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2025年12月26日

2025年12月議会を終えて【団長談話】

日本共産党京都府会議員団は、12月17日に閉会した京都府議会定例会について、団長談話を発表しましたので、以下全文を紹介します。

 

2025年12月26日

2025年12月定例議会を終えて

日本共産党京都府会議員団

団長  島田 けい子

 

 12月1日に開会した定例府議会が12月17日に閉会した。

 今府議会は、年末を控え、物価高、資材高騰等により、府民の暮らしがいっそう厳しくなる一方、京都府では最低賃金が現行1,058円から、最低賃金審議会答申で示された目安より1円高い64円引き上げられ、その結果1,122円(11月21日実施)となったが、中小企業にとっては「もう限界に来ている」との声も上がる状況の中で開かれた。

また、新たに発足した高市自民・維新連立政権による、台湾有事発言、非核三原則見直し発言など危険性と脆さが浮き彫りになる中、7月の参議院選挙以降の政治空白により、経済対策等の補正予算が極めて遅れ、本府議会でも当初補正予算の提案ができず、議会中に追加で補正予算を提案することとなるなど、自民党政治による行き詰まりに加え、対策そのものも極めて遅れた。

わが党議員団は、暮らしの願いに応えるため、府民の暮らしや経営等の実態と願いを具体的に取り上げるとともに、自民党政治と府政の転換を求め、攻勢的な論戦を行った。

1, 令和7年12月24日、京都府亀岡市の農場において、家畜伝染病である高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜と確定し、防疫措置が取り組まれている。京都では21年ぶりとなり、府あげた取り組みが開始されているが、一刻も早い収束がなされるよう望むとともに、年末年始という季節的条件もあるだけに、職員の健康管理等に特別の配慮を強く求める。

 提案された議案34件のうち、第29号議案「京都府知事及び副知事の給与及び旅費に関する条例の一部改正」の件について反対し、他の議案には、人事案件も含め賛成した。

 反対した第29号議案は、知事の地域手当を廃止し給与に一元化した上で、これにより引き上る退職手当を抑制する改正である。その結果、年額で95,168円引きあがり、退職手当を抑制するものの247,841円を引上げるものである。

 地域手当を給与に一元化し、報酬本体の引上げを行うことは本来必要なもので一般職において改善を図るべきである。しかし、知事等特別職については、もともと報酬が高額である上に、物価高騰で府民の暮らしが厳しいもと引き上げるべきではない。

 なお、第28号議案「職員給与等に関する条例等の一部を改正する条例」の件は、人事委員会勧告に基づく職員給与等の引上げについては当然必要なものである。しかし、物価高騰に比して極めて不十分であり、また教職調整額の引上げの一方で義務教育等教員特別手当を減額する点については問題がある。同時に、28号議案には知事、副知事、府議会議員の期末手当を引上げる条例改正案が含まれており、この部分については、もともと給与や報酬が高額な上に物価高騰のもとで府民の暮らしが大変なときであり、反対した。

 第30号議案「令和7年度京都府一般会計補正予算(第7号)」は、352億円を超える大規模補正予算である。その内容には、医療機関や介護事業所の経営支援など必要なものが含まれており賛成した。

 しかし、政府の経済対策が大幅に遅れたことにより、議決した追加補正予算の大半が、年度を繰り越さざるを得ないこととなり、緊急経済対策としてここまで遅れた責任は極めて重大である。

 しかも、総額21.3兆円にのぼり、コロナ禍の時期を除き過去最大で、そのうち11兆6960億円を国債の追加発行で賄うため、さらなるインフレが進行している。また、防衛費を補正予算では過去最大の8472億円盛り込む一方、物価高騰対策として最も効果的で国民の多数が求める消費税減税や賃上げ支援に背をむけたままである。

