長時間労働の是正など就労環境の改善を要請いたしますとともに、社会保険労務士の派遣や補助金により、サービス残業の根絶や生産性向上による時間外勤務の縮減に向けた取り組みを支援してまいりました。

 労働時間規制につきましては、高市総理が厚生労働大臣など関係大臣に対しまして、心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和を検討するよう指示がなされたものと承知をしております。この指示をめぐりましては、経営者団体からは、現行の労働時間規制は自律的に働く労働者にも一律に適用されてしまう点が問題であり、時宜にかなう指示だとの意見がある一方で、労働者団体からは、これまでの長時間労働是正の取り組みに逆行するもので看過できないなどの意見が出されているところであり、本件については、そうしたさまざまな意見を踏まえ、国において検討されるべきものと考えております。

 

 次に、雇用と賃金の安定についてでございます。

 労働者の生活の安定と向上を図る上で、安定した雇用や賃上げの実現は大変重要でございます。

 このため、京都労働局や京都市とともに、企業の状況に応じた非正規雇用での採用や賃上げなどを経済団体に対して要請してまいりました。

 京都府で実施しております、就職氷河期世代の方を対象といたしました、働きながら専門スキルを習得できる就業プログラムは、スキルアップにより正規雇用化を図ることを目的に進めているものでございます。こうした取り組みなどにより、非正規雇用での採用につきましては、昨年度は1万5,336人の採用を実現したところでございます。

 また、賃上げにつきましては、一過性のものではなく、持続的に実施されることが重要であり、原資となる中小企業の利益を確保しながら賃金を引き上げていくことが必要だと考えております。このため国に対しまして、中小企業の賃上げに向けた支援施策の拡充を要望するとともに、京都府といたしましても、中小企業の生産性向上の取り組みへの支援などに取り組んでまいりました。その結果、今年の春闘におきましては、中小企業において1万円を超える改定が図られております。

 今後ともあらゆる施策を総動員し、オール京都で賃上げや正規雇用化ができる環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

 

 次に、全世代型社会保障についてでございます。

 社会保障制度は、子どもから高齢者まで、全ての府民の生活を生涯にわたり支えるセーフティーネットであることから、重要だと考えております。一方で、我が国におきましては、本格的な少子高齢化と人口減少時代を迎え、制度を支える現役世代の負担増や、医療、介護の担い手の確保などが全国的な課題となっております。

 全世代型社会保障につきましては、こうした背景を踏まえ、高齢者に加え、子どもから現役世代まで広くその安心を支える取組とされているところでございます。一方、国において改革の方向性として示されている給付と負担の見直しは、高齢者の生活などへ影響を及ぼす可能性などが指摘されており、医療や介護を初めとする社会保障制度を守るためには、公平性の確保や持続可能性などを考慮しつつ、全ての世代にとって安心できる制度となるよう検討が進められるべきものと考えております。

 京都府といたしましては、国が責任を持って安心できる医療制度や介護制度などを財源確保を含めて構築するよう求めますとともに、社会の変化や地域のニーズに応じた医療や介護の提供体制を今後も確保できるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 

 次に、医療・介護ニーズの把握についてでございます。

 地域で安心して暮らせる医療、介護の提供体制の構築に当たりましては、地域の現状やニーズの変化をしっかりと把握し、関係者と議論しながら進めることが重要だと考えております。

 京都府におきましては、地域医療構想に介護体制の視点も取り入れた京都府地域包括ケア構想を策定し、取り組みを進めてまいりましたが、高齢化がピークを迎え、生産年齢人口がさらに減少する2040年に向けて改定することとしており、各医療圏の地域医療構想調整会議や京都府全体の医療提供体制を審議する医療審議会で議論することとしております。

 地域医療構想調整会議におきましては、医療関係団体はもとより、市町村や介護関係団体など幅広い団体に参加いただいており、日ごろの業務の中で把握した住民の声や課題などの御意見をいただいているところでございます。また、医療審議会におきましては、医療関係者だけではなく、医療を受ける立場にある方に参加いただき、患者や地域住民の立場から幅広く御意見をいただいております。地域包括ケア構想の改定に際し、こうした方々から丁寧に御意見を伺うほか、他の医療や介護に関する会議において広く御意見を伺うなど、医療・介護ニーズを把握してまいりたいと考えております。

