ご意見・お問い合わせ

議員紹介

  • 光永 敦彦
  • 島田 敬子
  • 迫 祐仁
  • 浜田 良之
  • 成宮 真理子
  • 馬場 紘平
  • 水谷 修
  • 森 吉治
  • 田中 富士子

全記事一覧

2025年12月11日

2025年12月議会|一般質問【浜田議員】

12月10日、京都府議会12月議会一般質問に立った浜田よしゆき議員【京都市・北区】の質疑の大要をご紹介します。

<質問テーマ>

●子育て世代への経済的支援─子どもの医療費・給食費無償化・高校生通学費助成─について
●原発最大限利用への方針転換と被ばく防護対策の後退について

子育て世代への経済的支援について

【浜田議員】日本共産党の浜田よしゆきです。通告に基づいて、知事並びに関係理事者に質問します。質問に入る前に一言申し上げます。去る8日の午後11時15分ごろ発災した青森県東方沖を震源とする地震で被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い復旧を願うものです。

それでは、質問に入ります。まず、子育て支援についてです。

本府の昨年度の合計特殊出生率は1.05で、全国ワースト5位と大きく落ち込みました。京都府の人口の6割を占める京都市は、前年比0.07ポイント減の1.01と過去最低を更新しました。京都市人口戦略室は、「数字を重く受け止めている。子どもを持ちたいと思う人が実現できるよう環境整備を進めていく」としています。子育て環境の整備では、子育て世代の労働条件の改善や経済的支援が不可欠です。

ところが、京都府の子育て支援策が京都府の子育て支援策が極めて不十分なために、府内の京都市以外の市町村では府の施策に上乗せして子育て支援を行っていますが、京都市は府の施策の範囲内にとどまっています。ですから、京都市内在住の子育て世代が子育て支援が充実している近隣の市町に引っ越す例が少なくありません。

逆に、他府県や府内の市町から京都市内に引っ越してきた子育て世代が、子どもの医療費の助成が小学校卒業までにとどまっていることや小中学校の給食費が有料であることに驚かれています。物価高に賃上げが追いつかず、子育て世代の実質賃金が下がり続けているもとで、風土づくりやイベントばかりでは子育て環境が良くなるはずはありません。

今こそ子育て世代への経済的支援が必要ではありませんか。お答えください。

わが会派は、10月上旬に青森県の子育て支援の取り組みを調査してきました。青森県では、出生数が1998年から2023年の25年間で約58%と全国2位の減少率で、その要因の一つは、若い世代の県外流出に歯止めがかからないことにあると分析し、「こどもへの投資が青森県の未来を拓く」という基本理念のもと、合計特殊出生率の向上と15歳~49歳人口の純移動率の向上を目標に、こども・子育て「青森モデル」を策定して、子育て環境の改善に踏み出されました。その具体的な取り組みとして、昨年10月から、学校給食費無償化等子育て支援市町村交付金を開始しました。

当初は学校給食費だけに使える給付金でしたが、既にその時点で17市町村が給食費無償化を実施していたので、今年度からは他の子育て施策にも使えるようにしたところ、今年度は40自治体すべてが学校給食費無償化と18歳未満の子どもの医療費無償化に踏み出しています。なお、近畿地方でも、和歌山県では、県が市町村の給食費の半額補助を決めたことによって、昨年10月からすべての市町村で小中学校全員の給食費無償化がスタートしています。

そこで、具体的に本府の子育て支援策についてお聞きします。
まず、子どもの医療費助成制度です。本府では、一昨年10月から、通院は3歳未満という状況から小学校卒業まで拡充をされ、京都市以外の市町村は独自の上乗せを行って、宇治市、城陽市は中学校卒業まで、他の市町村は18歳未満まで拡充をされました。10月2日の京都市議会代表質問で、吉田副市長は「府市協調で、まずは中学生の通院医療費の制度拡充を進める」と答弁しました。一方、本府においては、子どもの医療費助成も含む福祉医療助成制度拡充の検討を行っています。府の制度をさらに拡充すれば、全ての市町村が18歳未満まで拡充することが可能になり、既に18歳未満まで拡充している市町村は、他の子育て支援事業を拡充することができます。