 提案された追加補正予算には、公共事業の前倒しで123億3,000万円の府債発行し財源とするが、今後の事業執行に重い負担を現場に強いることとなる一方、府民にとっては速やかに事業が届くように、強く求める。このため、矛盾が噴出しないよう、人員体制の整備も含めた万全の対応を強く求めるものである。

 

2,来春の知事選挙を前にして、知事の在り方が府民的に問われる議会であった。

 代表質問等を通じ、西脇知事がまさに国そのものの立場の答弁を繰り返したものの、府民の具体的な実態や要求・運動を前に、言い訳やごまかしをせざるを得ないほど、その脆さが露呈した。

 祝園弾薬庫や舞鶴の海上自衛隊でのミサイル基地強化の動きに対し、「知事として反対の声をあげるべき」との質問に、西脇知事は「安保3文書の閣議決定し、防衛力の抜本的強化として取り組まれている」と述べ「住民の疑問や不安を解消するよう、丁寧な対応を求めていきたい」と答弁したため、再質問で「丁寧な対応というが、結局、ミサイル配備はやむなしということなのかはっきり答えるべき」と迫った。それに対し、西脇知事は「安全保障を専管事項としております国において判断されるべき」と述べた上で「丁寧な対応というのは、ひいては府民の安心安全につながるようにということで、最終的には何よりも私が考えなきゃいけないのは、府民の生活の安全・安心を守るということです」と言い訳せざるを得なかった。

 また、高市首相による労働時間規制緩和について「時間外労働規制の厳格化こそ必要ではないか」との質問に、西脇知事は「経営者団体、労働者団体のさまざまな意見をふまえ、国において検討されるべき」と答弁したため、再質問で「規制緩和の要望は、財界の要求。府民の願いは雇用の安定と賃上げ。どちらの立場なのか」との問いに、西脇知事は「財界の求めによるものというご指摘がありましたが、私としては長時間労働というのは決して許されるものではないと思います。とはいえ、様々な声を含めて適切な制度設計がされることを期待している」と言い訳に終始した。

 正規雇用の拡大についても、「京都府には会計年度任用職員が1,600人、府立高校の外国人の方の外国語指導助手は、派遣社員と契約し21万円という賃金で働いている。雇用の安定を率先して行うべき京都府の足元でこんなことでいいのですか」との質問に、西脇知事は「外国語指導助手の所管は教育委員会なので答えられない。会計年度任用職員は、常勤職員と異なる内容と責任となっているが、それでも、制度導入前の二倍の処遇改善をした。引き続き処遇改善に努めたい」と、雇止めの問題を、処遇改善問題にすり替えて答弁せざるを得なかった。

 さらに、11万床のベッド削減や高齢者の医療費窓口負担や介護保険利用料の二割化を容認するのかどうかについても、西脇知事は「高齢者にとって、過度な負担となって必要なサービスが受けられない、そういう状況はどうしても避けなければならないと考えている」と答弁せざるを得なかったが、その方向については、容認したままである。また、耐震化が急がれる府立大学の老朽校舎建て替えや府立医科大学及び附属病院の施設建設等について、西脇知事は「具体的なスケジュールは言えない」としつつ「日々の点検、修繕におきまして、学生の安心・安全の確保にむけて充分に努力をしてまいりたい」と耐震問題を修繕問題にすり替える一方、向日市へのアリーナ建設や北陸新幹線の延伸は推進する姿勢である。

 

3,広がる府民の運動と一体に、要求実現を進める立場から運動にも論戦にも取り組み、その中でいくつかの変化と前進の道を開いたことは重要である。

 代表質問に合わせ取り組まれた府市民総行動実行委員会による、府庁正門前スタンディングアピールや東門宣伝、府庁包囲行動と連帯し、議員団としても参加した。また本議会には子どもと教育・文化を守る京都府民会議、京都の公立高校30人学級をすすめる会が暦年に渡り取り組んで来られている「30人以下学級の実現、教育の無償化を!2025年度すべての子どもたちが安心して学べる学校づくりと教育条件の整備に関する請願」11,404人が提出され、党府議団は請願者と懇談し、「保護者や教職員の願いに応え、本府議会として声をあげるべき」と採択にむけ他会派議員に求めた。府民クラブの委員は「項目は反対ではないが」としつつ採択に反対するなど、道理ない対応で、党議員団以外のすべての議員が反対した。