 今後とも、持続可能で質の高い医療介護体制を構築し、住み慣れた地域で誰もが安心して暮らし続けられる社会の実現に努めてまいりたいと考えております。

 

【光永議員:再質問】 最初に、医療ニーズ、介護ニーズについては、調整会議では業務で把握できないニーズがもっとあるはずで、関係の住民の方などからもしっかりつかむということが改めて必要だと思いますので、広くアンケートなど取り組んでいただきたい、改めて求めておきたいと思います。

 それで、再質問は3点です。

 1つは、時間外労働規制については、そもそも規制の要求は財界の求めによるものだというふうに思います。府民の願いは、雇用の安定と賃上げ、これが最優先のはずです。その意味では、労働規制緩和については、国が決めることですけれども、「国が決めることだ」というふうに逃げるんじゃなくて、断固反対すべきだいうふうに私は改めて求めますが、その点についての知事の考えをお聞かせいただきたい。

 2つ目は、先ほど紹介をいたしました府立高校で派遣社員として働く外国語指導助手については、派遣会社との団体交渉の結果、賃金が21万円から24万円に戻るということになり、一時金も6万円から12万円にする、こういう回答もあったというふうに聞いております。しかし、本来は同じ条件で働いてもらうようにするのが自治体の役割です。

 また、先日、会計年度任用職員の皆さんが「ストップ雇い止めアクション」を二条駅前で行われ、私も参加させていただきましたが、足元でこういうことが行われていて、どうして雇用の安定や賃上げができるのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

 3点目は、医療、社会保障についてです。先ほど知事は公平性の確保が必要だとおっしゃいますけれども、実際はどうか。

 高齢者の窓口負担を原則2割~3割などにすれば、今でも現役世代の2倍~3倍の年7万円から9万円の負担を高齢者はされていますが、ますます不公平な制度になります。介護保険の2割負担も提案をされています。これに対して日本医師会長は、「病気の方と健康の方、高齢者と若者など、2項対立で分断を割っていることが社会の不安定につながっている」と記者会見で述べられました。知事もこのことは御存じだというふうに思います。

 このように、高齢者や社会的弱者と現役世代を分断する、こういうやり方に対し、知事会は「共生社会宣言」を発出されました。その発出された一人の知事として、どう考え、どう向き合うのか。

 具体的には、高齢者の2割~3割負担、介護保険の2割負担についてやむを得ないと考えているのか、はっきりとお答えいただきたいと思います。

 

【知事:再答弁】 光永議員の再質問にお答えいたします。

 まず1点目の時間外労働規制のことでございます。財界の求めたものという御指摘もありましたけれども、先ほども申し上げました、これをめぐってはさまざまな意見があることは確かでございますので、そうしたさまざまな声に耳を傾けながら国において検討すべきだと思いますけれども、私としては、長時間労働というのは、先ほど申し上げましたように、決して許されるものではないと思いますので、そういう労働者の健康を大前提に置きながらも、労働者にとって柔軟な働き方を求める声もあるのも事実でございますので、そうしたさまざまな声を含めて適切な制度設計がなされることを期待申し上げたいというふうに思っております。

 それから、ALTの例示ありました。これは教育委員会の所属なので私の方から答弁は控えますけれども、会計年度任用職員につきましては、これは非常勤の職でありますから、その職務の内容とか責任の度合いというのは常勤職員とは異なる設定となっておりますけれども、私どもとしては、正規の職員、それから会計年度職員、再任用職員等、全体で府政の適切な執行に必要な体制を構築したいというふうに考えております。

 ただ、その中でも、会計年度任用職員の処遇につきましては、これまでも累次の改善をしておりまして、単純な比較はできませんけれども、制度導入前の約2倍の処遇になっているという試算もございますので、引き続き処遇改善には努めてまいりたいと思っております。