そこで、お聞きいたします。全ての市町村が18歳未満まで拡充できるように、来年度予算で京都府の制度をせめて、中学校卒業まで拡充すべきではありませんか。

次に、小中学校給食費の無償化についてお聞きします。
京都府は一貫して「学校給食は市町村が運営するもので京都府は支援できない。国に支援を求める」という姿勢でしたが、昨年度から始めた「子どもの教育のための総合交付金」は、栄養教諭の配置や地元食材の活用など、給食への支援にも使えることになりました。

しかし、今年度の予算では3億円と、青森県の「子育て支援市町村交付金」41億8900万円と比べると桁違いに少ない規模でしたから、給食への支援には使われませんでした。なので、府内で給食費無償化を実施している市町村は、舞鶴市、伊根町、久御山町、精華町、井出町、和束町、笠置町、南山城村の8市町村にとどまっています。全国的には、青森県や和歌山県のように市町村の無償化の取り組みを県が財政的に支援するところが生まれ、その結果もあって、全国で小中学校全員の給食費無償の自治体が、2017年の76自治体から2023年の547自治体へと7倍にも増え、さらにこれは増え続けています。そういう中で、国は来年度に小学校の給食費無償化を実施することになりましたが、中学校については先送りされております。

そこで、国に対して中学校給食の無償化を早く実施するように求めるとともに、それが実施されるまでの間、京都府として、全ての市町村が小中学校の給食費無償化に来年度から踏み出せるように、来年度予算で給食費無償化にかかる事業費全額を子どもの教育のための総合給付金の支援対象にするとともに、市町村への財政的支援を行うべきではありませんか。

次に、高校通学費の補助制度についてお聞きします。
京都府の制度は、非課税世帯は月1万円を超える分、課税世帯は月2万2100円を超える分の半額補助という不十分な制度で、令和6年度の利用者はわずか91人にとどまっています。

6月議会の代表質問で教育長は、他府県の制度と比べても見劣りしないと述べられましたが、例えば鳥取県では、市町村が通学費を助成する場合、県がその半額を負担する高校生通学費助成事業を実施し、2024年度時点で県内19の全市町村が通学費助成制度を整備をしています。

一方、京都府の場合は、条件のハードルが高いためにほとんど利用できないので、福知山市、京丹波町、長岡京市、宇治田原町、和束町、笠置町、南山城村の7市町村は独自補助を行っていますが、どの市町村も厳しい財政状況のもとで苦労されています。和束町では、町内の当該のバス停からJR加茂駅までの区間の定期券購入額の3分の2を補助していますが、3分の1の自己負担が重いということで、少なくない保護者が駅まで車で送迎されています。京丹後市では、JRや丹海バスの減便が続く中で、200円バスや一回400円のライドシェアタクシーなどを利用していますけれども、定期券や回数券はないので、府の補助制度の申請が難しいとお聞きをいたしました。

教育長は6月議会の代表質問で、「非課税世帯に対して通学費月1万7000円を超える場合への補助を、令和元年度には1万円に拡充を図り、その結果、受給者が約2倍になった」と答弁されました。確かに、令和6年度の補助金受給者の91人中、非課税世帯は63人と、これまでの2倍になっています。しかし、課税世帯はわずか28人にとどまっています。やはり、月2万2100円という基準額が高すぎるからではないでしょうか。

ですから、基準額を一律1万円に引き下げて、基準額を超える全額を補助するように拡充するとともに、弾力的に運用することを求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。ここまでお答えください。