 こうした中、追加補正予算には、議員団が一貫して求めてきた年末年始の対策として「生活困窮者等物価高騰対策緊急生活支援事業費」が当初予算に続き追加で計上された。また、「私立学校物価高騰対策緊急運営支援事業費」として、保護者負担の増加を抑制する対策や、厳しい子ども食堂等への食材費高騰に対する緊急支援策の実施や、要望してきた高騰する酒米購入費の緊急支援、当初予算で希望が集中した農業の高温対策に対する機器導入等当初予算に追加し、弾力的に運用できるように改善が示された。また、緊急の医療や福祉施設の支援や処遇改善策等が国の経済対策予算を用い、実施されることとなった。

 また、子育てへの経済的支援の充実や大阪・関西万博工事代金未払い問題の解決への府の取り組み、クマへの対策、舞鶴市と宮津市で出荷ができなかったトリガイへの支援等についても、具体的対策を提案するとともに抜本的改善を迫った。

 さらに、夏以降、知事選挙に向けた運動と論戦、政策的発展を目指し、議員団として「就職氷河期問題」「子育て・教育・社会保障対策」「開発問題と持続可能な経済対策」各プロジェクトチームを発足させ、本議会中の昼休みや夕方に連日のように団あげた「街頭雇用アンケート」に取り組み、その結果(中間報告)をもとに閉会日の12月17日に開催した「賃上げ雇用シンポジウム 『失われた30年』を打ち破ろう!もっと報われる社会に」の場で報告する等、奮闘した。

 

4、本議会には、人事院勧告に基づく、府職員及び、知事、副知事、京都府会議員の賞与の引き上げの議案が提案されたが、維新・国民議員団が、当該議案の態度について「議員団としては賛成するが、団の中には反対する者もいる」と意向表明された。最終本会議では、維新所属議員だけが、職員給与引き上げに関わる条例と補正予算すべてに賛成せず、団の意向と違う対応をとった。「身を切る改革」などというものの、その内容は、全国で取り組まれている賃上げの流れの一つである職員給与引き上げに反対するもので、まったく道理がない。

 

5、「30人以下学級の実現、教育の無償化を!2025年度すべての子どもたちが安心して学べる学校づくりと教育条件の整備に関する請願」11,404人について、党府議団以外の会派が否決したため、党府議団は、請願にもとづく意見書を提案するとともに、消費税減税とインボイス廃止、台湾有事発言撤回、衆議院定数削減法案廃案、改定医療法撤回、北陸新幹線延伸中止、賃上げのための中小企業直接支援等を求める意見書・決議を提案したが、他の党がそろって反対して否決した。

  一方、「危機的状況にある自治体病院の存続に向けた財政支援を求める意見書」は、診療報酬引き下げや患者負担増など、根本問題の総括や反省はないものの、緊急支援策を求めるものが可決したことは重要である。

 

 最低賃金審議会答申で「最低賃金に関わる事業者を一者たりともとりこぼさない、賃金上昇で受ける経営的負担に対する直接的な実効ある大胆な支援を必ず実行されるよう政府に強く要望する」と表明されたように、中小事業者も、府民も暮らしの悲鳴が渦巻くなか、国と地方が一体の府政において、とことん暮らしに寄り添い、府民の立場から国に立ち向かう政治が求められている。

 党府議団は、そのために全力をあげるとともに、京都から行き詰まった政治の転換を求める広範な連帯と共同を作り上げ、いよいよ迫ってきた来春の京都府知事選挙に力を尽くすものである。

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