 3点目の高齢者等の負担についてでございますけれども、これにつきましては、利用者の負担が増えることで高齢者にとって過度な負担となって必要なサービスが受けられない、そういう状況はどうしても避けなきゃいけないと思っておりますので、介護については令和9年度の介護保険制度の改正まで検討が続けられると思っておりますけれども、適切に対応するようこれまでも要望しておりますし、今後とも、そうした観点から国に対して要望してまいりたいと思っております。

 

【光永議員:指摘・要望】 数点指摘したいと思います。

 高市政権が最近1500円への引き上げを事実上放棄されたもとで、賃上げのための中小企業の直接支援について、岩手、福島、山形始め各県で補正予算が提案をされております。改めて、賃上げへの直接支援、求めたいと思います。追加補正予算にぜひ盛り込んでいただきたい。

 同時に、京都府こそ率先をして、雇用の安定のために、派遣ALTの直接雇用、これは教育委員会にぜひお願いしたいし、また、会計年度(任用職員)は一般職員とは業務のあり方が違うんだとおっしゃいますけれども、実態は、同じように、(正規の)府職員と同じ業務の責任を持たされているのに3年限定いうことになっているわけで、やはりこういう実態も踏まえれば、他府県でも取り組みが広がっている3年雇い止めを見直し直接雇用にするなど、不安定雇用の打開へのイニシアチブも発揮していただくように求めておきたいと思います。

 また、医療や介護については、先ほど紹介しました医師会長さんは、「社会格差と健康格差を生まないような社会に」と述べられました。やはり、今進んでいる方向というのは、それぞれの年代などでの格差を政策的に広めて、結果として国民皆保険制度がつぶれていくということになり、若い人が一時期社会保険料が減ったからといって将来年を重ねていくわけですから、そのときに深刻になる、こんな政治であっていいはずがありません。だからこそ、府民の立場に立って、この方向はおかしいんじゃないかいうことを知事としてもはっきりと言っていくという立場が問われているというふうに思います。

 そのことを厳しく求めて、次の質問に移りたいと思います。

 

主食であるコメの安定供給とクマ対策について

【光永議員】次に、主食であるコメの安定供給についてです。

 石破前政権が増産に転ずる方針を掲げました。しかし、農水大臣は増産を撤回し、37万トンを減産するとしました。
 そもそも、歴代自民党政府は、需要に応じた生産の名で、コメ需要が毎年減ることを前提に、生産量をぎりぎりに抑え、農家に減産を強いてきました。その結果、30年前から米価は一貫して下落傾向をたどり、近年、コメ農家の時給は10円という水準に陥りました。
 一方、この間のコメの買い取り価格の値上げによって、肥料代や燃料などの高騰を含めた「社会的適正価格」に近づき、「何とか一息つける」状況となった農家の中からも、「猫の目のようにころころ変わる農業政策で国民の祝福をまともに守ろうとしていない」「来年は価格が暴落するのではないか」という不安と不満の思いを募らせておられます。しかも、販売価格は高止まりしております。
 先日、北部に伺いましたけれども、そこでは、「渇水で3反がほとんど実らなかった」「5反分の収穫なし」という高温障害などの深刻な影響の一方で、全体の収穫量はプラスとはいえ、一等米が少ないという声もあちこちでお聞きしました。
 こうした中、さらに政府は、政府備蓄米の縮小、民間備蓄の導入、輸入米の備蓄への活用を検討し、食料安全保障を投げ捨てるもので、これらは極めて重大だと思います。
 そこで伺います。

 今求められているのは、ゆとりある需給計画で備蓄や生産を増やす、過剰時には政府が買い上げ、不足時には放出するなど、柔軟な運用でコメの需給や価格安定に政府が責任を持つことと考えますが、いかがですか。
 また、農家の販売価格が生産費を下回る場合、差額を補填する制度を創設し、安心して増産できる所得を補償することです。京都府としても、画一的な大規模化や企業参入のための農地再編、規制緩和に反対し、農地中間管理機構の運営における農地の貸付等は地域の農業者優先で進めること、農業機械の更新への支援は、法人以外に集落営農とともに個人の農業者にも助成を拡充することが求められると考えますが、いかがですか。
 さて、クマの被害が深刻です。