【知事:答弁】浜田議員の御質問にお答えいたします。子育て支援についてでございます。私が知事就任以来、「子育て環境日本一・京都」の実現を府政の最重要課題として位置づけ、出会い・結婚から妊娠・出産・子育て・保育・教育・就労に至るまでの切れ目のない支援を行いながら、オール京都でその実現に向けて取り組んでまいりました。

議員ご指摘の風土づくりにつきましては、子育ては楽しいものであり、自分の成長にもつながるという意識を広く社会で共有し、誰もが暮らしやすい風土をつくるものであり、「子育て環境日本一・京都」の実現に欠かすことができないものだと考えております。

子育て世代の多くは子育てから喜びを感じておられますが、一方で、経済的、精神的な負担感を感じておられるため、こうした負担を軽減し、子育てに伴う喜びを増やす取り組みが必要だと考えております。

京都府におきましては、これまで、私立高校に通う生徒が安心して勉学に打ち込めるために学費等の支援を行う「私立高等学校あんしん修学支援事業」、子どもに対する医療費の自己負担額を京都府・市町村で助成する「子育て支援医療費助成制度」、保育所等に通う3人目以降の児童の保育料、副食費の免除を行う「第3子以降保育料無償化」といった多様な支援を行うなど、子育て世帯の経済的負担の軽減に努めているところでございます。

いずれにいたしましても、引き続き、「子育て環境日本一推進戦略」に基づき、「子育て環境日本一・京都」の実現に向けた総合的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

【健康福祉部長:答弁】「子育て支援医療助成制度」についてでございます。本制度は、子どもの健康の保持増進を図るため、平成5年10月に京都府と市町村が一体となって創設したものであり、この間、子どもや子育て家庭を取り巻く社会情勢の変化などを踏まえ、拡充を図ってきております。

市町村や関係団体などからは、この制度をさらに充実できないかとの声を伺っており、令和6年11月に意見聴取会議を設置し、子育て支援団体や医療保険者、市町村など、さまざまな立場の方に委員として参画いただき、議論を重ねているところでございます。

委員の皆様からは「安心して子育てする上で欠かせない制度である。拡充する場合は、京都府や市町村の財政のほか、医療保険財政に与える影響も意識すべき」「本来、国で設ける制度であり、国への働きかけが必要」などのご意見をいただいているところです。

今後、こうしたご意見を踏まえますとともに、課題を整理し、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

【教育長:答弁】浜田議員の質問にお答えいたします。中学校給食費の無償化についてでございます。
学校給食費の無償化は、現在、国において、本年6月に閣議決定されましたいわゆる「骨太方針2025」に基づき、小学校給食費の無償化にかかる制度設計が進められるとともに、中学への拡大も議論されているところでございます。

京都府におきましては、京都府市長会や町村会等から国に対する働きかけに関する要望がある中、全国都道府県教育委員会連合会を通して、中学校を含めた無償化の早期実現や、時間を要する場合には制度化されるまでの財政措置を求めているところでございます。

なお、「子どもの教育のための総合交付金」は、教育環境の充実向上を趣旨としていることから、給食費の負担軽減を目的とするものではなく、例えば地元食材の活用といった食育の推進に資する事業などに交付しているところでございます。教育委員会といたしましては、給食費の無償化に係る財源の負担については、国において適切に判断されるべきであると考えており、どの自治体においても無償化に取り組めるよう、引き続き国に対して必要な要望を行ってまいります。

次に、高等学校生徒通学費補助制度についてでございます。通学費につきましては、本来、ご家庭でご負担いただくものであり、全国的にも通学費補助を実施する府県が数少ない中、京都府では、高額な通学費を負担されている公立高校生の保護者の経済的負担を軽減するため、通学費の一部について補助を行っているところでございます。

