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2025年12月18日

2025年12月定例会|意見書・決議案討論【成宮まり子議員】

 

 12月議会には、日本共産党議員団提案の9本の意見書案と2本の決議案を含め、17本の意見書案・決議案が提案されました。17日の閉会本会議で議員団を代表して成宮まり子議員(京都市西京区)が討論に立ちました。

全文をご紹介します。

 

日本共産党の成宮まり子です。会派を代表し、ただいま議題となっております意見書案15件、決議案2件、すべてに賛成の立場で討論します。

最初に、わが会派提案の意見書案・決議案についてです。

まず、「台湾有事に関する首相発言の撤回を求める意見書」案、「自衛隊基地強化や日米合同訓練の強化など京都における軍事拠点化に反対する意見書」案についてです。

補正予算に、過去最大の軍事費を計上し、米トランプ大統領への約束を忠実に実行するなど、高市政権の平和も暮らしも壊す“暴走”が明らかになりつつあります。

政府は、日米一体の戦争体制づくりへ、有事を想定した共同訓練、南西諸島・九州・沖縄をはじめ日本列島まるごとのミサイル基地化、空港・港湾の軍事利用を拡大し、とりわけ京都では、弾薬庫を全国最大規模で増設し、舞鶴へのトマホークミサイル配備や基地強靭化など、京都を「敵基地攻撃」拠点へ変質させようとしており、これに対して、府民的な反対運動と世論が広がっています。

こうしたもと、高市首相の「存立危機事態」発言は、日本が攻撃されていなくても台湾をめぐる米中の武力衝突に日本が参戦し中国と戦争することがあり得るとの宣言に等しいものです。憲法に違反し、これまでの政府の立場からも逸脱しており、発言の撤回こそ求められます。

府民からは「日中の衝突が戦争になるのでは」と危惧の声が寄せられています。

日本共産党は、日中双方が望んでいないのに、偶発的な誤算などにより重大な事態が起きてはならないとの立場から、日本政府に高市発言の撤回を厳しく求めるとともに、中国に対しても、冷静で理性的な対応を求めています。日本国民の多くは日中友好と平和を願っており、一部の右翼的潮流と日本国民全体を区別すること、政治的対立を文化や経済の交流にリンクさせないこと、事実にもとづかず対立を煽りエスカレートさせる言動はつつしむべきであること、を中国の政府と党に要請しています。

事態の打開のため、高市発言の撤回と、双方が日中共同声明の立場に戻り、冷静な対応こそ求められます。

次に、「衆議院定数削減法案の廃案と企業・団体献金禁止を求める意見書」案についてです。

国会会期末を迎え、自民・維新は、衆議院議員定数「自動削減」法案を、来年通常国会へ先送りすることを確認しました。

しかし、議員定数1割削減と1年で結論を出すとしながら全くその論拠も示せず、だからこそ、マスコミや与党内からも批判が出され、野党は「受け入れられない」と一致して議会制民主主義を壊すやり方を許さず、国会の良識を発揮してきたのであり、法案は廃案にすべきです。

そもそも、定数削減法案は、「政治とカネ」問題をすり替えて、維新が持ち込んだものです。

自民党の裏金問題とともに、財務大臣が職務権限を持つ金融業界にパーティー券を販売し、維新の藤田共同代表は公設秘書が代表の企業に政治資金を支出し、さらに与党の閣僚や議員が政治資金をキャバクラなどに支出しているなど明らかになり、「政治とカネまみれの議員はいらない」との国民感情は当然です。ところがそれを逆手に取り、論点をすり替え、本来議論すべき企業・団体献金禁止については、高市首相も「そんなことより定数削減」と切り捨て、批判をかっています。

維新が与党の大阪府議会では、定数の3割削減と選挙区では1人区が7割にもなり、府民の多様な意見が届かない議会へと変質してしまっています。こうした民意切り捨てを国会で狙うことは、絶対に許されません。