 京都府の本年度のクマ目撃件数は10月末時点で933件、10月に舞鶴市、11月に京丹後市で人身被害も発生をしております。環境省の11月17日発表によると、4月から10月の全国のクマによる人身事故件数は176件、被害者数196人と、記録のある2006年以降、同時期比で最悪となっています。
 9月府議会で緊急従量の実施に要する経費等の補正予算が可決したものの、態勢が整っておらず、爆竹等への購入支援など緊急対策とともに、緊急銃猟のための専門知識のある職員やハンターの確保など支援が急がれております。同時に、環境省は、過疎化と高齢化による農林業の衰退などで里山里地での人間活動が低下し、クマが隠れやすい耕作放棄地も増え、緩衝地帯から人の生活圏に接するようになったと分析しています。まさに、農林業をつぶし農村を疲弊させてきた自民党政治の責任は、私は極めて重大だと思います。

 このため、中長期的に、針葉樹林の針葉混交林化や広葉樹への誘導など、クマの生息環境の保全策を強め、人とクマの住み分けを図ることで被害を抑制すること、そして、生態系を構成するクマを含めて、生物多様性が保全される森づくりを進めることが求められていると考えますが、いかがですか。

 

府立大学および府立医科大学付属病院における老朽化施設の整備について

【光永議員】次に、府立大学及び府立医科大学病院の老朽化施設の整備について伺います。

 令和3年に「府立医科大学機能整備計画」、令和4年には「府立大学整備構想」が両大学法人により出されました。しかし、倒壊のおそれのある老朽化した校舎施設の耐震化や病院の建て替え等は先送りにされたままとなっています。
 決算特別委員会では、塚本府立大学長から、府立大学の体育館整備は、学生らが考えた案を活かし、進めたいとし、京都府に対し「とにかく急いでほしい」との答弁がありました。今年2月に、府立大学の公認サークル「府立大学を考える会」が請願を提出されましたが、現在、新たにこうした整備について署名を集められているとお聞きをしております。自らの学ぶ環境に危機を感じ、学生が真剣に取り組んでいる姿勢に、今こそ、誠実に応えるかどうかが問われています。
 ところが、負の実質公債費比率が決算で17.1となり、知事は記者会見で、財政の今後の動向を問われ、「不要不急の事業の見直し」を言われました。しかし、決算特別委員会で、我が党森議員の「アリーナ建設の京都府の負担が348億円からさらに大きく膨らむ可能性がある」という指摘に対し、知事は、建設費増額の可能性を認めながらも、アリーナは「今必要な投資」と答弁をされました。
 そこで伺います。府立大学や府立医科大学附属病院は速やかな整備が必要ですが、どう具体的にされますか。そのためにも、北陸新幹線の整備や京都アリーナ建設は将来の財政に大きな負担を強いることとなり、命にかかわる施設整備がますます先延ばしになるのではないでしょうか。お答えください。

 

【知事:答弁】主食であるコメの安定供給とクマ対策についてでございます。
 初めに、コメの安定供給についてでございます。
 国におきましては、コメの需給安定によって価格の安定化を図る考えのもと、毎年の需給見通しの精度向上に取り組むとともに、需要に応じた生産により農業者の安定的な所得確保につなげるコメ政策を進めることとしております。