高校生の通学事情は、離島があるといった地理的条件や公共交通機関の状況、入学者選抜を全県一区で行っているなどにより、各都道府県によって大きく異なります。

そうした中で、京都府においては、普通科において通学圏を設け、通学事情に配慮するとともに、通学費補助制度については、世帯収入が約900万円未満の方までを幅広く対象とし、さらに段階を設け、低所得者の方に手厚くなるよう補助しているところでございます。具体的には、年収が約250万円未満の住民税所得割非課税世帯に対しましては、通学費が月1万1000円、約472万円未満の世帯に対しましては月1万7000円、約900万円未満の世帯に対しましては月2万2100円を超えた額の2分の1補助をしております。

府教育委員会といたしましては、今後とも高校生が安心して学び続けられるよう支援してまいります。

【浜田議員:再質問】知事からの答弁で、私は子育て世代への経済的支援の必要性についての認識をお聞きしたのですけども、いろんな京都府がやっていることは紹介をされましたけれども、この経済的支援の必要性については答弁がありませんでした。

しかし、実際、今、京都府の経済的支援の取り組みというのは市町村任せになっているんじゃないかと私は思っております。

とりわけ給食費の無償化については、一貫して「市町村への支援はできない」という姿勢で、先ほどの教育長の答弁でも国に要望するということにとどまっております。

しかし、青森県や和歌山県が市町村への支援に踏み出して、国も無償化に向けて動き出し、京都府は大きく立ち遅れています。青森県がこの「学校給食費無償化等子育て支援市町村交付金」の実施に踏み切った要因について県の担当者にお聞きをしたところ、今の宮下知事さんは、9年間むつ市長を務められて、2年前の知事選挙で初当選されたようですけれども、「市町村の苦労をよく知っているので、県が財政支援を行う決断をされたのではないか」、このように担当者はおっしゃっていました。 

本府でも全ての市町村が小中学校の給食費を無償化できるように、京都府として財政支援を行うべきではありませんか。もう一度答弁をお願いします。

高校生の通学をめぐっては、通学費の負担が重いというだけではなくて、在来線やバス路線の減便や廃止が相次ぐ中で、タクシーの利用や保護者の送り迎えなど、保護者負担が増大しています。高校生の通学を保障するためにも、府の補助制度を抜本的に拡充するとともに、定期券や回数券がないような場合にも弾力的に運用することが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。お答えください。

【教育長:再答弁】浜田議員の再質問にお答えします。その前に、申し訳ございません、先ほど答弁で補助制度を説明させていただきます時に、年収が約250万円未満の住民税所得割非課税世帯に対して、通学費が月1万1000円と申しましたが、1万円の間違いでございます。お詫びして訂正させていただきます。それでは、再質問にお答えいたします。

給食費の無償化に対する府の独自支援についてでございますが、現在、国において、全国どこの自治体でも無償化が可能となるよう制度設計が進めているところでございます。繰り返しとなりますが、府教育委員会といたしましては、給食費の無償化にかかる財源負担については、都道府県ごとではなく国において適切に判断されるべきと考えており、今まさに進められている無償化の議論を踏まえ、必要に応じて要望を行ってまいります。

次に、定期券以外の通学費の補助についてでございます。定期券以外に回数券ですとか、ライドシェアですとか、様々な通学方法が考えられます。公共交通機関がある場合、定期券で使われる場合が多いですが、実態に応じまして他の方法についても補助対象といたしております。以上でございます。

【浜田議員:指摘・要望】今日の答弁を聞いておりまして、青森県や和歌山県の実例も私ども出させていただきましたけれども、結局、「子育て環境日本一」を掲げながら、他府県の子育て支援策に比べて大きく立ち遅れている、このことをぜひ真摯に受け止めて、子育て世代への経済的支援を抜本的に拡充することを求めて、次の質問に移りたいと思います。

 

国の原発最大利用方針を容認せず見直しを求めよ

【浜田議員】次に、原子力発電所の問題についてお聞きします。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から14年8ヶ月になります。原発事故で放出された大量の放射性物質は広範な地域を汚染し、今も約4万5千人が故郷に戻れずにいます。放射性物質を含んだ汚染水は1日80トンのペースで増え続け、溶け落ちた核燃料は取り出しの見通しさえ立ちません。このように福島原発事故は終わっていないにもかかわらず、国は今年2月に「第7次エネルギー基本計画」を閣議決定し、「原発依存度を低減させる」という記述を削除し、原発の「最大限活用」を明記しました。