次に、「消費税緊急減税とインボイス制度の廃止を求める意見書」案についてです。

政府の総合経済対策は、大軍拡の一方、消費税減税を拒否するなど物価高から暮らしを守る柱がありません。

しかし、消費税減税とインボイス廃止を求める国民世論は引き続き高まっています。

12月3日、消費税廃止各界連絡会は、消費税5%・インボイス廃止を求める請願署名、累計32万筆以上を国会提出し、日本共産党、立憲民主党などの紹介議員は66人へと広がりました。消費税減税・インボイス制度廃止を求める税理士の会やフリーランスの会も、インボイス廃止法案の提出を求めるオンライン署名、1万5711人分を国会提出し、6党・会派21人の国会議員が連帯あいさつを行うなど共同も広がっています。

本議会からも意見書を上げようではありませんか。

次に、「緊急に中小企業が賃上げできるための直接支援策の実施を求める決議」案についてです。

最低賃金引き上げが続くなか、自治体が中小企業の直接支援策に踏み出す流れが広がっています。

岩手県では、昨年度は従業員1人あたり5万円、今年度は6万円、さらに12月議会に、補正で支援金第3弾として、従業員1人あたり6万~8万円、予算額で約27億円の補正が、国の経済対策に先駆けて計上されました。福島県、山形県でも補正予算で提案がされ、すでに実施している群馬県、茨城県、奈良県などとあわせ広がっています。

本来は国が中小企業支援をすべきですが、それが実施されないもと、自治体が地域経済や雇用を守るため、やむにやまれず対策をとらなければならない地域の実態があります。

京都でも、中小企業団体や事業者からは「最低賃金引き上げは必要だが、物価高騰、資材高騰とあわせ、もう限界」「賃上げしても倒産、賃上げしなくても、人が来ず倒産だ」と悲鳴が上がっています。京都経済の99%を占める中小零細事業者を守り支えることが府の役割であり、中小企業の賃上げ直接支援に、いまこそ踏み出すべきです。

次に、「改定『医療法』の撤回を求める意見書」案についてです。

病床削減を強引に進める改定医療法が、12月5日、参院本会議で、自民、維新、立憲民主、国民民主、公明、参政など各党の賛成多数で可決、成立しました。

改定法は、病床を削減する医療機関を都道府県が支援し、費用を国が負担するとしていますが、これまでから経営難にあえぐ医療機関が削減を申し出て、地域に必要な病床まで削減が進んでいます。

京都でも、京都新町病院の突然の廃院方針が伝えられ、京都市立病院では「経営改善」の名のもとに医療提供体制の縮小再編が進められようとしています。「政策的につくられた経営赤字により、身近な医療機関が姿を消す」と指摘されてきた事態が、現に進んでいます。

改定法に対し、関係者からは「医療機関の厳しい経営状況につけこみ、経営安定の手段として、病床削減をすすめるなど、地域医療のさらなる崩壊を招く」、「医師偏在対策と言うが、絶対的な医師不足との認識もなく、医学部定員削減を進めながらのものだ」、「さらなる強引な病床削減は、国民皆保険制度の崩壊につながるもの」と批判の声があがっており、改定法は、撤回すべきです。

なお、3会派提案の「危機的状況にある自治体病院の存続に向けた財政支援を求める意見書」案については、そもそも、自治体病院の9割、病院全体でも7割が経営赤字という医療崩壊の危機の原因は、政府による度重なる診療報酬の引き下げや患者負担増、保険料負担増を進め、医療従事者の処遇改善や計画的増員を怠ってきたことにあります。この総括と反省に立ち、医療機関への緊急支援、診療報酬は次期改定を待たず引き上げ、医師や看護師の処遇改善、計画的増員を行うことこそ求められます。

次に、「介護保険制度の改悪に反対する意見書」案についてです。

厚生労働省は12月1日、厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会に、介護サービス利用料の2割負担の対象を拡大する所得基準案を提示しました。所得基準を大幅に下げるほか、預貯金額を負担割合決定の要件にすることを初めて打ち出すなどしています。

これに対し、「これまでにない異次元の暴挙だ」「預貯金残高を負担割合の判定要件に持ち込むことは、年金収入より生活費や医療・介護の支出が上回っても、預貯金があるなら払えということだ」と怒りの声があがっています。とりわけ、女性の年金受給者の84%が月10万円以下であり、「年金だけでは暮らせないから老後の蓄えをしているのに、それにまで手をつけ奪い取るとは、命を奪うことだ」と怒りの声、悲鳴の声があがっています。