 京都府といたしましては、国に対しまして、コメの供給と価格の安定化に向けて、国内需要に十分応えられる生産量を確保する需給見通しを示し、余剰分は輸出や備蓄米に向けるなど、安定した需給調整が可能なコメ政策の実現を要望してきたところでございます。あわせて、コメの安定生産の確保に向けた栽培技術や新品種の開発を要望しており、京都府といたしましても、スマート化による生産性向上や環境配慮による高付加価値化の推進により、コメの安定生産を図ってまいりたいと考えております。
 次に、農業者への支援についてでございます。
 中山間地域を多く抱える京都府におきましては、農業所得を安定的に確保するため、国の収入保険制度や各種セーフティーネットへの加入を促進するとともに、個々の経営状況に応じた収益力の向上を図るため、生産と販売の両面から伴走支援を行ってきたところでございます。
 農地利用につきましては、地域農業の将来像を描くため、市町村におきまして概ね10年後の農地の担い手を定める地域計画が本年3月に策定されたところであり、農地中間管理機構を中心に、地域の担い手を核にした集積を進めているところでございます。
 農業機械の導入につきましては、生産コストの低減や作業の効率化を図るため、小規模農家に対しましては機械の共同利用化を進めるとともに、企業的経営を目指す農業者に対しましては経営規模に応じてスマート農機などの導入を支援しているところでございます。引き続き、個々の農業者に寄り添った支援により地域農業を支えてまいりたいと考えております。
 

 次に、クマ対策についてでございます。

 クマによる人身被害が全国で相次ぐ中、京都におきましては市民生活の安心・安全を確保するため、クマの捕獲に加え、人家や農地との緩衝地帯である里山林と本来の生息地域である奥山林のゾーニング管理を推進し、クマ出没の抑制に取り組んでまいりました。

 具体的には、里山林におきましては、人の生活圏にクマを寄せ付けない環境をつくるため、地域住民による雑木林や放置竹林の整備や、誘因物となる柿などの果樹の伐採を支援しているところでございます。
 奥山林におきましては、多様な植生による豊かな生態系を育むため、杉の人工林などにおきまして、クマの餌となる木の実をつける広葉樹の成長を促す針広混交林化を進めているところでございます。
今後とも、先般決定された国のクマ被害対策パッケージにおきまして示された出没防止対策なども活用し、人とクマの生息圏のすみ分けを図るなど、被害防止に向けた取り組みを強化してまいりたいと考えております。


 次に、府立大学及び府立医科大学附属病院の老朽施設についてでございます。
 両施設の老朽化への対応につきましては、特に日々の運営に影響のある空調や給排水などの設備 関係におきまして、日常の点検や修繕、改修など必要な対応を行っており、学業や診療に支障が生じないよう安全管理に努めているところでございます。
 府立大学につきましては、耐震性が低い施設への対応といたしまして、4号館の解体や仮設体育館の整備を行いますとともに、学生の安心・安全の確保に向けまして、老朽化や耐震性の問題に対して抜本的な解決を図りながら、最新の教育研究に対応した施設となるよう検討を進めているところでございます。
 府立医科大学附属病院につきましては、高度急性期医療を担う特定機能病院としての役割を果たしていくため、少子高齢化による医療需要の動向など、医療を取り巻く環境変化を踏まえて、将来を見据えた施設整備の検討を行っているところでございます。引き続き、京都府公立大学法人と連携しながら、施設整備に着手できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。

 

【光永議員:再質問】数点要望し、1点、再質問させていただきたいと思います。
 まず、クマ対策は、緊急対策、そして中長期の対策、本格的にいっそう取り組んでいただきたいということと、コメについても安定供給への支援が今本当に必要だと思います。繰り返しませんけれども、その点、求めておきたいと思います。
 そしてもう一点、先日発表されました2025年の農林業センサスを見ますと、京都府の基幹的農業従事者は2015年に17,463人が10,987人へと大幅減少して、そのうち29歳までが99人になっております。これまで、谷筋の水田を守るために長年にわたり無償で維持管理がされて、それにより国土が守られてきました。それが全く評価されないまま、政府は減産を押し付け、後継者が確保できず、しかも流通は市場任せで、そしてコメが高くなると一時のお米券配布とは、まさにあきれるばかりだと思います。コメ政策、農業政策の抜本的転換が改めて必要であるし、営農できるだけの小規模農家への支援、きめ細かい支援を求めておきたいと思います。
 再質問は、府立大学や府立医科大学の整備に関わってです。速やかな整備についてはここに来ても何も言えない。一体いつまで検討してるんですかということです。
 決算特別委員会、書面審査で、財政の自由度が狭まっているもとで何が優先されるのか質問した際に、総務部長からは「命にかかわるものは当然優先される」という話もありました。
 老朽化した学舎や病院の改築、建て替えこそ命にかかわるものではないのでしょうか。その点、お答えいただきたいと思います。

