西脇知事は3月5日、清算補正や京都アリーナ(仮称)をはじめとする契約議案など34議案を追加提案しました。
日本共産党京都府会議員団は、第75号議案「京都アリーナ(仮称)整備等事業契約締結の件」について、住民説明もなく、京都府が定めている公共事業の「効率性」や「透明性」の向上を目的にした「事前評価」を行っていないことを質すため、成宮まり子議員(京都市・西京区)付託前質疑を行いました。
全文は以下の通りです。
住民説明・事前評価ないままアリーナ契約議案の提出は許されない
【成宮議員】日本共産党議員団の成宮まり子です。ただいま知事から提案のありましたうち「第75号議案 京都アリーナ(仮称)整備等事業契約締結の件」について、委員会付託に先立ち、3点にしぼり質問させていただきます。
1つめに、住民説明会についてです。アリーナ整備には、まちづくりや暮らしに直結する大きな課題が山積し、説明会を開き、意見を聞いてほしいと求める住民の声が広がり、昨年7647筆の署名が知事に提出されています。ところが、向日市民や府民への具体的な計画の説明も意見聴取もいまだ行われていません。そうしたままで事業者との契約締結の提案は、府民・住民を置き去りにするものではありませんか。
2つめに、公共事業事前評価についてです。府のホームページでは、新たな公共事業などの事前評価により、「公共事業の効率性及び実施過程の透明性の一層の向上を図ることを目的に、平成14年7月に導入」したものとあり、これは府民にとって大事な制度です。ところが『京都新聞』が、府は「事前評価」を実施しない方針だと報じ、「向日町競輪場再整備とアリーナ問題を考える会」のみなさんは、事前評価の完了まで事業者と契約しないよう申し入れておられます。事前評価の要綱では「府民生活などに影響がある事業」「全体事業費で10億円以上」などが対象とされており、京都アリーナが対象であることは明らかなのに、事前評価を実施しないのですか。しないまま契約締結を提案するのは、手続き上も誤りだと考えますがいかがですか。
3つめに、道路整備などの交通対策についてです。先の本会議で「府道中山向日線に交通を誘導し、大原野口交差点を改良する」と知事から示されました。しかしこれは全く部分的な対策で、住民から困惑と批判の声が寄せられています。JRや阪急駅からアリーナへ向かう「向日町停車場線」や、いまでも渋滞の激しい府道67号(物集女街道)などの拡幅や歩道整備をはじめ、根本的な対策が示されないままの契約締結は、これは問題があると考えます、いかがですか。
【西脇知事・答弁】成宮議員のご質問にお答えいたします。アリーナにかかる事業者との契約についてでございます。
昨年11月の優先交渉権者決定後、12月定例府議会におきまして債務負担行為予算の議決をいただき、この間、京都府と優先交渉権者の間で事業内容や価格などについての交渉を経て、契約にかかる調整が整ったところでございます。公表しております令和10年秋の開業に向けまして、事業者において早期に設計に着手する必要がございますため、契約議案として追加提案をさせていただいたところでございます。住民説明会につきましては、これまで「向日町競輪場基本構想」の案段階から合計6回開催してきたところであり、今後とも、丁寧に説明をし、ご意見をお伺いすることとしており、適切なタイミングで開催してまいりたいと考えております。また、住民説明会の形式に限ることなく、あらゆる機会を捉えまして、住民の皆様のご意見を伺いながら進めてまいりたいと考えております。
事前評価につきましては、府が実施する公共事業のうち、新たに事業費の予算化について要望を行おうとする事業等について、事前に評価を行うことにより、効率性や実施過程の透明性の向上を図るものでございます。本事業は、通常の公共事業とは異なり、設計、施工から維持管理、運営までを複合的な観点からの評価をする必要がございますことから、事前評価制度の趣旨も踏まえながら、京都府におけるスポーツ施設の在り方懇話会や向日町競輪場外部有識者会議など、第三者のご意見を重層的に聴取してきたところでございます。こうしたご意見なども踏まえまして、競輪施設の集約化により生じることとなります余剰地にアリーナを整備するとの方針を決定したところでございます。
今後の周辺道路環境の改善につきましては、ソフト対策と一体となった競輪場へのアクセスルートの円滑化に向けた交通対策とともに、競輪場再整備を契機とした新たなまちづくりを見据えまして、短期、中長期の視点から検討を深め、具体的な対策を講じることとしており、引き続き、向日市はじめ周辺市町とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、アリーナと競輪施設の相乗効果により、スポーツ開催に加えまして各種イベントの開催など、多くの府民の皆様の憩いの場として、さらには将来の夢や憧れの地となるよう、その第一歩となる契約議案を今回提案させていただいたところでございます。
【成宮議員・指摘要望】お答えをいただきましたけれども、まず、住民説明会は競輪場の構想からやってきた、6回やってきたというふうにおっしゃいましたけれども、私も参加をさせてもらったことありますけれども、その中身というのは、具体的な計画だとか、今回のアリーナの構想だとかそういうこと以前の段階のものであり、住民から求められているのは具体的にどうなるのかということです。これは契約手続きの前にこそ実施すべきであり、また、今の答弁では、今後もいつ実施するのかいうこともはっきりとは述べられませんでした。結局、住民説明会開かず、意見も引かず、住民置き去りだと、これは厳しく指摘しなければならないと思います。
それから、公共事業事前評価については、これまでの公共事業とやり方が違うだとか、別の有識者会議があったという答弁ありましたけれども、そういう理由は全く成り立たないと考えます。別の有識者のいうことで言えば、亀岡のサンガスタジアムの時は別の専門家委員会もあったけれども、環境や交通渋滞など住民の不安と批判が広がる中で、公開で評価委員会が実施され、私も傍聴をしたのを覚えております。何より、この制度というのは府が自ら定めているものであり、これ「すっとばす」などのことはほんとに道理がないと厳しく指摘をしなければなりません。実施をすべきだと考えます。
さらには、抜本的な道路整備や交通対策については、再三住民からも求められており、いま答弁では引き続き連携してというふうに述べられていますけれども、具体的な抜本的な対策は示されない中で住民の不安は高まるばかりなんです。こうしたことでの契約締結の議案の提案というのは府民の理解を得られるものでは全くないということ、改めて指摘をし、質問は終わらせていただきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。