この間、政府による度重なる報酬の切り下げなどにより、すでに訪問介護事業所などの倒産・廃業が過去最大となるなど、介護崩壊の危機は現実のものとなっています。

介護保険利用料の負担増やケアプランの有料化、要介護1、2の保険給付外しなどの改悪は中止し、介護従事者の賃上げと人材確保、訪問介護の基本報酬引き上げなど、介護保険の抜本的な改善こそ必要です。

次に、「教育予算の抜本的拡充を求める意見書」案、「高等教育の学費負担の軽減を求める意見書」案、「府立学校の教育条件の改善と市町村への財政的援助の拡充を求める決議」案についてです。

子どもと教育・文化を守る京都府民会議、京都の公立高校30人学級を進める会のみなさんから、本議会に10404筆の請願署名が寄せられています。

国に教員増や教育費無償化などを求めるとともに、青森県や和歌山県が市町村の給食費無償化などの支援に踏み出しているもとで、京都府の役割が問われています。

ALT外国語指導助手を、低賃金の派遣で働かせるやり方についても、当事者がストライキに立ち上がり、世論が注目し動いているなかで、公教育のあり方として府の姿勢が問われています。

府として、公教育を支える教育予算の増額、教育費の負担軽減、教育費無償化を進めることが必要です。

高すぎる大学の学費に学生や保護者から悲鳴が上がるなか、さらに国立大学が授業料値上げを次々と発表し、私立大学も約2割が25年度の初年度納付金を値上げしています。政府が、国公立大学の運営費交付金を削り、私学助成を増額してこなかったことが、大学と学生を追い詰めているのであり、値上げ回避のため緊急の予算措置と、運営交付金や私学助成の抜本的増額が必要です。

また、文部科学省が「標準額の2割の範囲内なら値上げしてもよい」と国立大の学費値上げを推進している省令は直ちに撤廃し、留学生の授業料を上限なく値上げできる条項も、撤廃すべきです。

次に、「北陸新幹線延伸の中止を求める意見書」案についてです。

府民の多数は「小浜・京都ルート」に反対です。京都仏教会も、約5万筆の署名を集め、京都府・市に申し入れられ、延伸断念まで運動を続けると表明されています。

参院選では「小浜・京都ルート」を強引に進めてきた自民党・西田参議院議員も「府民の声を無視しては進めない」と言わざるを得なくなり、「米原ルートへの見直し」を主張した維新の前原氏は、選挙後には、これを事実上撤回するなどの事態となっています。

12日に、自民・維新政権の与党プロジェクトチームがに初会合を行いました。維新が「8ルート案」の再検討を提案するなどし、マスコミに「ルート議論巻き戻り」と指摘される迷走状態です。国交省は2026年度も着工は断念し、4度目の先送りとなりました。

府内各地で、身近なバスや鉄道が減便・縮小など相次ぐ中、「北陸新幹線よりも身近な公共交通を守ってほしい」「ムダと環境破壊の計画は中止してほしい」という声が渦巻いています。この声に応え、延伸計画は中止すべきです。

以上の提案に、賛同を求めます。

なお、維新・国民会派の「障害者就労継続支援事業所への支援拡充を求める意見書」案については、昨年の報酬改定で基本報酬への「時間刻み報酬」導入や成果主義強化などが行われ、この報酬の改悪により事業所運営が困難になっているという根本の問題とその解決には触れていません。職員の処遇改善加算も見直されたものの、賃金は他産業の平均より月7~9万円も低いままで、職員不足は全く解決していません。国は、次期報酬改定を待たず、基本報酬の大幅引き上げ、事業所の支援拡充、職員処遇改善などに直ちにとりくむべきです。

また、3会派提案の「地方税財源の充実確保を求める意見書」案については、農山村集落の疲弊、人口減少と少子高齢化など「これ以上、地域を支えることができない」との悲鳴が府域でも渦巻いています。こうした地方の深刻な実態は、なによりも歴代政権による地方切り捨て施策によるものであり、この総括と反省に立ち、地方自治体が住民福祉の増進という役割を発揮できるよう、地方財政措置など拡充するのは当然です。

以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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