【知事:再答弁】光永議員の再質問にお答えいたします。

府立大学、府立医科大学附属病院の施設につきましては、老朽化や耐震性の問題の解決と併せまして、学部・学科再編への対応とか、あと、将来の医療需要の動向などを踏まえた役割、機能など、さまざまな要素を含む検討が必要であり、具体的なスケジュールを言及する段階には至りませんけれども、引き続き、大学法人とも連携し、検討を進めてまいりたいと考えております。
 そうした中でも、先ほども申し上げましたけれども、耐震性が低く危険性の高い学舎などにつきましては解体対応なども行ったところでございますし、日々の点検、修繕におきましても、学生の安心・安全の確保に向けては十分に努力をしてまいりたいと考えております。

【光永議員:指摘・要望】ご答弁いただいた再質問の答弁については、何度も同じことがこの議場で言われております。他方ではですね、新幹線やアリーナは進むということになって、財政的な自由度がないことについても、今後負担が膨れ上がることはあるのに、それだけは進めると。やっぱりこれ政策的に間違っているというふうに私は思います。
 速やかな府立大学や府立医科大学及び病院の改築、命に関わることですから、これは速やかにやっていただきたいというふうに思いますし、そのためにも、アリーナ、新幹線などは莫大な、府民に負担を強いることになりますから、そして、その負担を強いることによって結果として大学や医大病院の建設、建て替えなども先延ばしになると、これは絶対的には認められないと思いますので、速やかな整備を改めて求めて、次の質問に移りたいと思います。

 

減便・路線廃止が相次ぐ中、府立高校は統廃合ではなく存続を

【光永議員】質問の最後に、公共交通の減便・廃止と高校通学の保障についてです。

 利用者減に加え「2024年問題」による人手不足で、鉄道・バスの路線廃止や減便が相次いでいます。先日、伺った福知山市では、2024年3月にJRバス園福線が廃止され、代替運行の京都交通三和線では、始発便に乗車しても福知山高校や工業高校など旧市内の高校の授業開始時刻に間に合わないという事態が起こっております。福知山市では、丹海バス福知山線も今年3月末で廃止され、この路線を使って福知山市の私立高校へ通う生徒の通学時間は30分程長くなるという事でありました。このため「移住を希望している人が高校や医療の話を聞いて躊躇する」という声もお聞きしました。公共交通機関では通学できず、「仕事を抜け、子どもの送迎をしている」といった状況も生まれています。総務省「令和3年度社会生活調査」によりますと、京都府の高校生の通学時間は全国平均を上回り98分となり、ますます高校生の通学時間は延びています。

 京都府教育委員会は令和5年の「魅力ある府立高校づくり推進基本計画」に基づいた「府立高校の再編整備の考え方」を令和7年度に策定し、全日制高校の統廃合の方針を示しました。同時に、「基本計画」では基本方針に「学校配置の見直しにあたっては、高校生の通学時間を考慮する」とされ、「再編整備の考え方」でも「各地域における生徒の通学事情」をあげています。

 そこで伺います。

 この間、公共交通の減便・廃止が一気に広がり、保護者や子どもたちの通学費と時間の負担が増しています。これ以上高校の統廃合は、自宅から高校に通えない地域も出てきます。府内のどこに住んでいても高校に進学できる環境を保障することが公立高校にとって何よりも大事であると考えますが、その点、府立高校の役割についてどうお考えですか、お答え頂きたいと思います。

 次に、国の「私学無償化」と公立高校の環境整備についてです。

 来年度から私立高校を含めた「高校無償化」が予定されています。これは教育の権利保障の大きな一歩と考えております。しかし、先行した大阪府では、私学無償化の一方、公立高校は3年間定員割れが続くと潰し、さらに、私学への経常費助成を抑制しつつ生徒数に応じた配分(パーヘッド方式)と授業料上限(キャップ制)を導入することで、学校間、公私間の競争を激化させてきました。その結果、21校の大阪の府立高校が廃校となり、先日、大阪府教委は今後15年でさらに2割減らす計画を発表しました。