政府の方針転換を受けて、2月2日の新潟県議会本会議で花角知事が、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働容認を改めて表明をし、その判断について県議会に信任を問う考えを説明しました。花角知事は、「柏崎刈羽原発の再稼働は県民の中で賛否が分かれるが、正確な情報提供と安全対策・防災対策の周知で、再稼働に対する理解が広がる」と発言しました。

同原発が再稼働されれば、福島第一原発事故後、東電が原発を再稼働するのは初めてとなります。しかし、福島原発事故の被害補償や、ふるさとの生業再建はまだ道半ばで、事故を起こした責任も果たしていない、そんな東電に、原発を再稼働する資格などありません。花角知事は、再稼動容認を撤回すべきだと思います。

京都では、9月議会の代表質問で,わが党の島田議員が、原発を最大限活用する「第7次エネルギー基本計画」に反対すべきとただしたのに対して、知事は「国の第7次エネルギー基本計画」においては、エネルギー安定供給と脱炭素を両立する観点から、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することが必要不可欠であるとされており従来の府の立場と同じ方向を目指しているものと考えています」と答弁されました。つまり、国が「第7次エネルギー基本計画」で、「原発を最大限活用する」と方針転換したことを、「従来の府の立場と同じだ」と認めたわけで、きわめて重大な答弁だと思います。国の方針転換を受けて、近畿北部で「原発最大限活用」の具体化が一気に進み始めています。3月28日に高浜原発1号機の60年運転が全国で初めて許可されたのに続いて、11月4日には高浜原発2号機の60年運転が許可されました。さらに、関西電力は、11月5日に美浜原発での新規建設のため地質調査を開始したと発表しました。また、関西電力は、使用済み核燃料を半永久的に原発敷地内に貯蔵することになる乾式貯蔵施設の設置も進めています。14年前に福島に夫を残して2人の子を連れて大阪に避難されてきた、原発賠償関西訴訟原告団代表の森松明希子さんは、「関西を中心に西日本から次々と再稼働され、今回、関西電力が原発新設へ調査を開始しました。私たちが今まさに受け続けている被害がなかったことにされようとしています」と怒りの声をあげています。当然だと思います。

そこで、お聞きします。京都府民の安心・安全を脅かす、隣接する福井県における原発最大限利用の具体化が進んでいることに対して、知事は容認されるのですか。明確な答弁を求めます。

昨年の能登半島地震では、地震と原発事故が同時に起これば、避難もできず、屋内退避もむつかしいことが証明されました。ところが、原子力規制委員会が本年6月に発表した、「原子力災害対策指針」の改定案では、UPZ30キロ圏内の住民は避難ではなく、「屋内退避を実施することが主要な防護措置である」と記しており、UPZ圏内では、屋内退避から避難に切り変わる場合も安定ヨウ素剤の服用も必要ないとされるなど、被ばく防護対策が大きく後退しています。それなのに、9月議会の代表質問での知事の答弁は、「国の原子力規制委員会においては、屋内退避が難しい場合にはUPZ外へ避難することとされており、今後、屋内退避の具体的な運用の考え方を示すとされております」というもので、事実上、国の被ばく防護対策の後退を容認するものでありました。この間、京都府とUPZ内市町は、原発事故が起こった際の避難計画を作成し、避難道路の整備や要配慮者の避難体制の整備、災害時孤立対策、避難所の生活改善などにとりくんでこられました。今回の国の被ばく防護対策の後退は、これまでの自治体と職員のみなさんの努力に水を差すものではないでしょうか。知事は、このような、国の被ばく防護対策後退方針を容認されるのですか。お答えください。