 教育の権利保障のはずの無償化が、学校間競争や公私間競争による高校の淘汰につながり、結果として高校進学の機会均等を損なう事態となれば本末転倒ではないでしょうか。

 京都府では、所得により支援制度を区切るなど実態に応じた「あんしん修学支援制度」の拡充が段階的に行われてきました。それでも公立から私学に生徒が流れる状況は生じております。例えば中丹地域では、府立高校の受験者数が減少していますが、少子化の中でも私立高校の入学者数は増加をしています。

 私は、福知山で「以前は私学が府立高校の受け皿になってくれていたが、昨年度の入試では受験者が多かった成美高校が不合格者を多く出した。一方、福知山高校は『受験勉強ばかり』と敬遠され、私学人気が高まっている」という声を伺いました。

 そこで伺います。府教育委員会が発表した中学三年生の進路希望調査では、全日制公立高校への希望者が初めて50%を割りました。私は、府立高校の魅力化で学校現場に負担を強いるだけでは、私学無償化に対応できないと考えます。遅れた府立高校の施設整備を急いで進める事や、高校でも35人学級によって教育の質を高めるべきです。同時に、府全域での今後も公教育を保障するため、公私での競争ではなく協力こそ必要と考えます。公私で今後の公私間比率を確認し、募集定員を少子化に合わせて、双方が段階的に引き下げていくこと等必要ではないでしょうか。また、京都府では高校生の約半分が私学に通学しております。公教育の重要な担い手となっております。府の私学経常費補助額は国基準を下回り、全国ワースト2位の現状になっています。非常に厳しい経営を強いられている私立高校へ経常費補助の抜本的拡充も必要ではないでしょうか。これら国の私学無償化とその影響への対応についてのお考えを具体的にお答え頂きたいと思います。

 

【教育長:答弁】光永議員のご質問にお答えいたします。公共交通の減便・廃止と高校通学の保障についてでございます。令和5年度策定の魅力ある府立高校づくり推進基本計画において「学校配置の見直しにあたっては、国の統計による高校生の平均通学時間を目安として考慮しながら、地理的条件を踏まえ、総合的に判断する」ことを基本方針としてお示ししているところでございます。また、府立高校の役割は、公教育の場として教育の機会を保障するとともに、府立高校全体として選択肢の多様性を確保し、幅広く多様な生徒を受け入れることであり、府内いずれの地域に住んでいても、子どもたちが希望する学びや活動を実現できることも果たすべき役割の一つであると考えております。教育委員会といたしましては、現在進めております高校改革においても、府立高校の役割や子どもたちの通学事情等を十分考慮しながら検討を進めてまいります。

 

【知事:答弁】公私で協力した募集定員の段階的引き下げについてでございます。

 少子化が進行する中で教育の質の維持向上に努めていくためには、公私が協力して就学人口の減少に対応していくことが必要となってまいります。このため、京都府におきましては、公私の関係者で構成する京都府公私立高等学校協議会におきまして、生徒の受け入れ人数や入試日程など、高校教育を取り巻く様々な課題について協議をしてきたところでございます。引き続き、子どもたちに多様な教育機会を提供できるように、公私が切磋琢磨しながらそれぞれの魅力を高めることで、京都府全体の教育環境の充実を図ってまいりたいと考えております。

 次に、私立高校への経常費補助の抜本的拡充についてでございます。京都府では、他府県と比較して私学に通う生徒の割合が高く、公立高校とともに私立高校にも京都府の高校教育の重要な一翼を担っていただいております。こうした私立高校の役割を踏まえ、京都府全体の高校教育の環境を向上させることを目的といたしまして、経常費補助などの支援を行いますとともに、あんしん修学支援事業により全国トップクラスの教育費の負担軽減に取り組んできたところでございます。今後とも、経常費補助とあんしん修学の両輪で、私学支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

 