【総合政策環境部長:答弁】国の「第7次エネルギー基本計画」との認識についてでございます。原子力発電を含むエネルギーの問題につきましては、国全体で考えるべきものであり、国が責任を持って対応すべきものと考えております。国の「第7次エネルギー基本計画」におきましては、安全性の確保を前提に、エネルギーの安定供給を第一に、エネルギー安定供給と脱炭素を両立する観点から、再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとされていることから、再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組む従来の京都府の立場と同じ方向を目指しているものと考えております。

なお、京都府といたしましては、原子力発電の運転につきましては、何よりも府民の安全性の確保がされるべきであるとの基本認識であり、これは今後も変わるものではございません。

【危機管理監:答弁】原子力災害時の被ばく防護対策についてでございます。原子力災害時の被ばく防護対策につきましては、本年10月、原子力規制委員会が「原子力災害対策指針」を改正され、屋内退避の位置づけや、被ばくの低減を図るための屋内退避の継続期間、避難への切り替え、解除など、屋内退避の運用に関する事項が定められたところでございます。

屋内退避は、その期間が長期にわたる可能性がある場合には継続の可否を判断する必要があり、その判断は、物的な面での生活維持等の観点から屋内退避実施後3日目を目安として行うことや、生活の維持に最低限必要な一時的な外出は屋内退避中にも実施できることなどが具体的に盛り込まれたものであり、放射性物質の吸入抑制や放射線を遮断することにより被ばくの低減を図るという方針を変更されたものではないと承知しております。

京都府といたしましては、引き続き、UPZ内市町と連携し、避難関連施設の整備や実動訓練による避難の実効性の向上など、ハード・ソフト一体で原子力防災対策に取り組んでまいりたいと考えております。

 

原子力災害対策指針の後退に合わせて府の対策を後退させるな

【浜田議員:再質問】被ばく防護対策の後退問題についてだけ再質問させていただきます。今答弁では今までの方針と変わらないというふうに言われましたけれども、明らかに私は後退だと思います。国の「原子力災害対策指針」の改定案が、パブリックコメントが終わって、今後、各自治体へこれどう対応するのかということの検討が始まります。30キロ圏内の住民は避難でなく屋内退避を優先するということや、屋内退避から避難に切りかわる場合も安定ヨウ素剤は服用をしないなど、被ばく防護対策を後退させるというこの方向については、絶対やるべきではないというふうに考えますが、どう対応するのか、明確にお答えいただきたいと思います。

【危機管理監:再答弁】浜田議員の再質問にお答えいたします。安定ヨウ素剤の服用についてでございます。国の「原子力防災対策指針」において、放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくは、安定ヨウ素剤を適切なタイミングで服用することにより、予防または低減をすることが可能とされているところでございます。

また、原子力規制庁が作成された原子力災害時の屋内退避の運用に関するQ&Aにおきましても、屋内退避から避難に切りかえる場合にも、一律に安定ヨウ素剤を服用する必要はなく、必要と判断された場合に限って服用することと記載されており、安定ヨウ素剤の服用に関する判断について変更はないものと承知しております。

【浜田議員:指摘要望】答弁では、繰り返し国の方針に変更がないというふうに言われますけれども、明らかに、この「第7次エネルギー基本計画」で原発を最大限利用ということに方針転換をし、そして被爆の防護についても後退をしているというのは明らかであります。京都府は原発立地県ではありませんけれども、大飯原発や高浜原発からUPZ30キロ圏内に住む京都府民の人数は福井県民の人数を上回っており、もし原発事故が起これば、本府は立地県以上の被害を受けることになります。

だからこそ、知事も国に対して立地県並みの権限を求めているんだと思います。そうであるならば、原発最大限利用の具体化や被ばく防護対策の後退に対しては、京都府として国にはっきりと物を言うべきだ、と指摘して、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

一般質問(浜田よしゆき議員) 前に戻る