子どもたちの進学保障のため、公私は競争ではなく協力を

【光永議員:再質問】再質問を3点させていただきます。

 府立高校についてですけれども、希望する学びを保障することが大事だというのも公立高校の役割だいう答弁がありましたけれども、しかし、希望する学びを保障すると言ったって、実際通えなければこれは実現できないというふうになりますし、何より、府立高校について、生徒、保護者の願いは、どこに住んでも地域で学べる地域の学校が必要だということだと思います。このため、結局「廃止ありきではない」「廃止を前提にしない」ということなのかどうか、この点、教育長明確にお答えいただきたい。

 2つ目は、公立高校の35人学級やトイレの様式化、体育館の空調設備導入など、これは急いでいただきたいんですけれども、質問でですね、具体的に公私間の協議の中身、私、提案して質問しましたけれども、それについては何もお答えがありませんでした。それについてはどうされるのか。

 また、私学の経常経費についても、国基準を大きく下回っていることについては答弁が何もありませんでした。その点について再度明確にお答えいただきたいと思います。

 

【教育長:再答弁】光永議員の再質問にお答えいたします。府立高校が魅力ある学校として生徒に充実した教育を提供するためには、一定の学校規模を維持することが重要であると考えております。ただ、ただし、検討に当たっては、先ほども述べました通り、子どもたちの通学事情等も総合的に考慮しながら丁寧に進めてまいりたいと考えております。

 

【知事:再答弁】光永議員の再質問にお答えをいたします。公私間協議の中身についてでございますが、まずは、最も喫緊の課題であります募集定員につきましては、これは少子化の進展が非常に急速で対応が必要になってくることから、継続して協議を続け、それぞれの学校の理解のもとではありますけれども、募集定員の適正化に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。その他の課題につきまして、どの程度この協議会で扱われるかにつきましては、すいません、私ども、ちょっと把握しておりませんので、断定的なことは申し上げられません。

 それから、経常費補助のレベルの問題でございますけれども、この経常費補助につきましては、私立高校の学校経営全体の経費に対しての支援でございまして、国庫補助金とか交付税措置も活用しながら各府県において実施しているわけでございますけれども、京都府としては、経常費補助の生徒一人当たりの補助単価は全国でも低い額にとどまっておりますけれども、あんしん修学支援事業との両輪で総合的に私学教育の支援をするという立場でございまして、今後とも、私学の教育環境の一層の充実にはこの両輪で努めてまいりたいと考えております。

 

【光永議員:指摘要望】私は、大阪のように府立高校廃止を現場に迫るようなやり方、これを絶対にあってはならないというふうに思いますので、教育委員会、京都府の財政支援など教育環境整備を求めておきたいと思いますけれども、先ほど示しました、実態として子どもの数が減っていっているという状況のもとで、募集定員の協議は一定していくという話もありましたけれども、それにとどまらず、今後どうしていくのかについて、教育委員会は学校の統廃合という計画も出しているわけですから、それは通学費の、通学圏の状況などだけではなくて、学校のあり方そのものを本当に公私間でも協議して、地域の学校をつぶさないということが、これ教育委員会にも知事にも私は求められていると思いますので、そういう立場で努力いただきたいと思います。

 また、私学については、あんしん修学と両方でとおっしゃいますけれど、あんしん修学というのはもともと保護者が払う分を京都府が払うということだから、私学にとっては別に経営的にどうこうということはなくて、むしろ経営が大変な部分、つまり私学の経常経費、ここを何とかしてほしいというのが私学の要望でもありますから、ここは国基準を大きく下回っておりますので、これを引き上げていただきたいというふうに思います。

 

 最後に、私の質問はいずれも国の動きと知事の姿勢を問うものでしたけれども、国の範囲を超える姿勢は示されませんでした。一方、本日、秋の府民総行動が行われ、府庁正門スタンディングや東門宣伝、府庁包囲デモなど、たくさんの方が参加されました。私は、この声に応える政府実現に向けて全力を挙げることを皆さんにお誓い申し上げまして、代表質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

 

しんぶん赤旗 2025年12月5日付

 

 

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